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7. 「異世界ほのぼの日記3」㊽

Author: 佐行 院
last update publish date: 2026-02-03 12:07:56

-㊽ 誇りに思って良いんだ、そして変わらないんだ-

 女性の姿で松戸夫婦の前に現れた古龍は、額に汗を滲ませながら2人の前に現れた。

女性(映像)「大変失礼致しました、私セリー・ラルーという者です。実は美麗さんからお預かりしている物がありまして。」

 セリーは先程の髪留めを王麗に手渡した。

龍太郎(映像)「これ・・・。」

王麗(映像)「間違いないよ、私があの子にあげたやつだ。どうして貴女がこれを?!あの子はどうしているんです?!」

セリー(映像)「ご安心ください、美麗さんは好美さん達と同じ世界で元気でいますよ。」

龍太郎(映像)「という事は、娘は寂しい想いをしなくて良いんですね?」

セリー(映像)「はい、そして皆様に幸せに暮らして欲しいと仰っていました。」

 女神の言葉を聞いた王麗は、涙を流しながら笑っていた。

王麗(映像)「バカだね・・・、あんた無しでどう幸せになれってんだい・・・。」

 美麗は映像に映る母親につられる様に涙を流していた、自分が死んだ事により両親を悲しませてしまった事を何よりも悔いていたからだ。

美麗「好美・・・、私って大罪人だね。親不孝者だね!!どうやって謝罪すべき
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    -400 もう1人のエルフ- 自分の事を心配してくれているとはいえ、目の前の恋人(ペンネ)に辛そうな表情をさせてしまった自分の事を呪いたくなった上級鳥獣人(ナイリ)は折角過去から脱却できたというのにこのままだと「あの頃」のままでは無いかと自責の念に駆られていた。ナイリ(当時)「いや、何でも無いよ。本当にごめん・・・。」 特にナイリ自身が罪を犯した訳でも無い、寧ろどちらかと言うと被害者だというのに「もしかしたらペンネからすれば「あの頃」の自分が抜けきっていないのかも知れない」、そんな悩みが脳内をぐるぐるとまわっていたのだ。ペンネ(当時)「本当?何処か辛そうだけど・・・。」 優しい言葉に泣きたくなってくる、しかし次泣くときは共に嬉し涙を流す時にしたいと個人的に思っていたバルタン。その為に今自分がすべきことは本音を打ち明ける事だろうか、それとも鳥獣人らしく冗談でもかまして雰囲気を笑い飛ばす事だろうか。 ただナイリ個人は後者を選ぶことに少し抵抗を持っていた、「ただ茶を濁している」事が即座にバレてしまいそうだったからだ。きっとそんな事をしてしまうと心から心配してくれているペンネに失礼じゃないか、そう思いながら心の中で自らの頬を殴った。ナイリ(当時)「なぁペンネ、ペンネ自身は養鶏に興味とかある?」 この時点では将来が決まっていた訳では無かったというのに何を言っているんだろうか、下手すればこれってある意味プロポーズみたいなもんだぞ。ペンネ(当時)「突然だね、そうだな・・・。私自身動物は好きだし、何かを育てる事って素敵だなって思うけどどうしたの?」 どうやら気付いていない様だ、ナイリはこの事とペンネの返答に少しホッとしていた。 ただその反面、やはりバルタンの心中には不安が残っていた。改めて言う事では無いかも知れないがナイリ自身はペンネを必要としている、それどころかペンネ無しでは生きていける自信が無い。ただこのまま自分の気持ちを打ち明けた所で一番重要なのはペンネ自身がどう思っているかどうかだ、返答次第では足の先から崩れ落ちる自信がある。 しかし結婚を意識しているのは自分だけなのかも知れない、今はどうにかして何とかこの場を誤魔化したいが何か無いだろうかと辺りを見廻していたナイリの目線の先に卵料理専門のレストランが(と言うかネフェテルサ王国にそんなのがあったんだ

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    -399 言うべきか、言わざるべきか- 父との楽しい夜が更けた翌日の朝5:00、(今でもそうだが)鶏の鳴き声で目が覚める様になってから早朝に起きる事を清々しく感じる様になったのは父親のお陰だろうか。 以前は「ストレスの軽減や睡眠の改善に良い」という乳酸菌飲料を飲んでもあまり眠れなかった上に目覚めも良くなかったが、今は打って変ったかの様に清々しい。ソン(当時)「おはよう、お前最近早起きじゃ無いか?」ナイリ(当時)「おはよう、そうだな・・・。本当にこれも辛かった「あの頃」から俺を救い出してくれた父さんのお陰かも知れないな・・・。」ソン(当時)「朝から何恥ずかしい事を言ってんだよ、山の美味い空気のお陰じゃ無いか?」 ソン本人は顔を赤くしながら謙遜していたが、実際に父親からの電話が無かったら未だに会社の犬になり続けていたのかも知れないと思ったナイリは本当に感謝するばかりであった。ましてやその父に相談を持ち出してくれた恋人(シルヴァー・エルフ)のペンネのお陰でもある。 ただ上級鳥獣人(バルタン)の心中には「このままでも良いのだろうか、そんな訳にはいかないよな」という葛藤があった、正直言ってずっと「恩を受ける」側にいる訳にはいかない。ナイリ(当時)「俺はペンネに何が出来るだろうか・・・。」 よく考えてみれば今日に至るまでペンネ無しでは生きて行けなかった気がする、笑っていた時も苦しかった時もいつも隣には彼女がいた。自分(ナイリ)は誠心誠意を持って恋人に感謝しなければならない。ナイリ(当時)「ただ・・・、どうやって・・・。」 ナイリは改めて深く考えた。ナイリ(当時)「ペンネにとって、いや女性にとっての「幸せ」って何だろうか・・・。」 そんな中、ふと先日ペンネとデートに行った時の事を思い出した。ネフェテルサ王国の市街地にあるブライダル用品店のショーケース内のウェディングドレスを着たマネキンを食い入る様に見ていたペンネ、今思えばその時の彼女の眼は一際輝いて見えた気がする。ナイリ(当時)「やっぱり・・・、女性にとって「結婚」は特別な物なのかも知れないな。」 それからというもの、ナイリはペンネに会う度に「結婚」という物を意識するようになっていた。「これからも隣にペンネがいないと生きていける自信が無い」と不安がっていたのが伝わったのか、ペンネが心配そうに声をか

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    -398 救われた- 自分にきつく当たって来た上司に対して抱いてしまった憎しみの感情を全てぶつけるかの様にありったけの罵声を浴びせて辞表を叩きつけたナイリはそのまま会社を去り一生戻る事は無かったそうだ、実は父親(ソン)から電話があった日より大分前から会社を辞めて自分がいたという証拠の一切を取り去る準備をしていたという(こう言った表現があっているのか分からないけどこりゃ相当だな)。 そんなこんなで実家へと戻って来た息子は父親の優しさに溢れた表情を見て初めて安堵したという、「もうあの上司の顔を見なくて済む」という気持ちが大きかったと思われるがどちらかと言うと「無事に帰って来ることが出来て良かった」といった方が良かったのかも知れない。 実家に帰ってすぐの事、ナイリは家の風呂の湯船にゆっくりと浸かったそうだ。会社にいた頃は「早く寝て全てを忘れてしまいたい」という感情が脳裏に溢れていた様なので毎日シャワーのみで済ませる事が多かったらしい、ごく偶に友人が「ネフェテルサ王国の「お風呂山」にでも行かないか」と誘って来ていたが「申し訳ないけど・・・」と断っていた位なので精神への疲労は相当の物だったと推測できる。 それが故に実家で久々に浸かったお風呂は物凄く気持ちよかったとの事で、ナイリは危うく眠ってしまいそうになっていたという(そこまで行くとマジで危険だよ)。ソン(当時)「ナイリ、ゆっくり出来たか?」 この一言がどれだけ嬉しかったかをナイリは今でも覚えている様だ、会社にいた頃は決して無かった自分を包み込む様に優しい言葉・・・。ナイリ(当時)「助かったよ、風呂ってここまで気持ちいいもんだったんだな。」ソン(当時)「大袈裟じゃ無いのか、それとも入浴剤のお陰かな。」 こうして何気ない会話で笑い合えるのも実家に帰って来れたが故なのでは無いだろうか、ただナイリは自分の人生を棒に振らずに済んで嬉しかったとの事だ。 それからという物、先ずはリフレッシュをする事を優先させるために会社で全く使う事の無かった有給休暇を利用して引っ越しの作業や行政における手続きを行いながら可能な限りペンネとの時間を設けて遊びまくったという。勿論実家に迷惑を掛けない程度にだ、手伝いをちゃんとせずに遊び惚けていると帰って来た意味が無くなってしまう。ソン(当時)「お前が帰って来てくれて助かったよ、最近腰

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    -396 只事では無かった- ピューアはメラルークが「B定食」で使用している卵をじっと見つめながら考えていた、確かに一般的な物に比べて一回りも二回りも大きなこの卵を使用すれば1つだけでオムレツが出来るのも納得がいく。しかしどうしてこの様な大きさの物が出来上がったのだろうか、それとどうしてこの様な卵がここにあるのだろうか。まさかと思うがこれも「訳あり品」なのか、「大きくなり過ぎて規格外な物になっちゃいました」的な理由なのか?ピューア「いや・・・、考えすぎかもね。下手すれば「大玉卵」として売り出すかもしれないもんね、でも本当に大きいな・・・。うちの店でも使わせて貰えないかな。」 調理場の端で1人考え込む娘を見かけた父親は本人の様子を伺いながら声をかけた。メラルーク「ピュー、どうかしたか?」ピューア「い、いや・・・、何でも無い。ごめんなさい。」 「何でも無い」と言うならあそこまで考え込む事は無いはずだと思った店主(マーマン)。メラルーク「別に大丈夫だよ、確かにまぁそれ程大きな卵があったら「どうしたんだろう」って思うのも無理は無いさ。父さんだってそう思ったんだもん、良かったら何を考えていたのか教えてくれないかい?」 長女が話しやすい様に言葉を選んで優しく声をかけた父親、別にやましい事を考えていた訳では無いから話しにくい訳では無いので思い浮かんでいた疑問を投げかけてみる事に。ピューア「いやね、いくら何でも大きすぎやしないかなって・・・。お父さんから聞いた通り餌と環境のお陰で大きくなったのは納得出来るけど・・・、何て言えば良いんだろう。」メラルーク「「どういった経緯で出来たんだろうか」って思ったのか?」ピューア「そう、こんなにインパクトの強い大きさには何処か理由があるんじゃないかなって思ったの。良かったらお父さんが知っている事を教えてくれない?」メラルーク「分かったよ、でも今は朝営業の途中だから落ち着いてからでも良いかな。」ピューア「勿論、お店に迷惑を掛けるつもりは無いもん。」 実家(この店)での研修の条件を忠実に守る新店の副店長、朝営業の間店主の仕事をひたすらに手伝った後調理場で皿洗いをしながら改めて疑問を投げかけてみる事に(因みに親子共に『メイクスライム』を使用しているので皿洗いは指一本で済んでしまう)。メラルーク「ああ・・・、そうだったな。

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    -395 無知の知- 格安で仕入れた材料をそう見えない様にする為に父親が施している工夫に空いた口が塞がらない娘は改めてお客さんが食事を楽しんでいるテーブルを見廻していた、黒板にも記載されている通りなのだが「B定食」はウインナーだけではなくハムやベーコンもあるのだがそっちは大丈夫なのだろうか。メラルーク「確かに「訳あり品」と言われると気になるお客さんがいるかも知れないけど、皿をよく見てみな。」 店主に言われた通りに皿を見てみるとハムはハムエッグとして提供していて卵により大部分が隠れてしまっているので全くもって気にならない、しかしベーコンに至ってはそういう訳にもいかない気がするが・・・?ピューア「やっぱりベーコンもベーコンエッグとして提供している訳?」メラルーク「そうだな、それもあるけど改めて皿を見てみてくれるか?」 父親の指示通りに再び皿を見てみるとハムと同様にベーコンが目玉焼きに隠れている状態で提供されている事に気付いたが実はそれだけでは無かった、ホテルの様にカリカリに焼けたベーコンが好きなお客さんもいるので別々に提供されている場合もあるらしい。ただ店主の施している工夫はそれだけではない様だ。ピューア「今気付いたんだけどあそこのお客さんが食べてるのってオムレツじゃないの?」 上級人魚(ニクシー)は少し離れたテーブルのお客さんがナイフとフォークを使ってシンプルな見た目のオムレツを楽しんでいる場面を見かけて違和感を覚えていた、その理由は至ってシンプルな物だ。ピューア「お父さん、うちってオムレツなんて提供してたっけ?」 改めて黒板を見たが何処にも「オムレツ」とは書かれていなかった、その上微かな記憶だったがグランドメニューにも無かった気がする。これは一体どういう事なのだろうか?メラルーク「あれも一応「B定食」なんだよ、あの中にハムやベーコンが入っているんだ。近所に住むジャイアントの爺ちゃんに「B定食の目玉焼きをオムレツに変更できないか」って聞かれた事があってね、「同じ量の材料で出来そうだからやってみるか」と思って試しに出してみたら周りのお客さんが「俺も俺も」って一斉に頼みだしちゃったんだよ。それからその時いたお客さん達の影響で一気に広がっちゃったらしくて、ハムとベーコンを頼んだお客さんからの要望があり次第だけど今みたいに時間に余裕があったら作る様にし

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    -188 大丈夫?- 改めて食材リストを睨みつける渚はあまりにも高額だった為に再び震えていた、これだと今日の経費を全部使うどころか数日分の売り上げを返上しても払える訳が無い。渚「あんたね、うちは見ての通り屋台の拉麺屋だよ。こんな大金払える訳が無いじゃ無いか、いくら後で返金があるって分かっていても買い出しになんて怖くて行けないよ。」 確かに渚が言っている事は正論ではあるが転生者達は元から1京円の資産を与えられているはずなので問題無いがやはりいち経営者としてしっかりとした話し合いをすべきだと簡単に引く訳に行かない様だ、きっと王城からの信用を得て売り上げのアップを見込んでいるのだろう。デカ

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    -167 楽しんだ深夜から朝食まで- 散々ビールを楽しんだ後、好美達は1晩の間じっくりと恋人達の時間を楽しんだ。流石にここに介入しては色々と問題があると思われるので俺は知らないフリをする事にした、我ながら懸命な判断と言えるだろう。 翌朝、好美達の客室に内線によるモーニングコールがあった。一般的な視点で考えるとするならすぐに内線を切って起き上がるのだがこの旅館はモーニングコールの時に朝ごはんの希望を尋ねられる事になっていた。好美「ハァ・・・、ハァ・・・、おはよう・・・、ございます・・・。もう・・・、こんな・・・、時間・・・、なんですか・・・?」ベルディ(内線)「お・・・、おはようござい

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」145

    -145 別腹を通り越して- 目の前で特大の丼物を2杯食べた恋人を見て流石に次は無いだろうと思い始めていた守の目にとんでもない光景が飛び込んで来た、またお品書きを見始めたのだ。守「好美・・・、そろそろデザートか?別腹ってやつだよな・・・。」 ただ好美はずっと沈黙していた、守の言葉は全くもって耳に入っていなかった様だ。5分程の間、無言でお品書きを見ていた。よっぽどこの食事の〆について真剣になって考えているらしい、守は致し方なかったのでずっと見守る事にした。と言っても他に理由があったからなのだが。守「この・・・。」好美「ねぇ、これ良くない?」 彼氏の言葉を遮りながらお品書きを指差して

  • (改訂版)夜勤族の妄想物語   7. 「異世界ほのぼの日記3」144

    -144 牛丼屋と言えば?- 好美の言葉に普段以上の棘を感じながら大好きな味に舌鼓を打っていた守達のテーブルに店員がお盆を持ってやって来た、好美が空けた牛丼の器を下げに来たのだろうかと思っていたのだが両手に持つお盆にはまさかの新たな丼が乗っていた。勿論(と言っても良いのかは分からないが)、守には注文した記憶は無い。店員「お待たせ致しました、「炙り鶏もも肉の親子丼・特大」になります。」守「いや、俺た・・・。」 守が店員に断りを入れようとした次の瞬間、本人にとって人生で最もアンビリーバブルな光景の1つが飛び込んできた。そう、好美が今までに無い位真っ直ぐに手を高らかに挙げていたのだ。好美

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