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第53話:裏帳簿強奪

Author: 秦江湖
last update publish date: 2026-09-23 20:47:50

銀座七丁目。ネオンが途切れる路地裏の奥に、黒板塀で囲まれた高級料亭『水鏡』がひっそりと佇んでいた。

門前には黒塗りのハイヤーが二台。路地の両端には、スーツ姿だが目つきの荒い『黒崎総業』のチンピラが三人、周囲を威嚇するように煙草の煙を吐き出していた。

小雨が石畳を濡らす中、私と駆は向かいの雑居ビルの非常階段の踊り場に身を潜めていた。

「見張りは表に三人、裏口に二人ってところか。料亭の離れに通じる飛び石の庭にも、見張りが一人立ってるな」

駆はキャップの鍔を軽く指で押し上げ、暗闇の奥を見据えた。その瞳は獲物を狙う野獣のように研ぎ澄まされている。

「午後九時四十五分。会食の終了予定まで、あと十五分よ」

私はスマートフォンの画面に表示された料亭の見取り図を指先でなぞった。絢人が直前に送ってきた内部配置図だ。

「三島宗一と権藤常務がいるのは一番奥の離れ『葵の間』。秘書が持ってきたアタッシュケースは、離れの手前にある控え室に置かれているはず。……駆、表の三人をお願いできる?」

「三人まとめて十秒で黙らせてやるよ。お嬢様は裏から静かに忍び込んで、サクッとブツをかっさらってきな」

駆が低く笑い、足音も
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