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第112話

タヤスイ
茜は飛び込むように父を支えた。

雲海の首が赤く染まり、全身が張り詰め、息が詰まっているようだった。

「誰か助けてぇー!お父さんが!お父さんを助けて!」

茜の叫びに、看守がすぐさま非常ベルを押した。

諒助が助けに入ろうとした。

だが、腕の中の絵美里が頭を抱えてうずくまった。

「痛い……くらくらする……さっき頭を打ったかもしれない。病院に連れて行って。頭だけは絶対に……」

諒助は足を止め、絵美里の頭を丁寧に確かめた。

絵美里はかつて諒助を助けた際に頭を負傷していた。二度目は許されない。

茜には二人を構う余裕などなかった。腕の中で、必死に父の名を呼び続ける。

そのとき、視界の隅にケーキの皿が映った――細かく刻まれた果肉。

茜の全身が凍りついた。

「あんた……!お父さんにマンゴーを食べさせたの?マンゴーに重篤なアレルギーがあるのに!」

絵美里は涙を流しながら頭を押さえ、ぶんぶんと首を振った。

「本当に知らなかったの。ああっ、頭が痛い……」

そのまま、諒助の腕の中に倒れ込んだ。

諒助は絵美里を抱き上げ、茜を見下ろした。

「絵美里に何かあったら、許さないぞ」

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  • 明日、私は誰かの妻になる   第275話

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