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第6話

Penulis: 楓原月乃
直哉は、本当に島に残った。

ある村民の家の物置を借りて暮らし始めた。

毎朝、まだ空が明るくなる前に起き、校長と一緒に屋根の防水シートを直し、漁師たちの網干し台を組み直し、海斗の祖母のために薪を割り、水を運んだ。

そして毎日、私の寮の前に何かを置いていった。

ミネラルウォーターの日もあれば、島の小さな商店に置かれている数少ない菓子の袋の日もあった。

【今日は風が強い。上着を持っていって】

そう書かれたメモだけが置かれていることもあった。

私は一度もドアを開けて受け取らなかった。

代わりに寧々が回収してくれた。

直哉とは口を利かなかった。

学校で顔を合わせても、直哉は遠くから私を見ているだけで、近づいてはこなかった。

子どもたちは彼を「直哉おじさん」と呼び、手を引いて一緒にボールを蹴っていた。

笑うときの直哉は、以前とは違って見えた。

「俺が助けてやる」と言わんばかりの、あの上から見下ろすような表情はもうなかった。

2週間ほど経ったある日、海斗が私に尋ねた。

「宮原先生、直哉おじさんは、どうして毎日校庭から先生を見てるの?」

「悪いことをしたからよ」

海斗
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  • 掌の中で砕けた貝殻   第7話

    台風は過ぎ去った。夜が明ける頃には雨も止み、雲の切れ間から日が差し込んでいた。海は再び、何事もなかったかのように静けさを取り戻していた。捜索隊が直哉を見つけたのは、潮の引いたあとの泥だらけの浜だった。200メートルほど下流の岩場まで流され、岩と岩の隙間に体が挟まっていた。服はあちこち破れ、顔には泥と砂がこびりつき、細かな傷が無数についていた。私は直哉のそばに膝をついた。寧々が止めようとしたが、その手を振り払った。直哉の顔についた砂を、手で拭った。少しずつ、丁寧に。直哉は目を閉じたままだった。唇は紫色に変わり、肌はもう冷たくなっていた。涙は出なかった。体の奥で何かが砕けた気がした。あまりにも粉々に壊れてしまって、音さえしなかった。直哉の右手は、胸元で固く握り締められていた。私はその指を開こうとした。硬く、冷え切っていた。指を1本ずつ、ゆっくりとほどいていった。手のひらには、何もなかった。ただ、深い弧を描くような痕が残っていた。縁の部分は、長く強く握り続けたせいか、皮膚が硬くなっていた。その瞬間、思い出した。海斗が私にくれた、あの貝殻。私はずっと、教卓の引き出しに入れていた。1週間ほど前になくなっていることに気づいたが、子どもの誰かが遊びに持ち出したのだと思っていた。寧々が、直哉のズボンのポケットから何かを取り出した。砕けた貝殻だった。破片の曲線は、直哉の手のひらに残った痕とぴたりと重なった。直哉はずっと、それを握り締めていたのだ。海斗が「耳に当てれば怖くなくなる」と教えてくれた、あの貝殻を。私は泥の中に膝をついたまま、ようやく泣いた。愛していたからではない。憎んでいたからでもない。直哉が、生まれて初めて迷わず私を選んでくれたからだった。その代わり、直哉はもう二度と何かを選ぶことができなくなった。海斗が駆け寄ってきて、私の首にしがみついた。小さな声で尋ねた。「先生、直哉おじさんは、お父さんを会いに行ったの?僕のお父さんも、海でいなくなったんだ」私は海斗を強く抱き締めた。何も答えられなかった。その後、校長が直哉の暮らしていた物置を片づけた。一冊のノートから、紙切れが見つかった。直哉の字だった。【貝殻を耳

  • 掌の中で砕けた貝殻   第6話

    直哉は、本当に島に残った。ある村民の家の物置を借りて暮らし始めた。毎朝、まだ空が明るくなる前に起き、校長と一緒に屋根の防水シートを直し、漁師たちの網干し台を組み直し、海斗の祖母のために薪を割り、水を運んだ。そして毎日、私の寮の前に何かを置いていった。ミネラルウォーターの日もあれば、島の小さな商店に置かれている数少ない菓子の袋の日もあった。【今日は風が強い。上着を持っていって】そう書かれたメモだけが置かれていることもあった。私は一度もドアを開けて受け取らなかった。代わりに寧々が回収してくれた。直哉とは口を利かなかった。学校で顔を合わせても、直哉は遠くから私を見ているだけで、近づいてはこなかった。子どもたちは彼を「直哉おじさん」と呼び、手を引いて一緒にボールを蹴っていた。笑うときの直哉は、以前とは違って見えた。「俺が助けてやる」と言わんばかりの、あの上から見下ろすような表情はもうなかった。2週間ほど経ったある日、海斗が私に尋ねた。「宮原先生、直哉おじさんは、どうして毎日校庭から先生を見てるの?」「悪いことをしたからよ」海斗は少し考え込んだ。「じゃあ、ちゃんとごめんなさいした?」「したよ」「先生は許したの?」私は答えなかった。さらにしばらく経ったある夕方、私は海沿いの遊歩道を歩いていた。直哉は少し離れた岩場に腰を下ろし、ズボンの裾をまくって、海水に足を浸していた。夕日を眺めていた。直哉が一人で静かに座り、何もせずに過ごすこともあるのだと、そのとき初めて知った。私に気づくと、直哉は立ち上がり、こちらへ歩いてきた。すれ違いざま、静かに言った。「今日の夕焼け、きれいだな」それだけ言って、立ち去った。許しを乞うことも、しつこく引き止めることもなかった。島へ来て4週目に入った頃、気象警報が出た。防災無線では、3日後に非常に強い台風が接近し、最大風速30メートルを超える猛烈な風と高潮のおそれがあると繰り返し伝えていた。島の漁船はすべて港へ戻り、学校は休校になった。低地に暮らす住民たちは、山の避難所へ移ることになった。校長が中心となり、必要な物資を山へ運び始めた。直哉も黙って作業に加わった。自分の背丈を超えるほど大きな防水マットを担ぎ、何度

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