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第4話

Author: 苺タルト
初日は留置場の一般区画に放り込まれ、すぐに標的にされた。

配られた食事は目の前で乱暴にひっくり返され、夜、ようやくぐっすり眠りに落ちたところへ、氷水を頭からかけられた。

3日目には、厳重管理区画へ移された。

そこでは数人に取り囲まれ、乱暴に服を引き裂かれ、氷水の中に押し込まれた。息もできず意識を失っては、再び過酷な現実に引き戻された。

最終日、陽菜は特別管理区画へ引きずり込まれた。

そこでは暴力を受け、骨が砕けるような激痛が走り、やがて全身が麻痺して、感覚を失っていった。

「いったい誰を敵に回したら、こんな扱いを受けるんだよ」

リーダー格の女が彼女の手を踏みつけ、歪んだ笑みを浮かべた。「あんまり運動してなかったから、今日はたっぷり遊ばせてもらう」

陽菜は床にうずくまり、顔には血と泥がこびりついていた。あまりの痛みに感覚は鈍り、身体が自分のものではないようだった。

その時、彼女はようやくすべてを悟った。

京介は、自分が愛した人はすごく甘やかすが、不要になったら容赦なく叩き落とす。

彼の残酷さは、常に優しさという仮面の奥に隠されていたのだ。

釈放された日、陽菜は力尽き、目の前が真っ暗になり、そのまま倒れた。

次に目を開けたときには、もう3日経っていた。

病室には消毒液の匂いが漂っていた。指をわずかに動かすだけで、包帯が食い込み痛みが走る。起き上がろうとした時、ドアが開き、京介が入ってきた。

その顔を見て、陽菜の心には何の感情も湧かなかった。

「愛人の相手で忙しいんじゃない?何しに来たの?」

陽菜の冷ややかな反応に、京介は不快そうに眉をひそめ、淡々と言い放つ。

「この数日で、少しは懲りただろう。今夜は美羽の誕生日パーティーだが、お前を連れていくよう言われてる。

この前、お前のせいで美羽は数日間も入院して、あんなに痩せてしまった。ようやく元気になってきたんだから、今日はきちんと謝れ。これ以上彼女を刺激するな」

言い終わると、彼は腕時計を見て苛立ちを見せる。

「美羽とケーキを取りに行くから、ぐずぐずしてる暇はないんだ。専属運転手は全員会場の準備に回したから、お前はタクシーで来い」

慌てて去っていく彼の背中を見て、陽菜はふと笑った。

この言葉も、どこかで聞いたことがあるような気がする。

かつて彼は同じように、すべての優しさと時間を自分に向けていたのに、今ではもう別の誰かのものになっていた。

……

夜になり、陽菜がパーティー会場へ入ると、すぐに美羽の姿が目に入った。

純白のドレスをまとった彼女は、学生たちに囲まれ、自信満々の顔をしている。

「美羽、一ノ瀬社長は本当にあなたに優しいよね!大学に寄付してくれたうえに、研究実績まで譲ってもらってさ。誕生日パーティーもこんなに盛大だし!」羨ましそうにささやく女子学生の声が響く。

美羽は恥ずかしそうに下を向き、「そんな、大したことじゃないわ。彼はただ、私が娘さんに骨髄を提供したことを感謝してくれているだけだから」と言った。

「美羽のために自分の奥さんを留置所送りにして、これでもあなたが好きじゃないなんてこと、あるはずないわよ」

「そうそう!結婚してるからって何?愛されてないなら意味ないじゃない!」

陽菜は唇を歪め、胸の奥で渦巻く感情を押し込み、そのまま美羽の元へ歩み寄った。

美羽は陽菜の姿を見ると、一瞬表情をこわばらせたが、すぐに作り笑いを浮かべた。「陽菜さん、待ってましたよ!」

陽菜はつかまれた手を振り払った。

彼女が今日ここに来たのは、桃子との約束を果たすためだった。

鞄から1枚の絵を取り出し、美羽に差し出す。「桃子があなたに贈りたいと言っていた絵よ。直接お礼を言えなかったから、代わりに渡してほしいって」

絵を受け取った美羽は、わざとらしく驚いた。「わあ、素敵ですね!」

陽菜の表情がわずかに和らいで、何か言おうとした時、美羽はその絵をバラバラに破き、床に捨てた。

陽菜が呆然と立ち尽くす中、美羽はヒールで紙切れを踏みにじった。口元には、隠そうともしない得意げな笑みが浮かんでいた。

「お気の毒ですね。まだ5歳であんな病気になってしまって。どれほど才能があっても、先は長くありませんもの」

「なんですって?」陽菜の瞳が大きく見開かれる。

美羽はますます楽しそうに笑った。そして、悪意を含んだ声で言った。「だから、どんなに才能があっても、あの子は早死にする運命だったって言ったんですよ!」

言い終えると共にさらに強く絵をこすりつける。桃子の想いが込められた絵は汚れにまみれ、ぐしゃぐしゃの紙切れになっていた。

その瞬間、陽菜がかろうじて保っていた理性が、完全に崩れ落ちる。

彼女はためらいなく美羽の頬を張った。乾いた音が会場に響く。続けて彼女を突き飛ばし、床へ叩きつけた。

「私の前から消えて!」極度の怒りに震えながら、彼女は叫んだ。「もう私の前に現れるな!あんたなんかに、桃子の絵をもらう資格はない!」

「あぁ!」美羽が悲鳴を上げ、涙を流す。

ちょうどその時、京介がケーキを持って会場に入り、その光景を目の当たりにした。

「美羽!」

彼はケーキを捨て、美羽の元へ駆け寄り、倒れた彼女を抱き起こし、怪我がないか必死に確かめた。

そして赤く腫れた頬を見た瞬間、その目に怒りが宿る。彼は勢いよく顔を上げ、陽菜を睨みつけた。

「陽菜、一体何してるんだ!」

「京介さん、陽菜さんを怒らないであげてください。全部私が悪いんです……」

美羽は涙声でそう言うと京介を突き飛ばし、陽菜の足元に膝をついて必死にしがみついた。

「陽菜さん、全部私が悪いのです!

もし骨髄を提供していたら、桃子ちゃんはきっと助かったはず……陽菜さん、私でよければ何でも協力しますから!」

「触らないで!」

陽菜は怒りのまま振り払った、そして床に散らばる紙切れを拾おうと膝をつく。

だが、手を伸ばした途端、革靴に容赦なく冷たい床へと踏みつけられた。

見上げた先には、怒りを宿した京介の顔があった。

「陽菜、まだ懲りてないようだな。警告したこと、もう忘れたのか?」

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