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黒鯛の刺身♪
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Novels by 黒鯛の刺身♪

星間覇道 ― 銀河最大の内乱 ―

星間覇道 ― 銀河最大の内乱 ―

銀河聖帝国ノヴァは、皇帝崩御により内乱の時代へ突入した。幼帝を擁する摂政ノクターン公爵。正統皇位を掲げ反旗を翻すアーヴィング大公国。辺境の若き貴族ユリウス・アストレアは、小領ヴァルカンを守るため、艦隊戦、補給、外交の渦中へ投げ込まれていく。一方、女海賊ツーシームは、荒鷲の金印を持つ謎の少女を拾ったことで、帝国千年の正統性を揺るがす秘密へ近づいていく。星間ギルドの陰謀、謎の超戦艦、外宇宙より忍び寄る真実。これは、少年貴族と女海賊が星々の覇権を動かす、銀河戦乱の物語である。 〇カルダシェフ・スケール:タイプⅡ相当
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Chapter: 第130話……決戦の地アイアンメイデン
――聖帝国暦六四六年九月上旬。 旧帝国軍は、レオンハルト=トラヴァース国家元帥の指揮下で、大規模な再編成を進めていた。 旧式艦艇の後方転用。 能力を無視して高位に就いていた貴族将校の更迭。 実戦経験豊富な中堅将校の抜擢。 これまで派閥と家柄に縛られていた帝国軍に、容赦なく人事のメスが入っていく。 だが。 トラヴァースの矛先が向かったのは、軍部だけではなかった。◇◇◇◇◇「何事だ!」 早朝。 帝都ルシフェルにある総統官邸へ、武装した上級憲兵隊が踏み込んだ。 官邸警備隊は抵抗することすら許されず、次々に武装解除される。 寝室から急いで出てきたマリアーヌ=ローゼンタールは、憤怒の表情で彼らを睨みつけた。「ここが誰の官邸か分かっているのであろうな!」「無論にございます」 上級憲兵隊長は、一礼した。「ローゼンタール総統閣下。ご同行願います」「馬鹿な!」 ローゼンタールの顔色が変わる。「罪状は何だ!」「多数ございます」 隊長が片手を上げた。 後方から憲兵たちが運び込んできたのは、大きな箱であった。 五箱が床へ並べられる。「……何だ、これは」「証拠資料でございます」 その中には、ローゼンタールが官僚時代から積み重ねてきた不正の記録が収められていた。 違法な情報収集。 政敵への恐喝。 通信記録の改竄。 裏金。 司法当局への圧力。 情報部を私的に利用した政敵の失脚工作。 そして、総統就任後に行われた数々の強権的な政治工作。 ローゼンタールは、一枚一枚を見ながら顔を強張らせていった。「……くだらぬ」「そうでございましょうか」「私は帝国総統だぞ!」 ローゼンタールは隊長を睨みつけた。「総統たる私を拘束するには、皇帝陛下の詔が必要だ。それくらい知っておろう!」「存じております」「ならば――」「こちらを」 最後に、一冊の薄い資料が差し出された。 ローゼンタールはそれを開く。 そして。 動きを止めた。「……何だ、これは」 帝国最高機密に指定されている防衛計画。 要塞配置。 艦隊動員計画。 備蓄量。 さらには第一総管区内部の防衛上の弱点。 それらを、ロサリオ副総統を経由して、アストレア側へ流したことを示す訴状が添付されていた。「……な」 ローゼンタールの顔から血の気が引いた。「何な
Last Updated: 2026-09-23
Chapter: 第129話……領土の三分の二を捨てる
 相次いで届けられる敗報に、マリアーヌ=ローゼンタール総統は苛立ちを隠せなくなっていた。 第一総管区外縁部では、新帝国軍が要塞を破壊し、次々に惑星を降伏させ、着実にその支配圏を広げている。 その一方で、旧帝国にはなお多数の艦隊が存在するというのに、諸侯たちは自領防衛を理由に兵力を手放そうとしない。「このままでは国が滅びるぞ!」 総統府の執務室に、ローゼンタールの怒声が響いた。「ハイアットよ。軍務尚書として、何か申すことはないのか!」 軍務尚書ハイアットは、しばらく俯いていた。 やがて覚悟を決めたように顔を上げる。「現状において取り得る最善の策は……優秀な軍人へ、軍の全権を委ねることかと存じます」「優秀な軍人?」「はい」「誰を指しておる?」 ハイアットは机上のタッチパネルを操作した。 一人の男の軍歴が、壁面モニターへ表示される。 レオンハルト=トラヴァース。「……トラヴァース元帥か」 ローゼンタールは、その名前に見覚えがあった。「現在は予備役であったな?」「左様にございます」「年齢は……五十七歳?」 ローゼンタールが眉を上げた。「元帥としては、ずいぶん若いではないか」「第三次パニキア戦役において名を上げ、異例の速度で昇進した人物でございます」 画面には、過去の戦歴が次々と並んでいた。 少数艦隊による包囲突破。 撤退戦での友軍救出。 補給線を利用した敵主力の誘導。 手堅さに派手さも兼ね備え、戦局全体を見て勝つ指揮官であることが読み取れる。「これほどの人材が、なぜ現役ではない?」 ローゼンタールの問いに、ハイアットは少し言葉を選んだ。「……軍内での政争の結果にございます」「ほう」「トラヴァース元帥には、有力な後援貴族がおりませなんだ。本人も派閥を作ることを嫌い、上官に媚びることもなかったため……」「能力があるからこそ、邪魔になったということか」「端的に申せば……」 ローゼンタールは、しばらく画面を眺めた。 今の帝国に、人事上の好き嫌いを言っている余裕はない。「分かった」 指先で画面を閉じる。「ただちにトラヴァース元帥を招聘せよ」「はっ」「失礼のないようにな。今はこちらが頭を下げる立場だ」「畏まりました」◇◇◇◇◇ 翌日。 帝国軍の正装に身を包んだレオンハルト=トラヴァース元帥は、総
Last Updated: 2026-09-23
Chapter: 第128話……戦場にいない艦隊
――聖帝国暦六四六年七月下旬。 アストレア聖帝国と旧帝国中央政府。 両国の国力は、数字の上ではほぼ互角にまで接近していた。 だが、その先にある成長力まで同じではない。 勢いは明らかに、ユリウス率いる新帝国側にあった。 量子エーテル。 位相鉄鉱石。 それら戦略物資の生産量は増え続け、鉄や銅などの基礎資源についても、新規鉱山の開発と精製設備への投資が進められている。 かつて新帝国最大の弱点であった食料事情も改善されつつあった。 海洋惑星では大規模な養殖事業が始まり、魚類や藻類を利用した蛋白源の生産量が急増。 それでも不足する穀物などのカロリー源については、パニキアを仲介して人類統合共和国との通商条約を締結した。 新帝国からは量子エーテルを輸出。 代わりに穀物、油脂、飼料などを大量に輸入する。 国境を越えて、資源と食料が流れ始めていた。 さらに表には出ていないものの、第二総管区や第四総管区との経済的な結びつきも強くなっている。 新帝国の成長は、もはや旧第六総管区だけの力によるものではなかった。 その勢いは戦場にも現れていた。 両帝国にとって実質的な最大の係争地となった第三総管区では、新帝国軍が旧帝国軍を相手に連戦連勝を重ねていたのである。 そして八月。 ユリウスは、ついに決断した。「第一総管区へ侵攻する!」 旧第五総管区――現在のルドミラ総管区を経由し、帝国中枢へ直接圧力を加える親征であった。 投入兵力は宇宙艦隊五個艦隊。 惑星地上軍、百二十個師団。 新帝国建国以来、最大規模の遠征軍である。 総司令官は皇帝ユリウス一世。 先鋒を務める前衛艦隊はパウルス元帥。 惑星地上軍は、ナシール=イブン=ラヒーム上級大将が統括する。 さらに、かつてアーヴィング大公国軍を率いたハルダー元帥も正式に軍へ復帰。 遠征軍全体の補給と後方輸送を預かる総責任者となった。 そしてもう一人。「面倒な仕事は嫌いなんだけどねえ」 ツーシームが安煙草をくわえながらぼやいた。 彼女に与えられた任務は、敵後方の心理的な攪乱。 正面から殴るパウルスとは正反対の役目であった。◇◇◇◇◇「前方に敵要塞を確認!」 パウルス艦隊の旗艦に、情報士官の声が響いた。 第一総管区は帝国発祥の中心地域である。 外敵の侵入路とされてきた第三総管区側を避け
Last Updated: 2026-09-23
Chapter: 第127話……十万余の機雷
 ツーシーム艦隊は重力波や宇宙潮流を積極的に利用し、隠密航行するために、通常航路を大きく外れながら進撃を続けた。 巨大惑星の重力井戸を掠め、ときには恒星間を流れる粒子流へ身を任せる。 通常艦隊ならば、航法士が眉をひそめるような危険な航路だった。 だが、そもそも速度が遅い次元潜航艇にとっては違う。 重力の流れを利用すれば、他次元への潜航を行いながら速度を稼ぐことができる。 その結果、四十隻からなるツーシーム艦隊は、僅か二か月で第一総管区深部へ到達した。 そして今。 モリガンの次元潜望鏡の視界に、近衛艦隊の秘密基地が広がっていた。「第一遊撃隊、配置良し」「第二主力攻撃隊、準備良し!」 各部隊指揮官からの報告が次々と届く。 ツーシームは安煙草を指先で挟みながら、正面に浮かぶ基地の立体映像を見つめていた。 ロサリオから得た地図に間違いはない。 基地の位置。 警戒網。 防御施設。 宇宙港の構造。 そして、近衛艦隊が有事の際の退避場所まで記されていた。「始めるよ」 ツーシームは短く告げた。「全隊、作戦開始」◇◇◇◇◇ 近衛艦隊秘密基地。 司令官キスリング上級大将の指令室に、警報が鳴り響いた。「閣下!」 情報士官が振り返る。「基地外周部に異常反応!」「何だ?」「次元潜航艇と思われます。微弱ですが、重力波に不自然な揺らぎを確認しました」 キスリングは立体星図へ目を向けた。 秘密基地の存在そのものが、第一級軍事機密である。 敵に場所を知られるだけでも厄介だった。「ここがばれると面倒だな」 キスリングは即座に命じた。「対潜装備を搭載した駆逐艦を四隻出せ。逃がすなよ!」「了解!」 命令を受けた四隻の駆逐艦が宇宙港を離れた。 いずれも近衛艦隊所属。 最新型の次元探知装置と対潜魚雷を装備している。 次元潜航艇一隻程度ならば、十分に対処できる戦力だった。 だが。 出撃から十数分後。『こちら第四駆逐隊!』 通信機から、切羽詰まった声が飛び込んできた。『敵影多数!』「多数?」『七方向から光子魚雷!』 一瞬、通信が乱れた。『確認十五本! 回避――』 そこで通信が途絶えた。 数秒後。 基地の遠距離観測装置に、四つの爆発光が映し出された。「四隻とも反応消失!」「馬鹿な……」 指令室がざわめく。
Last Updated: 2026-09-23
Chapter: 第126話……四十隻の潜航艇
――聖帝国暦六四六年五月中旬。 ルドミラ攻略戦の大敗から一月余り。 旧帝国は、失った戦力の再編成に追われていた。 各地の予備艦艇をかき集め、損耗した艦隊へ補充する。士官学校の卒業時期は繰り上げられ、退役寸前だった艦長たちまで現役へ呼び戻された。 だが、艦艇は揃えられても、人間までは簡単に補充できない。 経験豊富な士官。 熟練した機関士。 砲術下士官。 通信下士官。 そうした人材の多くが、ルドミラ方面で失われていた。 一方、新帝国は急がなかった。 ユリウスは軍を動かさず、領内の造船所を稼働させ、徴税制度を整え、弾薬、燃料、食料を蓄積させていた。 戦争とは、艦隊指揮だけで行うものではない。 そして、そのことを誰より理解していたのが、副宰相ザイフリートだった。「第四総管区については、ほぼ問題ありません」 新帝国首都グラウゼン。 宮殿内の会議室で、ザイフリートは淡々と報告を続けた。 長大な卓の上には、旧帝国領を示した立体星図が浮かんでいる。「マスターデリオン侯爵は、正式な臣従こそ表明しておりませんが、すでに我々の経済圏へ大きく傾いております」 第四総管区。 旧帝国最大級の金融市場を有し、銀行、証券、保険、商品取引所が集中する星域である。 直接的な軍事力こそ突出していない。 しかし、帝国経済の血液とも言える資金の流れを握っている。「旧帝国中央政府が発行する戦時国債の引き受けも、大幅に縮小しております」「それだけでも、かなり効くだろうな」 ユリウスが星図を見ながら言った。「はい。金利はすでに急上昇しております」 ザイフリートが資料を切り替える。 数字の列が空中に並んだ。「旧帝国政府の短期国債利回りは、この三か月で約二倍。軍需企業への支払いも遅延し始めております」「金がないのか?」 パウルスが尋ねた。「正確には、信用がなくなり始めております」 ザイフリートは答えた。「政府が明日も存在すると信じられている限り、国は借金できます。しかし、敗戦が続き、領土が削られ、税収が減れば、債権者は高い金利を要求する」「そして、高い金利を払えば、さらに財政が悪化する」「その通りです」 ザイフリートが笑う。「戦争は金食い虫ですからな」 第四総管区を事実上、新帝国側へ引き寄せたことで、旧帝国は軍資金調達の重要な経路を失いつ
Last Updated: 2026-09-23
Chapter: 第125話……生存者なし
 惑星ヒンデンブルク近隣宙域から脱出したロサリオ艦隊は、もはや艦隊と呼べる状態ではなかった。 戦闘開始時には整然と陣形を組んでいた艦艇群も、今では各所に損傷を抱え、編隊を維持することすら難しい。 それでも、ロサリオ国家元帥は逃げることだけは諦めていなかった。「進路変更。第七退避航路へ」「はっ!」「ただし十分後に再度変更する。周辺の分艦隊には我々の進路を知らせるな」 参謀たちは一瞬だけ顔を見合わせた。 通常ならば、味方の分艦隊と合流して戦力を増やすべき局面である。 だが、ロサリオは逆を選んだ。 追っているのは、偽帝の元で連戦連勝のパウルス元帥だ。 あの男を相手に、常識的な撤退をしても意味がない。 味方を集めれば集めるほど、その場所が目印になる。「敵は我々の艦隊反応を追っている。ならば、一つの大きな艦隊でいること自体が危険なのだ」 ロサリオはそう言うと、艦橋中央に浮かぶ宙域図へ指を伸ばした。「第三分艦隊を切り離せ。西へ向かわせろ」「しかし、閣下……」「囮だとは言っていない。生き延びろと伝えろ。それぞれ別方向へ逃げれば、敵も追撃戦力を分けざるを得ん」 命令を受けた四隻が艦隊から離れた。 その二時間後には、さらに三隻。 補給基地付近で友軍のミサイル艇十一隻と遭遇した際にも、ロサリオは合流を拒否した。 むしろミサイル艇を三方向へ分散させ、それぞれ異なる航路へ向かわせた。 残存艦艇の識別信号も定期的に変更する。 通信も最低限。 民間輸送船の航路付近を通過するときには速度を落とし、その船影に紛れることさえあった。 敗走ではある。 だが、その逃走は徹底していた。 そして、その効果は確かにあった。「敵艦隊、どうやら本艦隊を見失った模様です」 通信参謀の報告に、艦橋の空気が僅かに緩んだ。 ロサリオは椅子の背にもたれ、深く息を吐いた。「当然だ。戦争とは敵を撃つだけではない」 彼の目の下には、深い隈ができていた。 敗戦。 艦隊崩壊。 そして敗走。 この数十時間、まともに眠っていない。 それでも声だけは国家元帥の威厳を保っていた。「残存艦艇は?」「六隻です」 その数字には、さすがのロサリオも黙った。 旗艦、戦艦ウォンロン。 巡洋艦二隻。 駆逐艦三隻。 それだけだった。 一個艦隊が、僅か六隻。 だが逆に
Last Updated: 2026-09-23
宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

宇宙装甲戦艦ハンニバル ――宇宙S級提督への野望――

 毎日の仕事で疲れる主人公が、『楽な仕事』と誘われた宇宙ジャンルのVRゲームの世界に飛び込みます。  ゲームの中での姿は一つ目のギガース巨人族。    乗艦であるハンニバルは鈍重な装甲型。しかし、だんだんと改良が加えられていき……。  大出力レーザービームとミサイルが飛び交う艦隊戦。  更には突如現れるワームホール。  その向こうに見えたのは驚愕の世界だった……!?  様々な事案を解決しながら、ちっちゃいタヌキの砲術長と、トランジスタグラマーなアンドロイドの副官を連れて、主人公は銀河有史史上最も誉れ高いS級宇宙提督へと躍進していきます。
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Chapter: 第148話……宇宙S級提督への野望
「敵接近! 距離360光秒!」「敵影、約860隻」「戦闘準備!」「揃いも揃ってやってきたか……雑魚どもめ!」 俺は神らしく、好き放題させてもらった。 6か月もそうこうしていたら、カリバーン帝国どころか、ルドミラ教国まで連合して攻めてきやがった……。「改良型惑星破壊砲用意!」「了解! エネルギー充填開始します!」「エネルギー充填50%」「……80%」「……100%! 充填完了!」「敵艦隊めがけて発射しろ!」「了解! 発射します!」 特大の光条が敵艦隊先頭に命中。 恒星を思わせるほどの光球が現れる。 ……が、「!? 敵艦隊被害なし!」「敵艦隊先頭、識別装甲戦艦ハンニバル!」「……!?」「馬鹿な! あの戦艦は惑星破壊砲を単艦で弾いただと!?」「敵艦隊、なおも接近!」「やむをえん、通常砲撃戦用意!」「了解!」☆★☆★☆「特型電磁障壁解除!」「解除完了ですわ!」「全艦砲撃戦用意!」「装甲ミサイル艦、艦列前へ!」「砲撃用意完了ポコ!」「撃て!」 私はハンニバルの司令席にて、全艦に砲撃命令を下す。 今回私は、カリバーン・ルドミラ連合軍の臨時の艦隊司令長官を務めていたのだ。「長距離ミサイル発射!」「艦載機発進用意!」 ……大出量のレーザー光条が飛び交い、ミサイルが炸裂する。 光球が次々に産まれ、文明の叡智を残骸へと変えていった。「お味方、優勢です!」「よし! これよりハンニバルは、敵左翼に横撃をかける!」「了解ですわ!」「機関全速!」「取り舵一杯! 側砲射撃開始!」「斉射ポコ!」 ハンニバルは僚艦であるオムライスとジンギスカンを率い、高火力と高機動をもってして、敵左翼の艦列を切り崩す。――次第に、敵に混乱の色が見える。「戦略打撃戦艦ペテルギウス発見!」「大きいポコ!」 ……敵艦列を切り裂くと、ついに敵旗艦にお目見えする。 砲術長が言うように大きい。 多分ハンニバルより大きかった……。「機関に短期ブーストを掛けろ!」「ブースト了解ですわ!」「ブースト完了! 機関出力255%! 限界です!」「マイクロ・クエーサー砲用意!」 機関で生み出された大量のエネルギーが、艦体下部のマイクロ・クエーサー砲に流れこむ。 そのあまりの大エネルギーに、艦がきしむ音が聞こえる。「用意良し、エネル
Last Updated: 2026-05-29
Chapter: 第147話……商都ラヘルの落日
――標準歴5年4月。 濃い化粧と、お歯黒という独特の容貌のジョー・キリシマ提督は、ラヘル星系の富豪たちに乞われ、傭兵部隊を率いて星系防衛の任についていた。「トロストとかいうやつ何者ぞ?」 彼はクノイチ集団と呼ばれる暗部の女性情報工作員の頭領という別の顔もあったのだが、トロストの急速な台頭を掴み切れないでいた。 彼はラヘル星系の主星ロンギヌスを後背に、艦艇100隻を布陣。 トロストの艦隊を待ち受けた。 トロストはグングニル共和国の艦艇300隻を動員し、このラヘル星系に侵攻してきた。 300対100では勝てそうにないのだが、このラヘル星系の主星ロンギヌスは、姿かたちこそ緑の惑星だが、それは色彩等を意図的に変化させた擬態であり、内実は移動用チューブが張り巡らされたメトロポリスであり、黒鉄でできた人口都市惑星だった。「ほっほっほっ、トロストとやら、目に物を見せてくれん!」「重装甲ミサイル艦の戦列を前へ出せ!」「了解!」 ジョー・キリシマ提督は、グングニル共和国きっての高家の出である。 そのプライドや自信も相当のものだった。「トロスト艦隊接近、射程内に入りました!」「砲撃戦開始!」 トロストとジョー・キリシマ提督は、お互いの射程圏に入ると射撃を始めた。 お互い、戦場の長槍兵ともいえるミサイル艦艇を前に出し、主力は温存した戦い方だった。 そもそも、これがこの世界の戦いの常道であり、ハンニバルのように先頭をきる旗艦は珍しかったのだ。「長射程対艦ミサイル来ます!」「迎撃ミサイル発射! 対空砲応射せよ!」 双方、ミサイル艦の長射程ミサイルに対処。 戦いは次のフェーズに映る。「重巡洋艦と戦艦を前に出せ! 大口径レーザーで敵を始末しなさい!」「了解!」 ジョー・キリシマ提督は、ミサイル艦艇の後背から主力戦列艦を投入。 長射程の大口径砲の光条で、トロスト艦隊を攻撃した。 更には惑星ロンギヌスからの砲撃もトロスト艦隊を襲う。 戦いはジョー・キリシマ提督に有利に思えた。 ……しかし、異形のモノが戦場に現れる。「提督! 敵戦列から謎の宇宙海獣が現れました!」「なんですって?」 お歯黒の提督は慌てる。 カリバーン帝国の宇宙海獣戦術には、以前からほとほと手を焼いていたのだ。「こ、これは? カリバーン帝国の戦術! なぜ奴が!?」 ジ
Last Updated: 2026-05-29
Chapter: 第146話……トロスト再び!
――暗がりで試験管を眺める男。 奴の名はトール。 少し前まで技術少将を務めていた。 リーゼンフェルトが戦いに負けたので、奴と俺はとある辺境星系へ逃亡する羽目になった。 奴の発明品は、宇宙海獣操縦装置、ダークマター潜航艇、惑星破壊砲の三つ。「トロストさん、新しい体は大切にしてくださいね」「おうよ」 ……さらに奴は、俺に新しい体をくれた。 96%は機械なのだが、パワーとスピードが凄い。 ライオンにも素手で楽に勝てそうだ。 そして新しい乗艦も……。 元・クレーメンス公爵元帥乗艦、戦略打撃戦艦ペテルギウス。 全長1852m全幅243mの巨大な戦闘艦だ。 俺たちが逃げるときに乗ってきた船だ。 星間ギルドに頼み、最低限の乗員をかき集めた。「いざ、母なる地球ってか!?」 俺はトールの奴と別れ、アルデンヌ星系にあるワームホールを目指した。☆★☆★☆「……な、ない!?」「ワームホールがないぞ?」 俺は目をこする。 地球に繋がるワームホールがない。 すぐさま、トールの奴に連絡をとった。「トロストさん、ワームホールってのは気まぐれなんです。ときたま現れては消えてって感じなんです」「じゃあ次はいつ現れるんだ?」「明日かもしれませんし、何万年後かもしれません」「……ふ、ふざけんなよ!」 俺はモニターに怒鳴りつけ、通信を切った。 地球で神になる以外、俺にふさわしい仕事ってないぞ?「……ああ、ワームホールが現れるまで、この世界の神にでもなっておくか……」 俺にはカリバーン帝国国有企業の株式がある。 この財力をもってして成りあがってやるぜ! 俺は仕方なく、この日からこの世界の神を目指すことにした。――翌年、標準歴4年4月。 トロストという男が、突如グングニル共和国の地方星系の議員として当選した。☆★☆★☆――標準歴5年1月。 ハンニバル開発公社は、ラム星系周辺の開発と発展に成功。 カリバーン帝国第二の巨大企業となった。 その利益に伴い、ハンニバルも大改修を行う。 防御力を中心に底上げし、全長1600m級の双胴の艦体は、半ば動く要塞と化してきた。 さらには、内部に兵器工廠や研究開発室も設けていた。「大きいポコ♪」「大きすぎて入港できない宇宙港も出てきたクマね」「ふむう」 ……まぁ、そういうところは衛星軌道上に
Last Updated: 2026-05-29
Chapter: 第145話……温泉旅行と煙草
「火をお付けしますね」「ありがとう」「……ふぅ」 私はリアルの世界では吸わないタバコをふかす。 お酒と煙草、人類の永遠の友である。 この煙草の火は、今も副官殿が付けてくれている。 ……この点、大いに贅沢で、私は幸せ者である。 ……我々の世界は4次元で構成されている。 縦と横と高さと、時間の四つだ。 しかし宇宙には、10個もの次元が存在すると言われる。 その未解明な世界の一つは重力が有力である。 その他にも、思念体の世界があるかもしれないし、ゲームの世界があるかもしれない。 さらに言えば、未解明の次元は6つとは限らない可能性もあるのだ。 ……その一つが、今私が煙草をふかしている世界だとしても、何ら不思議はないのである。 地球の世界と、この世界はそもそも時間軸が合っていなかったのだ……。 輪廻転生とか、異世界に旅立ったり、過去にタイムスリップするのは、こういう世界を触媒にしている可能性も高いと、今は感じることが出来た。 もちろん、感じているだけで、この説が正しいと言える確証はどこにも無いのだが……。「灰皿をお持ちしますね」「……ああ」 バイオロイドの副官殿が、灰皿を持ってきてくれた。「……ふぅ」 気が付くと、手にした煙草は、真っ白になっていた……。☆★☆★☆「みんな、旅行に行くならどこがいい?」「海に行くポコ♪」「山に行くニャ♪」「温泉に行きたいですわ♪」「食べ放題に行きたいクマ♪」「釣りに行きたいメェ~♪」 改めて軍を退役し、暇がソコソコできたので、どこに行きたいか、みんなに意見を聞いたら、凄くばらばらだった。 幸いなことに、元帥の年金で行けないような候補地はないようだ……。 ……しかし、いつも勲功第一は副官殿なので、決議として温泉旅行へ行くこととなった。 近場では何なので、巡回や視察という名目で、新たに味方になった星系の中から候補地を選ぶ。 少し考えたところで、「う~ん、……ここが、いいかな?」「「「……」」」 鉱山用惑星カイロ。 航行費用の面などから考えて、ハンニバル開発公社の新開発案権の候補地から選ぶと、皆に白い目で見られた。 ……経費で宇宙船を飛ばすんだから、ある程度仕事絡みなのは、仕方ないじゃない? ハンニバルは私たちを乗せ、長距離跳躍を重ね、鉱山惑星カイロを目指した。☆★☆★
Last Updated: 2026-05-29
Chapter: 第144話……帝国再統一!!
「敵要塞へ降下せよ!」「「「了解!」」」 私は二足歩行可変型機種の艦載機二機を引き連れ、要塞地表部へと向かう。 愛機である重雷撃機ケルベロスも、二足歩行機動歩兵に姿を変える。 ……機動歩兵。 この世界にて装輪戦車と並ぶ地上における決戦兵器である。 全高15mにもなる装甲を施されたパワードスーツの一種だった。「散開!」 リヴァイアサン要塞地表の4割は岩石で、6割は金属だった。 私はその岩石部に降り立った。 岩石部は起伏があり、遮蔽遺物も多く、隠蔽率が高かったため有利に戦えるからだ。 ……いつの時代の戦いも、最後は地上戦となる。 いわば人類宿命の戦いであった……。「前方に装輪戦車、多数!」「擲弾筒用意!」 我々を見つけた要塞側も、すぐさま戦車を繰り出してきた。 土煙をもうもうと上げてこちらに迫りくる。――ドドドォォォン  後方からやってきた通常の歩兵隊が、迫撃砲で支援してくれた。 それに合わせて、私も重粒子ガトリンク砲等で攻撃に転じる。 ……しかし、敵砲火が激しく、前進が難しい。「こちらケルベロス、F-998地点へ支援砲火を要請する!」「こちらハンニバル、了解!」 遥か彼方の装甲戦艦と、上空の艦載機からの支援射撃により、敵装輪戦車が消し飛ぶ。「前進だ!」「「「了解!」」」 我々は岩肌の窪地から飛び出て、急いで前進。 2時間にわたる激しい砲火ののち、敵地上部隊の壊滅と飛行場の占領に成功した。「こちらケルベロス、P-9地点の飛行場を制圧した。この地点へ惑星揚陸艦を着陸されたし!」「了解だ! アニキ待ってろ!」 アルベルトの声が聞こえる。 これより先の要塞内部の戦いは、ドラグニル陸戦隊を始めとした荒くれ者の白兵戦部隊の独壇場だ。 私の出番はない。「これより地表の残敵を掃討する! 続け!」 ケルベロスと僚機2機は重雷撃機へと可変し、飛び立つ。 他の戦線で戦っている地上部隊を支援するためだ。――更に4時間後。 地表部では目立った抵抗は減っていく。 大要塞攻略戦は最終段階へと入っていった……。☆★☆★☆「おかえりなさいですわ!」「おかえりポコ!」「ただいま!」 ハンニバルへと帰った私は、装甲服を脱ぎ捨て、幕僚たちから報告を聞く。「ほぼ全ての地域で我が方が優勢! 要塞占領は時間の問題ですわ!」
Last Updated: 2026-05-29
Chapter: 第143話……猪突猛進!? 旗艦ハンニバル!!
(……リヴァイアサン要塞指令室)「Xポイントに侵入する艦船があります!」「何者だ?」 この要塞の司令官、リーゼンフェルト提督が驚く。 Xポイントは、彼らの主星アルバトロスに通じる道だったのだ。 ……しかし、逆に言えば最も防備が厚い部分でもあった。「識別照合、装甲戦艦ハンニバルです!」「……うはは、トチ狂ったかヴェロヴェマの奴。この要塞を落とさずして、背後に行けると思うなよ!」 リーゼンフェルト提督は笑った。 リヴァイアサン要塞の周りの宙域は、いわゆる険しい隘路になっており、速度を保ったまま安全に進むのは難しかったのだ……。 速度を落としたところを、要塞砲に狙われるのである。「軌道要塞砲移動! ハンニバルを仕留めろ!」「はっ!」「敵の総司令官が、わざわざ死地に出向いてくれるとはな。ワシにも運が巡ってきたか?」 ……そうリーゼンフェルトはほくそ笑んだ。☆★☆★☆(パウリーネ側、諸侯艦隊)「総司令官殿の艦艇が、敵要塞側面に肉薄していきます!」「おおう?」 各指揮官は色めきだった。 この要塞を落としても、結局のところ総司令官のヴェロヴェマ元帥の功績となる。 ……しかし、ヴェロヴェマ元帥が戦死してしまえば? 各指揮官のいずれもが、勲功第一となる可能性が出たのだ……。「要塞奪取の栄誉は、我がラムスール星系艦隊ぞ!」「いやいや、その栄誉は我がパトルシア星系艦隊が頂く!」 パウリーネ派の諸侯艦隊は、次々と要塞に突撃していく。 それに対して、要塞側から多数の砲火が浴びせられる。「駆逐艦パラミス撃沈!」「巡洋艦アラドミア大破!」「被害にかまうな! 全艦突撃!」「他星系艦隊に負けるな! ツッコめ!」 いままで、他の星系の艦隊の動向を見て、あまり積極的に要塞を攻撃しなかった艦隊が、一斉に要塞に総攻撃を掛けた。 しかも、被害を顧みない大攻勢だった……。☆★☆★☆「敵ミサイル艦撃沈!」「敵、揚陸艦中破!」「尚も、敵が前進してきます!」「なぜだ!? 敵は何故こうも士気が上がったのだ!?」「第二防衛ライン突破されます!」「戦略予備の要撃機を全部出せ!」「了解!」「第二滑走路へ、第六要撃部隊発艦せよ!」「尚も敵艦載機、突っ込んできます!」「くそう、奴等は死が怖くないのか??」 要塞司令官であるリーゼンフェルト提
Last Updated: 2026-05-29
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