推しに告白(嘘)されまして。

推しに告白(嘘)されまして。

last updateLast Updated : 2026-05-22
By:  朝比奈未涼Completed
Language: Japanese
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鷹野高校風紀委員長・鉄崎柚子は、密かに推していた“バスケ部の王子”沢村悠里から、ある日、告白(嘘)される。またとない機会に、柚子は嘘とわかっていながらも、その告白を受け入れた。嘘から始まった2人の関係。その中で次第に本気で柚子に惹かれていく悠里。一方、柚子の後輩で一匹狼の華守千晴も、誰にも見せない想いを柚子に向けていた。 真面目鈍感ヒロイン×爽やか王子(のちに愛重め)×主人公にだけ懐く後輩(愛重め) 三人の“好き”が交差する、重たい愛が暴れ出す、ドタバタ三角関係ラブコメ開幕!

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Chapter 1

1.鉄子に玉砕大作戦!

"Tidurlah di kamar ini, ini kamarku. Malam ini aku akan tidur dikamar Riko," ucap mas Arsen. Arseno Candra Wijaya laki-laki yang beberapa jam lalu menikahiku berkata datar tanpa ekspresi, setelah berkata begitu dia keluar kamar tanpa berkata lagi.

Aku hanya diam tidak menjawab ucapannya, otakku masih belum bisa mencerna apa yang sedang terjadi padaku. Harusnya hari ini adalah hari yang bahagia buatku, aku akan menikah dengan orang yang sangat aku cintai, Riko Candra Wijaya adik dari mas Arsen.

Pagi tadi, saat semua sudah siap, penghulu sudah menunggu tapi rombongan pengantin laki-laki tidak kunjung datang. Sampai waktu sudah molor satu jam dari jadwal mereka masih belum datang, saat semua sudah mulai panik karena telpon pun tak ada yang menjawab akhirnya mas Arsen datang.

Dia datang seorang diri, tanpa mas Riko maupun iringan pengantin. Mas Arsen datang dengan kabar duka, dia bilang mobil yang ditumpangi mas Riko dan mamanya mengalami kecelakaan. Mas Riko meninggal ditempat sedangkan mama terluka.

Mas Arsen datang dan akan menggantikan mas Riko menikah denganku atas perintah dari papanya. Sejujurnya aku tidak bisa menerima keputusan ini, bagaimana bisa kami menikah disaat orang yang aku cintai pergi meninggalkanku dalam sebuah kecelakaan, apa itu masuk akal.

Sudah tidak ada lagi negosiasi, tamu dan penghulu sudah menunggu, semua berjalan dengan cepat dan disinilah aku sekarang. Dikamar orang yang seharusnya menjadi kakak ipar ku. 

💕💕💕

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1.鉄子に玉砕大作戦!
「名付けて!鉄子に玉砕大作戦だ!」 放課後、廊下を移動していると、とある教室からそんなふざけた作戦の名前が聞こえてきた。全く誰がこんなバカな話をしているのか。呆れながらも少し気になったのでその場で足を止め、声の聞こえた教室の方へと聞き耳を立ててみる。ちなみに鉄子とは私、鉄崎柚子のことである。「お前はモテすぎなんだよ!悠里!だから鉄子に告白して玉砕するんだ!」 強くそう言い切った男子生徒の言葉に、私の心臓がドクンッと跳ねる。男子生徒から出てきた名前、悠里とは、私の推し、沢村悠里くんだ。どうやらあの教室内には同学年のスポーツ科の沢村悠里くんもいるらしい。 沢村くんはまだ3年生が引退していないにも関わらず、2年生にして我が校のバスケ部のエースであり、そのかっこよすぎる爽やかな見た目から〝バスケ部の王子〟と言われ、ファンを多数獲得している存在だ。ちなみに私もそのファンの1人で、決して表には出さないが、こっそり沢村くんを推していた。「イケメンで?優しくて?高身長で?バスケ部のエースで?そりゃ、女子が放っておかないよな?」からかうような声に、周囲は笑う。「毎日毎日悠里に告白告白。うちの大事なエースなのに告白の対応でほぼ部活に出られない、練習に参加できないってどういうことなんだよ」そこに今度は呆れとも困惑ともつかない声が混じる。「毎日最低、1〜2人、多い時は5人以上に告白されて、それに毎度丁寧に受け答えしてりゃあ練習時間もなくなるわな」「うちは強豪校の一つだぞ?今年は全国でのベスト8だって狙っているのにこれじゃあな…」 続けて、1人は不満げに、1人は不安げに声を上げた。先ほどまで明るかった空気が、一気に重くなる。教室内から聞こえる複数の男子生徒たちの困っているような声や、不満そうな声。 彼らの話の内容を聞き、私はすぐに教室内にいるのは、男子バスケ部の生徒たちと沢村くんだと察せた。沢村くんが毎日告白されていることは、この学校では周知の事実であり、放課後の恒例行事にさえもなっていたが、まさかここまで深刻な状況になっていたとは。そしてその告白に全て丁寧に対応していたなんて、やはり沢村くんは推せる。「だからそこで鉄子に玉砕大作戦なんだよ!」 暗い空気が流れる中、私が足を止めるきっかけとなった作戦を、声高々に言う者が現れた。
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2.手のかかる後輩。
 鉄崎柚子。鷹野高校進学科所属の風紀委員会委員長。その真面目さと圧倒的迫力からくる怖さから、生徒たちから〝鉄子〟と呼ばれ、恐れられており、高校1年生の秋、前風紀委員長から異例の抜擢を受け、風紀委員会委員長となった。その後、2年生でもその役目を務め、今、校門の前で腕組みをして立っている。昨日の出来事によって、今にもにやけてしまいそうな顔に目一杯力を入れて。 「お、おい。鉄子がとんでもない剣幕で立っているぞ」1人の男子生徒が、不安げにこちらを見る。「しっ、聞こえるぞ、バカ。夏休み明けだから気合い入ってるんだよ。昨日も何人の生徒が泣かされていたか」そんな男子生徒に、もう1人の男性生徒が声をひそめた。「と、とりあえずちゃんとした服装だよね?校則違反していないよね?私」私の前を今、まさに通ろうとしている女子生徒は、顔面蒼白で、自身の服装の再確認をしている。校門前にいる私をチラチラと見ながら、複数の生徒たちが校舎へと向かっていく。そんな生徒たちに、私は一人一人視線を向け、校則違反者はいないか確認していた。そう、今は夏休み明けの9月。夏休み明けといえば、みんな気が緩む時期だ。そんな時期だからこそ、校則違反をする者も多い。じっと生徒の波を見ていると、向こうの方から一際目立つ存在が現れた。あの校則を派手に破っている金髪は…。 「 華守千晴!止まりなさい!」 私は強い口調で、金髪の男、千晴の前に立ちはだかった。 「あ、先輩だ。おはよー」  私に声をかけられて、何故か嬉しそうに笑うこの男は、驚くほど校則を破っていた。 まずは特徴的なふわふわの猫毛の金髪。さらには制服まで着崩しており、ネクタイもゆるゆる。目鼻立ちが整っており、スッとした美人で、さらに細身だが、高身長でスタイルもいい為、全てがまるでおしゃれに見え、そういうものかもしれないと思ってしまうが、全部が全部、校則違反だ。 このオール校則違反で、何とうちの高校の進学科の1生生だとは、驚きを通り越して、信じられないものがある。 うちの高校は普通科、進学科、スポーツ科の3つの科があり、進学科の生徒は比較的真面目な生徒が多く、校則もちろん守る生徒が多いのだ。だいたい校則を破っているのは、普通科の生徒かスポーツ科の生徒だ。 それが何故、進学科の生徒であるコイ
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3.推しに告白される。
 その日の昼休み。私は今日も生徒たちで賑わう教室の窓際で、中学からの親友であり、同じクラスの浪川雪乃と共に昼食を食べていた。そして昨日あったとんでもない出来事を、やっと雪乃に伝えることができていた。「推しがねっ、何と、私にっ、告白してくれるんだよっ」 できれば興奮そのままに、大きな声で発表したいことなのだが、そんなことをしてしまえば、〝鉄子に玉砕大作戦!〟が周りに知れ渡り、作戦を実行してもらえないかもしれない。なので、興奮気味にだが、何とか小声で、雪乃にそう言う。すると、雪乃は「楽しいねぇ」と、どうでも良さそうに笑った。「王子もいいけどさ、アンタには千晴くんがいるじゃん」嬉しそうな私に突然そんなことを雪乃が言う。「…?」何故、急に千晴の話になるんだ? 雪乃の言いたいことがよく分からず、首を傾げていると、そんな私を見て、雪乃は呆れたように笑った。「千晴くん、絶対柚子のこと好きじゃん」「は?何言ってるの?ないない。それはない」 雪乃のぶっ飛びすぎている冗談に、思わずこちらも呆れて笑ってしまう。さては私を笑わそうとしているな?「いやあるでしょ?あれはどう見てもそうでしょ?アンタにだけ笑って、アンタにだけ懐いて、アンタにだけされるがままなんだよ?」「あのね、雪乃。あれはね、今まで会ったことのないタイプの私を面白がっているだけなんだよ。みんな、千晴が怖くて近寄れないでしょ?でも私は近寄れるし、世話まで不本意だけど焼いているじゃん?千晴にとって私は第二のお母ちゃんかお姉ちゃんみたいな存在なんだよ?」「…本気で言ってる?」「そっちこそまさか本気で?」 互いに互いを信じられないものでも見るような目で見る。あの恋愛ごとにはめっぽう強い雪乃がまさか冗談ではなく、本気で千晴が私のことを好きだと思っていたなんて。 長い腰まである真っ直ぐな黒髪に、まるでアイドルのような可愛らしい顔。制服もきちんと着ており、風紀委員長の私が指摘する箇所なんてもちろんない。そんな浪川雪乃はご覧の通り、清純派美少女の見た目だが、中身は全く違った。 とんでもない小悪魔で男遊びが激しいなのだ。もうそれも相当。彼氏が複数人いるなんて当たり前。常に男を切らさない雪乃だが、立ち回りがとてもうまく、この高校では清楚系美少女として通っていた。 自分で言う
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4.付き合うとは?
朝、いつものように委員会活動という名の服装チェックを校門前でしていると、とある噂話が聞こえてきた。「あの鉄子が王子と付き合っているらしい」、と。鉄子とはもちろん私、鉄崎柚子のことであり、王子とはそう間違いなく、疑う余地もなく、あの私の推し、沢村悠里くんただ1人である。沢村くんに告白され、数日。まだまだ私たちの関係について半信半疑である声もよく耳にするが、私たちは間違いなく、数日前から付き合っていた。何と幸せな事実なのだろうか。嬉しさと幸せのあまり緩んでしまいそうになっていた顔に、ぐっと力を込める。すると、人混みの中からとんでもないイケボが私に向けられた。 「おはよう、鉄崎さん」 この声は間違いなく沢村くんだ。せっかく力を入れた表情筋が、思いがけず、緩みそうになる。 「おはよう、沢村くん」 しかし私はそれでも、頬に力を入れ、いつもの〝風紀委員長〟の顔を作った。そして、そんな私の視界に、とんでもなくかっこいい、王子と呼ばれていることにも頷ける、眩しい存在が飛び込んできた。もちろん、沢村くんだ。悠里くんは、どこかぎこちなく私に微笑んでいた。朝日を浴びて微笑む推し、素晴らしすぎて涙が出そうだ。 「…そ、それじゃあまた」「うん、またね」 挨拶もそこそこにその場から離れる沢村くんに、私はにやけそうな顔に、さらに力を入れて、何事もないように対応する。彼女だからこうやって挨拶してもらえるんだよね!以前の私は、数ある生徒の1人として、沢村くんに挨拶していたし、沢村くんも私1人に対して挨拶なんてもちろんしてくれていなかった。そういう関係だった。それが今では目と目を合わせて挨拶する仲だ。付き合うって本当に素晴らしい。 「…あれ、本当に付
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5.反省文監督。
そしてあっという間に放課後がやってきた。見事推しと一緒に帰る約束を取り付けた私は、沢村くんと帰れる2時間後を思いながらも、風紀委員室で、委員会活動に励んでいた。…と、言っても、私の委員会活動は、やっても1時間くらいだ。あと1時間は、沢村くんの部活が終わるまで、どこかで時間を潰さなくてはならない。いつもより長く仕事をして、少しの時間だけ、こっそり沢村くんの部活を見て、一緒に帰ろうかな…。この後の計画を立てながらも、書類を軽く確認していると、机を挟んで向こう側にいる金髪が目に入った。金髪とはもちろん千晴のことだ。千晴はあまりにもダイナミックに校則違反をするので、この度、私の決定ではなく、風紀委員の顧問の先生によって、千晴の反省文提出が決まったのだ。そしてその千晴の監督を何故か風紀委員から選ぶことになり、私に白羽の矢が立った。その為、私は今、千晴とマンツーマンでこの風紀委員室にいた。全く何故こうなったのか。一生徒の風紀委員が、監督する理由も、突然千晴に反省文を書かせる流れになった理由も、全く意味がわからない。まあ、風紀委員として仕事を頼まれたのならば、受けるしかないのだが。それにこれに懲りて、千晴が校則を守るようになれば、万々歳だ。改めて手に持っている書類に目を通しながらも、監督する為に、千晴を盗み見る。窓から入る明るい夏の日差しを受けて、キラキラと輝く金髪はやはり、綺麗な顔をした千晴にはよく似合っていて。プリントに視線を落とす、まつ毛はとても長く、その綺麗な顔に影を落としていた。スッとした鼻、形の良い口、整った眉。千晴の全ては、まるで作り物のように、完璧だ。やっぱり、綺麗な顔だよね。目の前にいる男に、私はしみじみ思った。黙ってきちんとしていれば、絶対いろいろと得するはずなのに、どうしてそうしないのだろうか。うちの高校の進学科に入れたということは、頭だっていいはずだ。それなのに校則は破りまくるし、悪い噂が付きまとうくらいには素行が悪くて周りから怖がられているし。何か理由でもあるのだろうか。自分が不利になることを続ける理由が。すっかり書類に目を通すことを忘れて、じっと千晴を見ていると、バチっと千晴と目が合った。少し気怠げな千晴の瞳が、私の瞳の奥底を覗くように、じっと見つめる。「ねぇ」それからゆっくりとその形の良い口を
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6.推しと帰り道。
委員会活動は基本放課後の1時間だ。しかし千晴の反省文の監督をした結果、私は放課後の2時間丸々それに費やすこととなった。しかも信じられない話だが、2時間も書いていたのに全く終わらなかったのだ。そう、全く。反省文を書いていた2時間、千晴は渡された紙にきちんと向き合い、確かに文字を書いていた。もちろん、私と話をしていた時間もあったが。なので、私も委員会活動をしながらもそれを見ていた。…が、真面目に反省文を書いていると思い込んでいたことが、そもそも大きな間違いだった。何となく監督ついでに反省文の内容を見てみると、そこには全く関係のないことばかり書かれていたのだ。『柚子先輩の怒りっぽいけど面倒見のいいところが好き』『文句を言いながらも、見放せないところが好き』『笑顔が可愛い』『怒っているところも可愛い』『こっちを見てまず睨んでくるけど、懐いていない子猫みたいで面白い』このふざけた内容は全部反省文に書かれていたほんの一部である。「全くあんなことばかり書いていたなんてあり得ない!ちゃんと見ておけばよかった!」「あんなことって。俺なりに真剣に取り組んでいたつもりなんだけど」「真剣?あれが?アンタが書いていたあれは反省文じゃなくて私への感想文っていうの!真剣のベクトルが違いすぎるの!」どこか不満げな千晴にこちらも不満をぶつける。全く、このクレイジー美人は!本当に一体何を考えているんだ!?下校時間になったので、反省文は全く終わっていないのだが、仕方なく風紀委員室から千晴と校舎外へと出る。それから校門まで一緒に歩くと、そこには私の推しが待っていた。「あ、鉄崎さん…と華守くん?」私たちの姿を見て、沢村くんが不思議そうに首を傾げる。何故、2人が一緒に?と、とても不思議そうだ。沢村くんと千晴にもちろん面識なんてない。だが、千晴は本当によく目立つ存在なので、面識はなくとも、沢村くんは千晴を知っているようだった。「お待たせ、沢村くん。帰ろっか」不思議そうな沢村くんだったが、別に説明は不要だろうと思い、何事もなかったように、笑顔で沢村くんに近づく。そしてそんな私に千晴は「じゃあまたね、先輩」と笑顔で手を振り、その場から離れた。千晴の目が一瞬笑っていなかった気がしたが、きっと見間違いだろう。千晴と別れて、改めて、沢村くんと並び、街を歩く。
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7.王子の苦悩。side悠里
side悠里鉄崎さんと付き合い始めて1週間が経った。最初の数日は顔を合わせれば挨拶をする、顔見知りから知り合いに変わった程度の変化しかなく、本当にあの告白の返事は現実だったのか、夢ではなかったのか、と疑う日々を送っていた。だが、それでも一応鉄崎さんと付き合っていることにさせてもらった。鉄崎さんと付き合うことになってからも、たくさんの人に告白されそうになったからだ。誰かが俺に告白しようと俺を呼び出す度に、それとなく彼女の有無を聞かれる度に、俺は鉄崎さんに申し訳ないと思いながらも、「鉄崎さんと付き合っている」と言ってきた。またバスケ部員のみんなも俺の練習時間を確保する為に、本人たちも半信半疑でだが、一生懸命、俺と鉄崎さんが付き合っている事実を学校中に広めてくれた。しかし、もしもあの時の返事が実は夢だったのなら。鉄崎さんを知らぬ間に巻き込んでしまっている現状に、やはりとても申し訳ない気持ちなってしまう。だから俺はよくあの場にいたバスケ部のみんなに確認していた。あの告白の返事は現実だったのか、と。するとみんなはいつも「信じられないが現実だった」と、強く頷いてくれた。あの時、俺はあの場にいようとしたバスケ部のみんなに鉄崎さんに失礼だからどこかに行くようにと強く言った。だが、彼らは「俺たちのエースの大事な局面だから」と真剣な顔で食い下がり、あの場から離れようとしなかった。なので、仕方なく最終的に俺が折れた。どうせフラれて恥ずかしい思いをするのは俺なのだから鉄崎さんには悪いがもう仕方ない。そんなあの場にいた彼らもあれは現実だと言う。あの場にいた誰もが鉄崎さんの返事に耳を疑ったらしいが、それでもあの場にいた誰もが鉄崎さんが俺の告白を受け入れた声をきちんと聞いていた。俺とあの場にいた部員。全員が鉄崎さんの返事を確かに聞いているのだ。関係の変化がないとはいえ、あの日を境に、俺と鉄崎さんは一応付き合うことになったようだった。だから俺たちは練習時間確保の為にも、鉄崎さんという存在を利用させてもらうことにした。ーーー俺と鉄崎さんは付き合っている。けれど関係はあまり変わらない。付き合っているのなら何かしなければならないはずだ。だが、あの鉄崎さんに何をすればいいのかわからない。そんなことを思い、ずっと動けないでいると、何と鉄崎さんの方からアプロ
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8.推しとデート。
side柚子PM:12:00。私、鉄崎柚子は推しとのデートの集合場所である駅前に、集合時間の約1時間前から推しこと、沢村くんのことを待っていた。何故1時間も前から集合場所へ来ているのか。理由は簡単だ。推しである沢村くんの大切な時間を一分一秒でも無駄にしたくないからだ。きっと真面目で優しい沢村くんなら、約束の15分前にはここへ来るだろう。ならば、私も15分前に…と思うところだが、それだとタイミングによっては、沢村くんが私を数分待つ状況になりかねない。そうならない為にも、沢村くんが来るであろう15分前のさらに15分前にここへ来るべきだ。つまり約束の30分前だ。それならば沢村くんを絶対に待たせるという失態は犯さないだろう。だが、しかしそれでもまだダメだ。ここへ来る前に何かハプニングに遭遇する可能性だって大いにあるのだ。電車が遅延するかもしれない。困っている人を助けるかもしれない。全部信号が赤かもしれない。街には遅れる要因がたくさんある。それらのことを全て配慮した結果、私は約束の1時間前には駅前につくようにした。これでもう完璧だ。沢村くんと付き合い始めて最初の日曜日。まさかもう沢村くんとデートができるとは思わず、私は浮かれに浮かれまくっていた。沢村くんの隣にいても恥ずかしくないように、また、あわよくば可愛いと思ってもらえるように、今日の私には、気合いしか入っていない。いつもは後ろで一つに結んでいる胸の上まである黒髪も、今日はおろして緩く巻いており、服装も白に小さな黒いハートが散りばめられたマーメイドワンピースと可愛らしく仕上げてきた。メイクも軽くしており、私の装備は完璧である。もちろんこういうことには疎いので、全て雪乃にやってもらった。清楚系小悪魔モテ美少女に感謝だ。今日は今ハマりにハマっている運命diaryの実写映画を沢村くんと観に行く。映画を観ることも楽しみだし、休日の推しを見られることも楽しみだし、もう楽しみしかない。ここで推しを想いながら1時間待つことも全く苦ではない。そんなことを思いながらも沢村くんを待つことまだたったの30分。約束の時間までまだ30分もあるというのに、沢村くんはもう集合場所までやって来た。ダボっとした大きめのデニムパンツに白のTシャツ。シンプルながらも爽やかで沢村くんの良さを120%引き出し
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9.スマートで優しい。
運命diaryに登場する神社を満喫し尽くした後、私たちは映画館へと移動した。そしてそのまま早速チケットを買おうとした私だったが、それを沢村くんに止められた。何と沢村くんがもうスマホで2人分のチケットを用意してくれていたのだ。何て計画的で、スマートなのだろうか。「これ、チケット代」「え?」ポップコーンやジュースの注文を終え、カウンターの前で沢村くんと2人で待っている間に、私は映画代+今日はありがとう代として5000円札を沢村くんに差し出した。そんな私を見て沢村くんが一瞬固まる。だが、固まったのはほんの一瞬だけで、沢村くんはすぐに困ったように笑いながら両手を小さく左右に振った。「いやいやいいよ。俺が誘ったんだし。受け取れないから」「いや、私も見たかったし、受け取って!」「いやいや、本当にいいから。ね?」ぐいぐいと5000円札を沢村くんに差し出す私の手を、沢村くんがぐーっと押し返してくる。それから私の手にある5000円札を見て、「…チケット代にしては多くない?」と困惑していた。そうこうしているうちに私たちの待ち番号がカウンターにあるスクリーンに表示された。「行こう、鉄崎さん」「え、ええ?でもまだお金が…あ、ま、待って!」さっさと私に背を向けて、カウンターへと歩き出した沢村くんの背中を、私は慌てて追いかける。私の分のポップコーンたちまで、推しに持たせる訳にはいかない。とりあえずチケット代はまた後で払おう。こうしてポップコーンやジュースをカウンターで受け取った私たちは、ついに劇場内へと入った。劇場入り口で案内されたシアターへ向けて、私たちは廊下内を進む。するとその廊下内で、座り込んで泣いている5歳くらいの女の子の姿を見つけた。「うぅ、ゔぅ…ぐすんっ」泣き続けている女の子の周りには、ポップコーンが散乱しており、保護者らしき人が1人も見当たらない。私は気がつけばその子の元まで駆け寄っていた。「どうしたの?」「うぅ、あ、うぅ…」女の子と視線を合わせるようにその場にしゃがみ、女の子の顔を覗き込む。女の子は私と目が合うと、何か言いたげに口を開いたが、泣きすぎてうまく喋れないようだった。「大丈夫、ゆっくりでいいよ」そんな女の子の背中を、いつの間にか私と同じようにしゃがんでいた沢村くんが、優しく撫でる。さすが私の推し。誰に
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10.許せないこと。
あの後すぐに女の子のお母さんが現れたので、私たちは女の子をお母さんに引き渡した。女の子のお母さんは、最初、目が真っ赤な我が子を見て、とても狼狽えていたが、沢村くんから丁寧な説明を受け、状況を理解すると、私たちに感謝と謝罪をした。『ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。娘を助けていただきありがとうございます。ポップコーンもごめんなさい』と、申し訳なさそうに頭を下げた後、女の子のお母さんがポップコーン代として、数千円を私たちに渡そうとしてきたが、私たちはそれを断り、あの場を後にした。泣いている女の子に対してあんなにも優しく、狼狽えているお母さんに対しても、冷静に丁寧に対応できる私の推しは、やっぱりすごい人だと改めて思う。また一つ、推しの素晴らしいところを見つけてしまった。『…私たち戦うしかないの?』『ああ、そうだ』大きなスクリーンに運命diaryの主人公たちのやり取りが映し出される。残酷な定めに気づいてしまい、信じたくないと苦々しげな表情を浮かべる主人公の少女に、少年が難しい顔で淡々と事実を述べる、そんなシリアスなワンシーンだ。彼らが今後どうなるのかわかってはいるのだが、ハラハラする展開に、私はずっとドキドキしっぱなしだった。原作の漫画に忠実な登場人物にストーリー展開。あえてアレンジは入れず、真っ直ぐに原作の面白さを表現しているこの映画に、まだ数十分しか見ていないが、感動すら覚えていた。泣いていた女の子の対応をしていたこともあり、沢村くんとここへ来た時には、映画がもう始まっていた。だが、最初の数分を見逃してしまっても、やはりこの映画はとても面白かった。そんなことを思いながらも、映画に釘付けになっていると、斜め前の座席から小さな光を感じた。気になって光の方へと視線を向けると、そこには若そうな2人の男の人がこそこそと何かをしている姿があった。何をしているんだ?彼らのことが気になって、映画ではなく、彼らのことをじっと見る。すると、彼らのうちの1人が、こっそりと鞄からスマホの一部を出し、スクリーンへと向けたのだ。「…」目撃してしまった犯罪行為に私は言葉を失った。あれはどう見ても盗撮だ。何と許せない行為なのだろうか。彼らのしていることに気づき、怒りが湧いてくる。だが、大事にはしたくない、と思った。ここには沢村くんを始め、
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