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第7話

Auteur: トフィー
翌朝早く、二人は車で山口家へと向かった。

ドアをくぐると、庭のブランコに腰かけ本を読んでいる舞の姿が目に入る。

「舞、先日のパーティーの件は仁美が悪かった。わざわざプレゼントを用意させたから、どうか気を悪くしないでくれ」

直樹が手を振ると、使用人たちが箱に詰められた品々を運び込んだ。

舞の口元に、ふっと笑みが浮かぶ。

「わざとでじゃなかったのでしょう。きっと何か誤解よ。それに仁美は貧しい生まれで、ご両親も早くに亡くなって、ろくな教育も受けてなかった。だからあんなことをしてしまうのも無理はないわ」

仁美の表情は一切変わらず、ただ拳を固く握りしめた。

「この件はもう水に流しましょう。長年の友情を壊したくはないもの」

風に髪をなびかせながら、舞はわざと仁美の方に手をかざし、指に光るルビーの指輪を見せつける。

「お茶を淹れて」

舞が使用人に命じると、直樹が先に立ち上がった。

「俺が行こう。今日は詫びを入れるために来たんだ、君に手を煩わせられるものか」

「ちゃんと覚えてる?前と同じ場所だよ。昔来た時はいつもそこから茶葉を取ってた」

仁美が思わず直樹の顔を見やると、その瞳には柔らかな懐かしさが宿っていた。

直樹が去ると、舞は庭に咲くジャスミンに視線を移し、ふと口を開いた。

「この花はね、私の十八歳の誕生日に、直樹が二日かけて自ら植えてくれたものなの。それ以来、私がお茶を飲む時は、ジャスミン茶しか飲まなくなった」

仁美の眉がかすかに寄る。

「ここには私たちしかいない。もう芝居はやめて、何を言いたいのかはっきり言えば?」

舞は笑みを深め、その目元に棘のような皮肉が走る。

「仁美、直樹がどうして私にジャスミンを贈ったか、分かる?」

仁美は無言のまま、冷え切った湖のような眼差しで彼女を見据える。

三年経とうとも、直樹の心はなお彼女のものだ。

意外にも淡白な反応に、舞は一瞬眉をひそめる。

「直樹は誰を一番大切に思っているか、仁美も知っているはず。早く身を引いた方が、惨めな負け方をせずに済むわ」

仁美の口元に、寂しい笑みが浮かんだ。

「私は直樹の妻だ、山口さん。あなたにそんなこと言われる筋合いわ。それに、彼はもう私のために頭を下げてくれたでしょ。もう失礼するわ」

仁美は立ち上がり、その場を去ろうとした。だが舞が素早くその手首を掴み取る。

思うように取り合わない仁美に、舞は奥歯を噛みしめ、声を尖らせた。

「直樹はあなたを愛してなんかいない!あの日地下室で起きたことは全部私の仕掛けよ。彼は知っていたのに、止めなかった!私の男を奪った卑怯者!九十九回はむしろ足りないくらいだよ!」

仁美の瞳が大きく見開かれ、胸に鋭い痛みが走る。

だが彼女はかろうじて理性を繋ぎ止め、声を凍らせた。

「パーティーで流された映像はAIで作られた偽物。でも私の傷は本物よ。直樹があなたの本性を知ったら、まだ愛してくれると思ってるの?」

舞の顔色が一瞬にして曇る。

仁美は冷ややかに笑い、手を振り払った。

「でも、彼が本当に山口さんを愛しているなら、世間から第三者と罵らせこともなかったはず」

舞の顔は一瞬で赤く染まり、痛いところを突かれたせいで、恥じらいと怒りが入り混じる。

「このくそ女!あんたに何がわかるっていうの!?直樹はもうとっくにあんたに飽きてるのよ。色気もない、退屈極まりない女だって。彼の心を満たせるのはこの私だけなの!」

仁美の瞳が冷たく沈んでいく。

「そんな愛、安っぽいわね」

舞は口角を歪め、声を尖らせる。

「本当のことを教えてあげる。あんたがバーで働いていた頃、私が酒に薬を入れた。だからあんたは子供を失ったのよ。直樹は全部知っていた。だから私を国外に出し、罪滅ぼしのためにあんたを妻にした。全部彼が黙認したことよ!」

パァン!

仁美は、憤怒に震えながら舞の頬を打った。

「私に手を上げるなんて......!」

舞は顔を押さえ、信じられないというように目を見開く。

「この一発はさっきのお返し!」

仁美は涙に濡れた瞳で、もう一度手を振り上げた。

パァン!

「この一発は、失った子供のため!」

目に涙を浮かべ、さらに腕を振り下ろそうとしたその瞬間、後ろから鋭く手首を掴まれた。

「やめろ!」

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