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第349話

Author: 年緒
萌花は礼儀正しく誠司と握手を交わした。

「幸田社長、お名前はかねがね伺っております」

身なりの整った中年の男は穏やかに笑った。

「二条さんは私のこと、ご存じでしたか」

「ユニバース社の代表ですから。この業界で、幸田社長を知らない人はそう多くないと思います」

幸田誠司

業界で知らない者がいないほどだ。

天才と称える者もいれば、危険な理想主義者だと警戒する者もいる。カラリスでは、未来を一人で動かそうとする男として、半ば伝説のように語られている。

少年時代に独学でプログラミングを学び、十九歳で決済サービス大手「ユニペイ」を創業。金融業界の常識を塗り替えたあと、宇宙開発へ進出し、「ディープスペース」を立ち上げて、再使用型ロケットによって人類の宇宙開発の歴史を変えた人物でもある。

その後も、彼は自動車、ロボット、ブレイン・マシン・インターフェースなど、次々と新しい分野へ手を広げていった。

世間は、彼を偏屈で、傲慢で、理想主義的だと言った。

まるで狂人のように巨額の資金を投じ、未来のためだと言っては常識の外へ突き進んでいく。

支持者は彼を救世主のように崇め、反対する者はテッ
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