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第13話

Auteur: ブタキツネ
「安幸さん、私たち会ったばかりだし、この仕事、私の専門には合ってないわ」

明里と安幸はしばし見つめ合った。

明里より六つ年下のこの男が、拒まれてしょんぼりしているのか、それとも負けん気を見せているのか、その入り混じったまなざしで彼女を射抜く。

その瞳はきっぱりとした光を宿していたが、次第に拗ねたような色を帯び、まるで褒めてもらえなかった子犬のように潤んでいった。

「そっか……じゃあ、先輩、僕もう一つ仕事があるんだけど、うちの会社のモデルになってくれないかな!海外で時代劇のモデルって、なかなか見つからないんだ。先輩、僕を助けると思って、ね、いいでしょ?」

安幸は椅子に座り直し、顔を上げた拍子に、ふわふわの髪がぴょんと二度跳ねた。

その情熱に満ちた明るい笑顔は、真っ直ぐに明里の胸に届いた。

「こら、安幸。明里が来たばかりなんだから、少しは静かにしてやれ。飯よそってこい」

清水は呆れたように安幸を追い払った。

「明里、安幸の言う通りだ。海外で時代劇のモデルを探すのは本当に難しい。心配しなくていい、給料のことは私がしっかり見ておく。国内を出てきたんだ、そろそろ気持ちを落ち着けて生活するべきだよ」

時雨家のことに口出しする気はなかったが、教え子を他人にいじめさせるわけにはいかない。

明里と克成の間に何があったか詳しくは知らないが、婚約者が変わったことは多くの者が知るところだ。

安幸を連れてきたのも、このやんちゃ坊主が最も得意な弟子にとって良い気分転換になるだろうという思惑からだった。

明里は清水の意図を悟り、首を傾げながらキッチンをちらりと見た。

キッチンでは、安幸の横顔が明るい光に照らされて、驚くほど格好よく、どこか初々しい。照明のせいか、耳たぶがほんのり赤く染まっているのが見えた。

モデルをするだけなら、悪くないのかもしれない――そんな思いが胸をかすめる。

こちらの会話が途切れた頃、安幸がご飯をよそい終え、小皿に切ったフルーツを盛りつけ、明里の前にそっと置いた。

「先輩、食後のフルーツだよ。冷やしてあるから、後で食べるとちょうどいい」

彼は熱を帯びたまなざしで明里を見つめ、どうにか機嫌を取ろうとしているのが、隠しようもなく伝わってくる。

だが、そのあからさまな、どこか幼い媚び方が、むしろ爽やかで心地よかった。

明里はわざと彼をからか
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