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ルナール登場!果たして交渉はうまくいくのか!

Author: Kaya
last update Huling Na-update: 2025-07-27 05:06:00

 いくらクブルクの王がローランドとは言え、同じ領土内でも支配権が及ばないのがそのフィシである。

 フィシ一族は昔から独立した権力を持ち、誰の支配も受けない強力な高位貴族だった。

 その上フィシはクブルク王家にも金銭を献上したり、希少な鉄供給までも行って和平を保っていたので、ローランドは彼に直接手を出す事ができなかった。

 むしろそれに害を成すレーヴェン一味の討伐を託される程である。

 だからこれはローランドにとっても非常に厄介な問題だったのだ。

 でもこの交渉が上手くいけば誰も傷付かず、誰も損しない。Win Winになるはず。

 そうなる予定なんだけど。

 「あのフィシが、あの強欲で狡賢い男がそう簡単にあの土地を手放すと思うか?

 それよりは…馬鹿みたいに俺の前に現れてくれたクブルク王妃を捕らえて、ローランド王を脅す材料にした方がまだ現実味があるってもんだろ。なあ?」

 悪巧みするような笑みを浮かべるルナール。

 「ぎゃははは、違いねえ頭領」「今が王を弱らせるチャンスですぜぃ」

 煽られて周囲も似た様に笑い出した。

 かっこいい……!

 さすがはルナール!

 この機転の早さと賢さに、拍手を送りたい!

 その瞬間、使いに出していたクブルク兵からの報告がタイミング良く届いた。

 使ったのはクブルクに古くから伝わる伝書鷹である。

 それには手紙と一緒にとある物が括り付けられていた。

 怪訝そうにルナールに睨まれたが、構わず私は報告書を受け取る。

 これで遂に材料が揃った。

 「…分かったわ。

 ありがとう。これで間違いないわね。」

 「おいっ、一体何の話だよ?」

 訝しがるルナールを前に私はクスっと笑う。

 「ルナール。私が持っているこれ、何だと思いますか?」

 私は報告書と一緒に括り付けられていた物を自分の手のひらに乗せ、ルナールに広げて見せた。

 「……そ

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