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第86話

Auteur: みそ煮
last update Date de publication: 2026-07-20 13:18:01

~??視点~

それは、今からおよそ二十四年前のこと。

一人の可愛らしい少女が、大豪邸に住む裕福な夫妻の下に誕生した。少女は生まれつき体が弱かったが、両親は彼女をそれはそれは大切に育てた。

彼女には二つ年上の姉がいたが、父も母も彼女には目もくれなかった。二人はいつも体の弱い彼女につきっきりで、姉の方まで気にかけている余裕は無かったからだ。

「さぁ、こっちにおいで。私の可愛いプリンセス」

母親が、まだ幼い彼女に向かって両手を広げた。少女は妙な違和感を感じたが、その胸に飛び込んだ。

「あぁ、何て可愛いのかしら……私の小さなお姫様……」

母は彼女を抱きしめながら、そう呟いた。可愛い、愛していると言いながらも、彼女の顔を一切見ない。いつものことだったため、特に気にもならない。

母親は彼女をしばらく抱きしめたあと、突然体を離し、視線を合わせた。そして、まるで呪いのように囁いた。

「――あなたはこの家の次の社長になるのよ」

その瞳には、愛情など微塵も込められていなかった。

何が何でも絶対になれ――と言われているも同然で、少女には最初から拒否権など与えられていないようだった。

「社長……?」

何故、
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