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第5話

作者: 花木陽向
飛行機を降りてから、私はスマホの電源を入れた。

悠人からの気遣うメッセージのほかに、貞吾からの不在着信がいくつも入っていた。

ラインを開くと、貞吾の芝居がかった、からかうような声がはっきりと耳に流れ込んできた。

「美羽、たいしたもんだな。離婚してもまだ反省してないってわけか?」

「家を売ったのはどういうつもりだ?」

「俺はある程度までは我慢できるが、調子に乗るなよ」

「荷物を全部運び出せば俺を脅せると思ったか?甘いな」

「三日以内に全部戻せ。そうしたら復縁を考えてやる。でなければ一切なしだ」

私は返事をせず、大きくため息をついて、そのまま彼をブロックした。

貞吾の言葉を聞いて、私は考え込んだ。

この結婚生活の中で、私はあまりにも自尊心を失っていたのではないかと反省した。

だからこそ、彼は私の離婚の話さえ、気を引くための手段だと思ったのだ。

家まで売ったというのに、彼はまだ復縁を餌に私を脅してくる。

でも、今回は本当に、彼に対して完全に気持ちが冷めていた。

S県に戻ると、悠人はすでに執事に連絡し、私の部屋をきれいに整えさせていた。

変わらない家具や内装を見て、貞吾と出会う前の頃に戻ったような気がした。

「お嬢様、少しお休みください。悠人様は用事が済み次第すぐ戻られます」

私はうなずいた。

当時、私は貞吾のために浅草グループに入ることを諦めた。

悠人はそれを理解し、自分が好きだった物理学を捨てて会社に入った。

彼は身分を振りかざして役員として入ったのではなく、名前を隠し、現場の末端から働き始めた。

今では、浅草グループは悠人の手によって、S県随一の企業へと成長した。

夕方、家政婦は私の大好物をいくつも作り、悠人も慌ただしく帰ってきた。

「料理は口に合うか?」

私はうなずいた。

「うん、昔の味のままね。S県を離れてこんなに長いのに、好みは変わってなかった」

悠人は私を見つめ、深い眼差しで言った。

「君は、恋のためなら味の好みまで変えると思ってたけどな」

私は苦笑して首を振った。

「昔は甘かったよ。愛があればどんな困難も越えられると思ってた。

今になって、それがただの愚かな幻想だったって分かっただけ」

そう言いながら、私は政略結婚の話を思い出した。

「そういえば、相手は誰なの?」

「雨宮家の一人息子だよ、子ど
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