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第105話

Author: フカモリ
真琴が振り返ると、由美が一歩踏み出し、その手を取った。

「真琴ちゃん、もう九時過ぎよ。会社に戻って残業するわけじゃないでしょう?私と信行の車で送っていくわ。わざわざ遠回りすることないじゃない」

真琴が断る口実を探そうとした時、その言葉を聞いた智昭が、不思議そうに由美を一瞥し、そして真琴に言った。

「辻本さん、会社の方は大丈夫だ。片桐社長と一緒に帰っていい」

「私と信行」の車?

それは片桐家の車じゃないのか?彼ら夫婦の共有財産じゃないのか?

智昭は独身で恋愛経験も少ないが、資産の所有権が誰にあるかくらいは理解している。

社長にそう言われては、真琴も頷くしかない。

「分かりました、社長。では、また明日」

本音を言えば、由美とは関わりたくない。一つは由美と信行の関係、もう一つはやはり彼らの関係だ。それに馬鹿ではないから、由美の言葉の一つ一つ、その意図はよく分かっている。

ただ、智昭に信行と帰るように言われた以上、彼に送ってもらうわけにもいかず、承諾した。

それを見て、信行は言った。

「車を回してくる」

祐斗には別の用事を言いつけたため、今は運転手がいない。

数分後
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