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第27話

Auteur: みそ煮
last update Date de publication: 2026-05-21 23:17:28

「姉さん、姉さんはどう思う?私、一回くらいは働いてみたいのよね……」

「……」

二人の会話を耳を傾けていただけの由利に、紫苑が話を振った。由利は彼女の問いかけにしばらく悩んだあと、答えた。

「……そうね、良いと思うわ。一回どこか近所でアルバイトでもしてみたら?」

その言葉に、碧斗は勢いよく椅子から立ち上がった。ガタンッとテーブルが音を立て、上にあったグラスが揺れた。

「由利!!!何てことを言うんだ!!!」

「……」

碧斗は顔を真っ赤にして彼女を睨みつけていた。由利はそんな夫を、無表情のまま何も言わずに見つめ返した。前世で何度も見たこの目。自分が正しいと信じて疑わない、揺るぎない眼差し。

「……君は自分が何を言っているか、わかっているのか?」

「……私、そんなにおかしなことを言ったかしら?」

由利は何故、碧斗に責められなければならないのかわからなかった。

「紫苑は体が弱いんだぞ?そのことは姉である君が一番よく知っているだろう」

「ええ、知っているわ」

由利はニッコリと優雅に微笑みながら、それが何か?と尋ねた。そんなこと、当たり前に知っている。二十年以上も紫苑と共に過ごしてきたのだから。
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