INICIAR SESIÓN高校の入学式にまさかの一目惚れ!主人公の緋夏が猛アタックするも...
Ver más付き合い始めて数か月。 今日は特に予定も決めず、二人でショッピングモールを歩いていた。 緋夏は相変わらず落ち着きがない。 「あっ、見て!これ可愛い!」 さっきまで服を見ていたと思えば、今度は雑貨屋に吸い込まれていく。 「……忙しいな。」 そう言いながらも、その後ろを歩く。 店を出ると、緋夏が何も考えず車道側を歩こうとした。 遠くの方に車が見える。 無意識に腕を引く。 「え?」 「こっち。」 そのまま自分が車道側に立つ。 「……?」 不思議そうな顔。 別に深い意味なんてない。 危ないから。 それだけ。 歩いている途中、緋夏が急に立ち止まった。 「蒼人。」 「ん。」 「荷物持とうか?」 「……は?」 「いや、私が荷物持とうかって」 「意味分かんない。」 「えへへ」 何が面白いんだ。 そのまま歩き出そうとした時だった。 「……ねぇ。」 「なに。」 「蒼人ってさ。」 嫌な予感がする。 「こんな気遣いできたんだね。」 …… …………。 「はぁ?」 「できないと思ってたの?」 「思ってた。」 「失礼すぎるだろ。」 「だって前の蒼人ってさぁ。」 指を折り始める。 「荷物持たない。」 「持てって言われてない。」 「『寒い』って言っても『へぇ』しか言わない。」 「事実だろ。」 「『眠い』って言っても『寝れば?』って冷たい。」 「寝ればいいじゃん。」 「ほらぁ!」 ケラケラ笑っている。 ……なんか腹立つ。 「でも今はさ。」 緋夏は俺の顔を覗き込んできた。 「車道側歩いてくれるし。」 「重そうだったら荷物持ってくれるし。」 「寒かったらマフラー巻いてくれるし。」 「人混みだと手繋いでくれるし。」 「体調崩しそうだとすぐ休ませるし。」 「意外だった。」 「蒼人ってこんな人だったんだね。」 …… いや。 違う。 昔からできなかったわけじゃない。 ただ。 やる理由がなかっただけ。 「……はぁ。」 ため息をつく。 「なにそのため息ー。」 「別に。」 「またそうやって誤魔化す!」 ほんとよく喋る。 少し黙ってろ。
受験前日。 机に向かっていても、文字が頭に入らない。 スマホが震えた。 『ねぇっ!!緊張やばい!!』 画面を見て、小さく笑う。 俺だって緊張してる。 けど、そんなこと言ったら余計不安になるだろ。 指を動かす。 『早く寝ろバカ。』 送信。 これでいい。 明日は、万全な体調で来い。 それだけだ。 ⸻ 試験当日。 駅へ向かう途中、少し前を歩く見慣れた背中が目に入る。 ちゃんと起きられたらしい。 それだけで少し安心した。 「ちゃんと寝れたの。」 後ろから声を掛けると、 「わっ!」 大げさなくらい肩を跳ねさせる。 ……いつもの緋夏だ。 その反応に、自然と肩の力が抜けた。 大丈夫。 俺も、いつも通りでいよう。 ⸻
自習室は静かだった。 参考書をめくる音と、シャーペンが紙を走る音だけが響く。 緋夏が席を立ち、トイレへ向かう。 その姿を見送りながら、ふと手が止まった。 もし。 もし緋夏と違う大学になったら。 もし俺だけ落ちたら。 もし、このまま離れることになったら。 ――嫌だ。 そんな未来、考えたくもない。 気づけば参考書に視線を戻し、無意識にペンを走らせていた。 一問でも多く。 一点でも高く。 絶対に受かる。 何が何でも、緋夏と同じ大学へ行く。 その一心だけで、問題を解き続けた。 冬休みに入ってから、緋夏からの連絡は一度も来なかった。 きっと勉強している。 あいつのことだから、不安になりながらも必死に机へ向かっているんだろう。 だったら俺もやるしかない。 連絡したい気持ちは何度もあった。 でも、今は邪魔したくなかった。 ただ一つだけ。 毎年欠かさず送っているメールだけは、今年も送りたかった。 時計の針が零時を指す。 『あけおめ。』 送信ボタンを押して、スマホを机に置く。
最近の緋夏は、見ていて少し怖かった。 自習室に着けば雑談もせず、鞄を置いた瞬間に参考書を開く。 前なら「今日さー」なんてどうでもいい話をしてきたのに、今はそれすらない。 俺が声をかけても反応が遅いことがある。 もう一度呼びかけてようやく「ん?」と返してくる。 ……体調、崩さなきゃいいけど。 そう思っていた。 そして、その嫌な予感は当たった。 その日の緋夏は、朝から様子がおかしかった。 焦点が合っていない。 問題を解いているはずなのに、同じ場所をずっと見つめている。 何度も声をかけようとして、やめた。 「大丈夫?」 そんな一言で止まるようなやつじゃない。 案の定、放課後も残ると言い張った。 勉強どころじゃないだろ。 そう思いながらも、隣に座るしかできなかった。 他の居残り組が全員帰る頃には、参考書を開いたまま 動かなくなった。 机に突っ伏している。 寝息が聞こえた。 ……寝てるのか。 先生が教室を覗き込む。 「もう閉めるぞー。」 「……あ、はい。」 起こそうか迷った。 でも、この