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5. 「あの日の僕ら」⑪

Autor: 佐行 院
last update Fecha de publicación: 2025-08-30 11:11:36

-⑪ 4人でお買い物-

 龍太郎がほぼほぼやけくそ気味に鍋を振ったので少し焦げ気味になった炒飯を食べながら桃達はこれから向かう先で何を買おうか話し合っていた。

桃「もうすぐ夏だし、新しい夏物が欲しいんだよね。」

守「じゃあ、男女に分かれて買い物した方が良いんじゃないか?」

 守の一言を聞いた好美が即座に反応した。

好美「やだ、守に見て欲しいもん・・・。」

 好美は少しいじけている様子でいる、桃は少しため息をついた。

桃「好美、買い物後にお披露目するって形でも良いじゃない。」

好美「やだ、守と一緒に買い物したい!!」

 どうやら1秒でも長く守と過ごしていたい様だ、今日の好美は少し我儘になっていた。多分口いっぱいに炒飯を頬張っている様子を見られて恥ずかしかったのだろうか、ただ少しでも女の子らしさを見せたくて守に甘えようとしていた。

守「と・・・、取り敢えず早く食べて4人で行こうよ。」

 すると龍太郎が守の一言に逆らう様に山盛りになった唐揚げを持って来た、どうしても行かせたくないのだろうか。

守「頼んで・・・、無いけど?」

龍太郎「サービスだよ。さっきは言いすぎちまって・・・、あの・・・、
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    -210 何故隠す必要があったのか- 結愛はまた不可解な疑問に頭を悩ませていた、実の姉妹(家族)なら堂々と「クランデル」と名乗れば良いのにどうして名刺を2枚用意してまで隠す必要があったのだろうか。まさかと思うがエルフ独特の事情でもあったのだろうか、そしてこの疑問に関してハイラに聞いても良いのだろうかという疑念を抱いていた。ハイラ「やはり気になりますよね、本心では私も苗字を隠した名刺を用意したくは無かったんですがちょっと私の家って複雑だったんですよね。」結愛「「複雑」・・・、ですか・・・。」 日本(元の世界)でもよく聞く話だった様な気もするので所長の話の続きを聞く事に関しては何の抵抗も無かった、しかしハイラ本人が話したがるかどうかが問題。結愛「ハイラさん、その話って私も聞いても良い物なのでしょうか?」 所長が話しやすくするように言葉を選ぶ社長、こういった技術に関してはもうお手の物といったところか。ハイラ「少し長いですが、もし結愛さんが宜しければお話ししましょう。」結愛「ハイラさん側に何の支障も無ければ・・・。」ハイラ「ではここでは何ですので場所を移しますか、先程の場所で宜しければ参りましょう、新しいお茶をお淹れ致しますので。」 そう言うとハイラは結愛を連れて好美達のいる所長室へと戻ってきた、長い間退屈していたせいか好美は少し目が虚ろになっていた。守「お・・・、おい・・・、好美・・・。結愛達が戻って来たぞ。」好美「え・・・、あらま・・・。結愛だ・・・、電話どうだった?」結愛「長い間待たせて悪かったんだけどまだなんだ、ちょっと所長さんの話を聞こうと思って戻って来たんだよ。実は俺達の知ってる人の親類だったらしくてさ。」 眠い目をこする好美の様子を見て機転を利かせた所長、本心ではまったく望んでいないがこうするしか無かったのかも知れない。ハイラ「宜しければ珈琲に致しましょうか、他にお飲みになる方いらっしゃいますか?」 すると結愛以外が真っ直ぐに挙手した、それを見て開いた口が塞がらなかった所長。ハイラ「あの・・・、結愛さんは宜しいんですか?」結愛「私、珈琲苦手なんでこの美味しいお紅茶で。」ハイラ「あらま、無理に褒めなくても良いんですけどありがとうございます。」 人数分の珈琲を用意したハイラはゆっくりとソファに腰を下ろして一息ついた。ハイ

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    -207 社長として、そして友人として- 所長室にいた数人がレイトを泣かすまいと必死に宥めようとする中で大企業の社長には不審に思っていた事があった、確かに義弘の脱獄事件を受けたので貝塚警備の支社長を通して目の前のマイコニドを監視カメラの設置役としてこの強制収容所に派遣したのは自分自身だが常駐する様にとは頼んでいない。結愛は飽くまでビジネスとしての話なので「大人モード」で声を話しかける事にした、これは泣き虫(?)のレイトが話しやすくなるようにとの配慮も兼ねてだ。結愛「レイトさん、恐れ入りますが1つお伺いしても宜しいでしょうか?」レイト「私なんかに社長さんが聞く事なんてあるんですか?」 正直今の状況で聞く事が無かったら声をかけないと思うのだが今はそっとしておくのが1番だろう。結愛「あの・・・、確か貴女にお願いしたのは監視カメラの設置だけだと思うのですがそれはとっくに終わったはずなのにどうしていらっしゃるんですか?」レイト「えっと・・・、これは私が貝塚警備に就職してすぐの事なんですが支社長に監視カメラを設置してから数日後に必ず調整に行く様にと言われたんですよ。私はその時に聞いただけなんですが最近新しく出来た社則だそうです。」結愛「そうなんですか・・・、ちょっと支社長に確認しても宜しいですかね?」レイト「勿論です、その支社長本人に聞いたんですから。」結愛「別にレイトさんを疑っている訳ではないので大丈夫ですからね、安心して頂けたら助かります。ただ本社の社長としてしっかりと把握しておく義務があると思うんです。」 優しい眼差しでレイトと話す結愛の姿を見て同級生と自分の間に出来た差を誰よりも感じていた守、何となくだが「悪ガキモード(というより素の状態)」に戻したくて仕方が無かった。守「お前って意外と従業員思いだよな、義弘と違って。」結愛「「意外と」って何なんだ「意外と」って、それに比べる対象がおかしいだろうがよ。あのくそ親父と一緒にすんな!!」 突然素に戻った結愛を見て驚きを隠せなかったレイト、これはまずい雰囲気では無いのかと思ってしまったがどうやらマイコニドの心中には別の理由があった様で・・・。レイト「お・・・、お父さんの事を「くそ親父」なんて言っちゃ駄目ですぅ~!!」 最近貝塚警備(いや貝塚財閥)に入社したレイトは勿論義弘と結愛の過去を知る訳が無

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    -206 正体- さり気なく「通常モード(こっちで良いんだよな、多分)」に戻ったハイラによる意味不明な発言によりムクルや転生者達は一斉に首を傾げた、顔を見た事すら一度も無いのにもう会っているとはどういう事だろうか。ムクル「所長、どういうお方なのか存じ上げないのにもう既に私達とお会いした事があるとはどういう事でしょうか。」 また泣かす訳にはいかないのでじっくりと言葉を選びながら声をかける副所長、再び「泣き虫モード」に戻ってしまうとハッキリ言って厄介なのだ(と言うより買う事になるソフトキャンディーの個数をこれ以上増やしたくない)。ハイラ「えっとですね、お会いした事があると言うより先程からずっとこの部屋にいらっしゃっているんですけど。」ムクル「所長、恐れ入りますが我々以外にどなたもいらっしゃらないと思うのですが宜しければどちらにいらっしゃるか教えて頂けませんでしょうか?」 ムクルの依頼を聞いたハイラは全く人のいない方向を手差しした、所長の手の先には好美達も気になっていたキノコが生えていただけだった。好美「所長さん、私達の目がおかしいのかも知れませんが誰もいませんよ。」 好美は決して嘘をついているつもりは無かった、ただその横で頭を悩ませる人者が1人。結愛「好美、ちょっと待ってくれるか?うーん・・・、何となく身に覚えがあると思うんだよな・・・。」好美「えっ、どういう事?」 ただ好美の質問に答えたのは所長だった、ハイラは先程手差ししたキノコへと近づいて軸の上の方を軽く叩いた。ハイラ「そりゃあ身に覚えがあるはずですよ、だってこの方・・・。」 ハイラの合図に応じたかのようにすぐ隣に生えていた最も大きなキノコが一気に地中から抜け出してゆっくりと一回転すると軸に顔があったのが分かった、それを見て結愛はある事を一気に思い出した。結愛「思い出した、最近貝塚警備で雇ったマイコニド達を数人ほどこの収容所に送り込んだんだ。すっかり忘れてたぜ。」好美「マイコニドってキノコの・・・、でもこの世界にいたの?」結愛「実は俺も未だに信じ切れてないんだけどさ、どうやらバルファイ王国の小さな村に集団で住んでるらしいんだよ。それでこの前稼ぎ口が欲しいって泣きついて来たもんだから警備の職に就かせていたんだ、それからは支社長に任せていたから忘れていたよ。」 笑いながら頭を掻く結愛

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」205

    -205 許される為に- 所長の真っ直ぐな言葉に口をまごつかせる副所長が少し顔が赤くなっていた気がした恋人達はどこからどう見てもムクルが片思いをしている様に見えていた、しかし本人がおどおどとしていた理由は別であった。勿論、「あれ」である。所長「ムクルさん・・・、私に・・・、嘘ついたんですか・・・?」 再び泣き出しそうになっていた所長、何処からどう見てもムクルがやらかした様にしか思えない。ただ折角素に戻っていたというのにこれではなかなか話が進まない、早く所長をあやして貰いたいのだが・・・。ムクル「ああ・・・、所長、申し訳ありません。今度所長が大好きなソフトキャンディー買って来てあげますから許して下さいよ・・・。」 別に悪い訳では無いのだがソフトキャンディーで上司を何とか宥めようとする副所長、本当にこんな調子で大丈夫なのだろうかと心配になってしまう。所長「うっ・・・、うっ・・・、何味?」 正直「そこかよ」と突っ込みたくなったが今は所長の機嫌を直す事が先決である。ムクル「えっと・・・、グレープ味でよろしいでしょうか。」 結構チョイスがベタな気がするが、本当に良いのか?所長「ねぇ・・・、ラムネ・・・、ラムネ味じゃ駄目なの?」ムクル「ラムネ味ね、今度近くの雑貨屋で買って来ますから許して下さいね。」 転生者達が見守る中ラムネ味のソフトキャンディーが手に入る事が確約された所長は一気に機嫌を直した、ただこの孤島に一番近い雑貨屋を含めて3国にある店という店で今ラムネ味のソフトキャンディーが入手困難となっているのだが大丈夫なのだろうか。所長「明日には買って来てね、約束だよ!!」 因みに入手困難なそのソフトキャンディーは最短でも入荷が1週間先となっている上に人気のラムネ味は発注しても生産量自体が少ないので必ず店に商品が来るとは限らない。ムクル「わ・・・、分かりました。分かりましたのでお客様方への対応をお願い出来ますでしょうか。」 おいおい、本当にそんな約束して大丈夫か?もし買えず仕舞いだったら明日また大泣きするかも知れないぞ。 まぁ、良いか。どうせ俺には何の関係もない事だから話を進める事にしようかね。所長「大変失礼致しました、私ここの所長をしておりますハイラと申します。」 再び御手洗から戻ってきたハイラはトイレの個室でやっと見つけ出した名刺を差し出

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   6. 「あの日の僕ら2」63

    -63 思い出達- この日、龍太郎が作った物が守にとって人生で初めての「オムハヤシ」だったのだが母の「ハヤシライス」と松龍の「オムレツ」のどちらも思い出深い味だったので懐かしさがやはり勝っていた。その懐かしさが嬉しさに替わり、キープボトルである麦焼酎のロックを進ませた。龍太郎「お前も大袈裟だな、ただの飯だぞ。泣く程かよ・・・。」守「またこの味に会えたのが嬉しくてよ、それに昔いつも食ってたここのオムレツってやっぱり何処か他と違う味がしてたから好きになっちゃって。今も変わらないんだな。」龍太郎「そりゃそうさ、うちは中華屋だぞ。オムレツというよりはかに玉に近いかも知れんな、隠し味として焼く

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   6. 「あの日の僕ら2」62

    -62 警視総監の心遣い- 結愛達の手で母の死により一生食べる事が出来ないと思っていた大好物が温まって行く中、守は大事な事を思い出して慌ててある場所に電話を掛けた。そもそも自分はどうして家に帰って来たのかを忘れかけていたのだ。守「結愛、すまん!!」 自らが経営する会社の筆頭株主となった守の唐突の謝罪に驚きを隠せない代表取締役。結愛「何だってんだよ・・・、何で謝るんだよ!!」守「それさ、松龍に持って行っても良いか?」結愛「勿論、俺と光明は良いけどよ・・・。なぁ?」光明「確かに大丈夫だぜ、でも龍さんは良いって言ってたのかよ?そもそもこの時間帯って店が閉まっているだろう。」 確かに

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   6. 「あの日の僕ら2」61

    -61 故人の謝罪- 守は生前の母の職業を思い出していた、今まで1つの会社の社員や経営者として働いていた事が有った様には思えない。貝塚財閥の筆頭株主であった傍らで他の主婦に紛れる為パートでの仕事ばかりしていたという記憶しかなかった。 そんな母が・・・、1つの店の副店長・・・?それに光の旦那の店って・・・?守「母ちゃんが光さんと働いているのか?」結愛「ダル・・・、いや光さんは別の場所で働いてんだよ。さっきも言っただろう、お前の母ちゃんは光さんの旦那さんの店で副店長をしてるって。」守「そっか・・・、それでその母ちゃんがどうしてお前に頼み事を?」結愛「えっとな・・・、多分だがお前の母ち

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   6. 「あの日の僕ら2」60

    -60 暗い自室での再会- まさかの桃の登場で場が和んだ一行はお世話になった日本料理店の店主に一言挨拶をしてその場を後にした、真希子の遺言通り少人数での会食だったが参列した皆は食事に満足していた様だ。ただそんな中でも未だ1人元気が出ずに俯いている守を見て、葬儀中での経緯を美麗から聞いてやっと知った桃が声を掛けた。桃「守君、大丈夫?私が言うのも何だけどらしくないよ。」龍太郎「桃ちゃん、すまないが仕方の無い事なんだよ。たった1人の肉親を失ったんだ、守自身の辛さはなかなか抜けないもんさ。」桃「そっか・・・、何かごめんね。」守「いや・・・、大丈夫。」 本当に大丈夫なんだろうか、やはり表情

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