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第6話

Author: こし餡
時刻は、ついに深夜零時を告げた。

美々はふと悦子の方へ振り返り、唇をぎゅっと結び、小さな眉をひそめて深いため息をつく。その姿は、まるで一瞬にして大人びたようだった。

「おじさん、本当に忙しいんだね。もう帰ってこないんだ」

悦子は赤くなった娘の目を見つめながら、無理に平然を装うも、胸は重く痛んだ。

凌は忙しいのではなく、父親としての愛情はすべて別の子どもに注がれているのだと、彼女は知っていた。

だがその残酷な真実は、美々にはまだ伝えられない。互いに心で理解しながらも、口に出すことは許されない。

悦子はそっと歩み寄り、美々の小さな身体をやさしく抱きしめた。

「大丈夫よ、美々。ママがずっとそばにいるからね。ちょうど今、新都市の方で花火大会をやってるはずよ。車で連れて行ってあげる」

美々は悦子の胸に顔を埋め、涙をこらえながらもかすかに笑みを浮かべた。

「うん。ママがいてくれれば、それだけでいい」

車内で二人は誕生日のことも、凌の話も一切触れなかった。まるで、さっきまでの悲しみが嘘だったかのように、静かな時間だけが流れていった。

車が止まり、悦子は美々の小さな手を引いて園内へと歩き出す。

新都市の郊外にあるその広場は、A市で唯一、花火を打ち上げられる場所として知られており、祝日ともなれば大勢の人で賑わっていた。

今日は、花火協会の創立記念日ということもあり、希少な種類の花火が多数取り揃えられていた。

花火好きの美々は、目を輝かせながら一つひとつを眺め、嬉しそうに選びはじめた。

「お嬢ちゃん、気に入ったのあった?どれもいいよ。ママに打ち上げてもらったら、空でパッと咲いてすごく綺麗なんだ」

販売員がにこやかに声をかけてきた。

美々はこれほど多くの珍しい花火を見たことがなく、目を見開いてはしゃいでいた。

そのとき、ふと何かを見つけて目を輝かせ、興奮気味に声を上げた。

「ママ、これ!蓮の花の形だ。おじさんの好きな花だよ!」

その愛らしい声に、販売員も優しく笑みを浮かべて説明した。

「これはね、特別な記念花火なんだ。ここにあるのは、この一本だけ。火をつけると、夜空に大きな蓮の花が咲くんだよ。

お嬢ちゃんが気に入ったなら、急がないとすぐ売れちゃうかもね?」

美々は期待に満ちた目で、悦子をじっと見上げる。

悦子は微笑みながら頷き、買うつもりで口を開いた瞬間、突然小さな男の子が駆け寄ってきて、なんの躊躇いもなくその蓮の花火を奪い取ってしまった。

「おじさん、これが欲しい!」

美々は怒って、その男の子を睨んだ。

「なんで?私が先に見つけたのに!」

悦子がよく目を凝らしてみると、その男の子は――間違いなく若葉のSNSで幾度も見かけた、葉山勇太(はやま ゆうた)だった。

彼女は無意識に眉をひそめた。

まさか、彼らもここに来ているなんて。

勇太は美々を無視し、代金を投げるように払い、花火を抱えて走り去っていった。

「ママ!」

美々は怒って悦子の袖を掴んだ。

「なにボーッとしてるの?花火、取られちゃったよ!あれ、私のだったのに!」

悦子はようやく我に返り、申し訳なさそうにしゃがんで美々に目を合わせた。

「ごめんね、美々。ママが早くお金を払っておけばよかったのに。

どうしてもあの蓮の花火がほしいなら、明日特別に作ってもらえるように頼んでみるから」

その言葉に、美々は笑顔を取り戻した。

「ママ、最高!そしたらおじさんも呼んで、一緒に花火しようね!」

悦子は娘の期待を壊さないよう、それ以上は言わなかった。

二人は手をつないで、他の花火を手にして広場へ向かった。

しかし数歩進んだところで美々は突然立ち止まり、どんなに引っ張っても動こうとしなかった。

「美々?どうしたの?」

不思議に思った悦子が見下ろすと、美々の顔は紅潮し、興奮して大声で叫んだ。

「ママ!あれ……おじさんじゃない?もしかして、サプライズで呼んでくれたの?」

指差すその先には、飴玉を手にした凌の姿があった。

悦子が声をかける間もなく、美々は嬉しそうに跳ねながら叫んだ。

「パパ!パパ!私はここだよ!」
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