FAZER LOGIN高校の入学式にまさかの一目惚れ!主人公の緋夏が猛アタックするも...
Ver mais高校の入学式。
体育館には少し緊張した空気が漂っていた。新しい制服、新しいクラス、新しい人間関係。期待と不安が入り混じる中、私は何気なく周りを見渡していた。 ――その時だった。 壇上の先生でもなく、隣の席でもない。 少し前の列に座る男の子が目に入った。 整った横顔。ふと笑ったその表情に、心臓がどくんと音を立てる。 「……待って、あのイケメン、タイプなんだけど。」 隣に座る幼なじみの蒼人へ、小声で話しかける。 蒼人とは幼稚園からの付き合いだ。家も近く、気づけばいつも隣にいる。兄妹でも恋人でもない。ただ長すぎる時間を一緒に過ごしてきた、腐れ縁みたいな存在。 「私、頑張ってアタックする。」 「……頑張って。」 返ってきたのは、いつも通りのそっけない一言。 蒼人は昔からそうだった。励ましもしないし、余計なことも言わない。返事だって驚くほど淡白。 それでも、不思議と冷たいとは思わなかった。 長年一緒にいるからわかる。 この短い言葉の中に、ちゃんと私の話を聞いてくれていることも、応援してくれていることも。 だから私は安心して何でも話せた。 この時はまだ知らなかった。 この恋が、三年間ずっと続くことも。 そして、私が必死に誰かを追いかけている間、ずっと変わらず私を見つめ続けている人がすぐ隣にいたことも。付き合い始めて数か月。 今日は特に予定も決めず、二人でショッピングモールを歩いていた。 緋夏は相変わらず落ち着きがない。 「あっ、見て!これ可愛い!」 さっきまで服を見ていたと思えば、今度は雑貨屋に吸い込まれていく。 「……忙しいな。」 そう言いながらも、その後ろを歩く。 店を出ると、緋夏が何も考えず車道側を歩こうとした。 遠くの方に車が見える。 無意識に腕を引く。 「え?」 「こっち。」 そのまま自分が車道側に立つ。 「……?」 不思議そうな顔。 別に深い意味なんてない。 危ないから。 それだけ。 歩いている途中、緋夏が急に立ち止まった。 「蒼人。」 「ん。」 「荷物持とうか?」 「……は?」 「いや、私が荷物持とうかって」 「意味分かんない。」 「えへへ」 何が面白いんだ。 そのまま歩き出そうとした時だった。 「……ねぇ。」 「なに。」 「蒼人ってさ。」 嫌な予感がする。 「こんな気遣いできたんだね。」 …… …………。 「はぁ?」 「できないと思ってたの?」 「思ってた。」 「失礼すぎるだろ。」 「だって前の蒼人ってさぁ。」 指を折り始める。 「荷物持たない。」 「持てって言われてない。」 「『寒い』って言っても『へぇ』しか言わない。」 「事実だろ。」 「『眠い』って言っても『寝れば?』って冷たい。」 「寝ればいいじゃん。」 「ほらぁ!」 ケラケラ笑っている。 ……なんか腹立つ。 「でも今はさ。」 緋夏は俺の顔を覗き込んできた。 「車道側歩いてくれるし。」 「重そうだったら荷物持ってくれるし。」 「寒かったらマフラー巻いてくれるし。」 「人混みだと手繋いでくれるし。」 「体調崩しそうだとすぐ休ませるし。」 「意外だった。」 「蒼人ってこんな人だったんだね。」 …… いや。 違う。 昔からできなかったわけじゃない。 ただ。 やる理由がなかっただけ。 「……はぁ。」 ため息をつく。 「なにそのため息ー。」 「別に。」 「またそうやって誤魔化す!」 ほんとよく喋る。 少し黙ってろ。
受験前日。 机に向かっていても、文字が頭に入らない。 スマホが震えた。 『ねぇっ!!緊張やばい!!』 画面を見て、小さく笑う。 俺だって緊張してる。 けど、そんなこと言ったら余計不安になるだろ。 指を動かす。 『早く寝ろバカ。』 送信。 これでいい。 明日は、万全な体調で来い。 それだけだ。 ⸻ 試験当日。 駅へ向かう途中、少し前を歩く見慣れた背中が目に入る。 ちゃんと起きられたらしい。 それだけで少し安心した。 「ちゃんと寝れたの。」 後ろから声を掛けると、 「わっ!」 大げさなくらい肩を跳ねさせる。 ……いつもの緋夏だ。 その反応に、自然と肩の力が抜けた。 大丈夫。 俺も、いつも通りでいよう。 ⸻
自習室は静かだった。 参考書をめくる音と、シャーペンが紙を走る音だけが響く。 緋夏が席を立ち、トイレへ向かう。 その姿を見送りながら、ふと手が止まった。 もし。 もし緋夏と違う大学になったら。 もし俺だけ落ちたら。 もし、このまま離れることになったら。 ――嫌だ。 そんな未来、考えたくもない。 気づけば参考書に視線を戻し、無意識にペンを走らせていた。 一問でも多く。 一点でも高く。 絶対に受かる。 何が何でも、緋夏と同じ大学へ行く。 その一心だけで、問題を解き続けた。 冬休みに入ってから、緋夏からの連絡は一度も来なかった。 きっと勉強している。 あいつのことだから、不安になりながらも必死に机へ向かっているんだろう。 だったら俺もやるしかない。 連絡したい気持ちは何度もあった。 でも、今は邪魔したくなかった。 ただ一つだけ。 毎年欠かさず送っているメールだけは、今年も送りたかった。 時計の針が零時を指す。 『あけおめ。』 送信ボタンを押して、スマホを机に置く。
最近の緋夏は、見ていて少し怖かった。 自習室に着けば雑談もせず、鞄を置いた瞬間に参考書を開く。 前なら「今日さー」なんてどうでもいい話をしてきたのに、今はそれすらない。 俺が声をかけても反応が遅いことがある。 もう一度呼びかけてようやく「ん?」と返してくる。 ……体調、崩さなきゃいいけど。 そう思っていた。 そして、その嫌な予感は当たった。 その日の緋夏は、朝から様子がおかしかった。 焦点が合っていない。 問題を解いているはずなのに、同じ場所をずっと見つめている。 何度も声をかけようとして、やめた。 「大丈夫?」 そんな一言で止まるようなやつじゃない。 案の定、放課後も残ると言い張った。 勉強どころじゃないだろ。 そう思いながらも、隣に座るしかできなかった。 他の居残り組が全員帰る頃には、参考書を開いたまま 動かなくなった。 机に突っ伏している。 寝息が聞こえた。 ……寝てるのか。 先生が教室を覗き込む。 「もう閉めるぞー。」 「……あ、はい。」 起こそうか迷った。 でも、この





