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第44話……黒い金

last update Tanggal publikasi: 2026-06-10 15:28:56

 恒星の淡い光が、薄く曇った空を通して地表を撫でていた。

 惑星エデムの荒野に、ツーシームはひとり降り立っていた。

 重力は軽く、風は弱い。

 靴底に伝わる感触は、岩でも砂でもない、どこか湿り気を含んだ柔らかさだった。

 彼女がこの星を選んだ理由は単純だ。

 惑星破壊砲の一件以来、ユリウスと同じ空気を吸い続ける気にはなれなかった。

 ――許せないわけじゃない。

 だが、すぐに水に流せるほど大人でもない。

 その感情を抱えたまま、彼女はここへ来た。

 惑星エデムは人口も少なく、開発も進んでいない辺境世界だ。

 だが、この星には他の惑星にはない価値があった。

 掘り出されるのは鉱石ではない。

 黒く、湿り気を帯びた表土――「土」そのものだ。

 土は兆単位の種類の地球の微生物たちが、長い年月をかけて織り成した結果であり、地球以外の宇宙には殆どないものであった。

 太古、地球から持ち出された土壌は、幾度もの核戦争と環境崩壊を経て汚染され、微生物と有機物を保持した「使える土」は銀河全域で極めて希少となっていた。

 多くの惑星では人工培地で作物を育てていたが、味も栄養も、本物の土には及ばない。

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  • 星間覇道 ― 銀河最大の内乱 ―   第96話……金印の主

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     聖帝国暦六四五年四月上旬――。 帝国軍の戦線は、各方面で崩れつつあった。 アーヴィング大公国軍の攻勢は激しく、帝国艦隊は星域ごとに押し返されている。 防衛線は次々と突破され、その矛先はいよいよ皇帝直轄領――第一総管区へ迫ろうとしていた。 敗北の余波は、宇宙空間だけでは終わらない。 艦隊戦で制宙権を失えば、次に起こるのは地上の崩壊である。「うははは! 奪え、奪え!」「そこの小娘、逃げるなよ! たっぷり可愛がってやる!」 軌道上の帝国艦隊が潰走すると、惑星の支配階級は護衛部隊とともに宇宙へ逃亡する。 残された都市に秩序など存在しない。 そこに降り立つのは――勝者である大公国

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