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39.文化祭初日。

last update publish date: 2026-01-16 10:58:51

ついにきた文化祭当日。

私は風紀委員として、タブレットを片手に学校内を隈なく見回っていた。

もちろん、委員会の仕事をする為に、だ。

風紀委員の文化祭での仕事、採点は、文化祭中の2日間にも当然行われる。

良い行いには加点を、悪い行いには減点を、この手元にある学校支給のタブレットで行うのだ。

現時点では、各クラスや部活に大きな得点の開きはなく、どこも並んでいる状況だった。

この風紀委員による得点に加え、明日の午後から行われる人気投票の票数が、最終的な結果へと繋がる。

その為、当然どのクラス、どの部活も、票を得ようと、文化祭当日もはりきっていた。

ちなみに投票は明日の午後からと言ったが、舞台部門だけは、正確には明日の全ての舞台が終わってからだ。

ふと、視界の隅に、泣いている小学校低学年くらいの女の子とそんな女の子に優しく声をかけている男子生徒の姿が入る。

とても素晴らしい行いだ。

少し様子を見てみると、そのまま解決しそうな雰囲気だったので、男子生徒のクラス、部活を確認して、そこに一点加点した。

それから次に目に入ったのは、嫌がる女子生徒に無理やりな客引きをしている男子生徒の姿だった。

「嫌
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  • 推しに告白(嘘)されまして。   93.知らなかった感情。

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  • 推しに告白(嘘)されまして。   89.雨と体操服。

    朝、私は駅で1人絶望していた。先ほどまで晴れていた空が、どんよりとした雲に覆われていたからだ。しかもその雲からザァザァと勢いよく雨まで降っていた。最悪だ。傘持って来てない。天気予報も見ず、のうのうとここまで来た先ほどまでの自分を恨む。「…」空を睨んでみたはいいものの、もちろんそれだけで天気が変わるわけもなく。仕方なくスマホを見れば、今日は一日中雨予報で、この雨が止むことはないようだった。…仕方ない。心の中でそう呟き、私は駅から学校へと駆け出した。*****「はぁ、はぁ」やっとの思いで学校までたどり着いた私は、下駄箱前で両膝を押さえていた。雨の中ここまで駆け抜けてきた為、全身びしょ濡れだ。さ、寒い…。三月とはいえ、まだまだ気温は低いので、普通に寒い。私は寒さに震えながらも、とりあえずスカートの端を掴み、水を絞った。続けてブレザーを脱ぎ、同じように絞る。あとはある程度絞り終えた制服をハンカチで拭きながらも、私は考えた。とりあえず、この後保健室へ行って、体操服を借りなければ。このままでは風邪を引く。「…柚子?」そんな私に後ろからとんでもなく素敵なイケボが声をかけてきた。このイケボは間違いなく、私の推し、悠里くんの声だ。  「あ、悠里くん。おはよう」声の方へと振り向けば、そこにはやはり練習着姿の悠里くんがいた。どうやら朝練前のようだ。私と目の合った悠里くんはぎょっと目を見開いた。ん?何故?「ゆ、柚子…っ!?どうしたの、それ!?」首を傾げる私に、慌てて悠里くんが駆け寄ってくる。そしてそのまま手に持っていたタオルを私の頭にかけ、わしゃわしゃと髪を拭き始めた。あー。私がびしょ濡れだったから悠里くんはあんな顔をしたのか。…じゃなくて!「や、やめて!悠里くん!悠里くんの貴重なタオルが私のせいで使い物にならなくなっちゃう!」柔らかくいい匂いに包まれながらも、私は必死で抵抗する。悠里くんのタオルは悠里くんの尊い汗を拭くものであって、決して私を拭くものではない!断じて違う!首を一生懸命横に振り、悠里くんの腕に手を伸ばすが、それでも悠里くんはその手を止めなかった。「やめないよ。このままだと柚子風邪引いちゃうじゃん」タオルで両頬を包まれて、悠里くんが真剣な表情で私の瞳を覗く。そのあまりにもまっすぐな視線に、

  • 推しに告白(嘘)されまして。   88.不名誉な疑惑。

    バレンタインからあっという間に時は流れ、三学期の終わりが見えてきた今日この頃。放課後の風紀委員室で他の風紀委員たちと仕事をしていると、ガチャリと扉が開かれた。「邪魔するぞ」そう言って風紀委員室に現れたのは、生徒会長だ。2年の進学科でクラスメイトでもある生徒会長、田中は、ファイルを抱えて、まっすぐとこちらまでやって来た。綺麗にセットされた黒髪に、ふちのない眼鏡。きちんと着こなされた制服は、まさに生徒に見せたい見本そのものだ。真面目が服を着ているような彼と私は馬が合い、生徒会長と風紀委員長という立場上、よく話をする仲でもあった。「どうしたの、田中。何か不備でもあった?」いつもの調子で書類から視線を上げ、田中を見る。すると田中はそんな私に何故かとても難しい顔をした。一体、何が田中にあんな顔をさせているのか。不思議に思いながらも田中の言葉を待っていると、田中は私の目の前で、ファイルの中にあった紙をバサァッと、何十枚も広げた。「これを見ろ。目安箱に入れられていたものだ」田中が眼鏡の奥で、私に鋭い視線を向ける。その視線の意味が全くわからず、私は首を傾げたが、とりあえず目の前に広げられた紙を手に取ってみた。目安箱とは、名の通りのもので、生徒たちの要望や悩みなどを匿名で聞くものだ。ちょっとした不憫なこと、あればありがたいこと、校則の改善案など、入れられる意見はさまざまなのだが、私が手に取った紙にはそんなことは書かれていなかった。『鉄子は誰と付き合っているの?千晴くん?悠里くん?』「…ん?」紙に書かれていたまさかの内容に見間違いか、と自分の目を一瞬疑う。…なんだ、これ?ふざけているようにしか見えない内容の紙を一度机に置き、他のものにも目を向けてみる。『鉄子先輩の彼氏は悠里先輩ですよね?』『千晴くんと鉄子はこっそり付き合っている』『鉄子は悠里くんと千晴くん、2人と付き合っているで合ってますか?』だが、どの紙を見ても、ふざけた内容のものしかなかった。目安箱にこれが入っていたというのか。全くうちの生徒たちは目安箱をなんだと思っているんだ。広げられた紙たちの内容に呆れながらも「何、これ」と苦笑する。すると田中はそんな私に淡々と告げた。「ここ1ヶ月の間に目安箱に入れられたものだ。お前の振る舞いが招いた結果だぞ」「…はぁ」まるで

  • 推しに告白(嘘)されまして。   83.仕上げ。

    優雅で楽しい、そしてほんの少し恥ずかしい、そんなひと時を過ごした後。時間になったので、私たちは厨房へと戻ってきていた。いよいよ、生チョコタルト作り再開だ。次の工程は寝かせていた生地をタルトの形にする、というものだった。ちなみに千晴はまたあの座り心地の良さそうな椅子に座って、こちらをどこか楽しげに見つめていた。まるでどこぞの王族のようだ。「この生地を伸ばすのよ、慎重にね」「う、うん」千夏ちゃんに見守れながらも、木の板…いや、千夏ちゃん曰く、ペストリーボードと呼ばれるものの上に置かれた生地を、めん棒でゆっくりと円になるように伸ばしていく。最初は薄くなりすぎることを恐れて、おそる

  • 推しに告白(嘘)されまして。   82.雅な遊戯。

    千夏ちゃんの手によって手際よく混ぜられた生地。それをお情けで私が冷蔵庫へと入れたところで、生チョコタルト作りは、一旦中断となった。ここから約1時間ほど冷蔵庫で生地を寝かせるらしい。この約1時間、私たちは特に何もすることがない。そこで何か暇を潰そうと千夏ちゃんから提案されたのが、軽く楽器を触る、だった。何と雅な暇つぶしなのだろうか。そう思いながらも、豪邸内を移動し、やってきたのは、シックでおしゃれな雰囲気の楽器専用の部屋だった。部屋の中心にはL字の大きなソファがあり、その前にはテーブルがある。壁際には、学校で見るものよりも大きなピアノがあり、大きな棚には飾るように、ヴァイオリン

  • 推しに告白(嘘)されまして。   81.破壊神、柚子。

    マイペースな兄妹に頭を悩まされながらも、バレンタインチョコ作りは始まった。今日は生チョコタルトを作るらしい。「これなら難しくないし、お義姉様も作れるはずよ。まずは材料を計りましょう」千夏ちゃんは笑顔でそれだけ言うと、手際よく真ん中にあるテーブルに必要な材料を置き始めた。バターに、砂糖に、多分小麦粉に、謎の粉に、小瓶に入った正体不明の液体。電子はかりに、ボウル、ゴムベラ、泡立て器。千夏ちゃんがどんどん出す必要なものを私は慌てて、受け取り、一緒に準備を進めていく。いろいろなものが並べられたところで、千夏ちゃんはやっとその動きを止めた。「必要なものはざっとこんなものかしら。次は計量

  • 推しに告白(嘘)されまして。   80.勘違いは続く。

    2月13日、日曜日、バレンタイン前日。私は千夏ちゃんとバレンタインチョコを作るために、午後から千晴の家へとお邪魔していた。毎度の如く、あのご立派すぎるリムジンの送迎付きで。しかも我が家のインターホンを押したのは何故か千晴で、お母さんが「千晴くんいらっしゃあい」と、もう千晴のことを覚えてしまっていた。…しかも私の彼氏として。もちろん、訂正したかったし、しようともしたのだが、あれよあれよという間にリムジンに乗せられた為、また訂正することができなかった。もうずっとお母さんの中では千晴が私の彼氏である。とんでもない勘違いだ。冬休みにも訪れた、人が住んでいる家とは思えない豪邸の廊下を歩

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