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第106話

Author: フカモリ
運転席で、信行は両手でハンドルを握りながら、淡々と由美を一瞥した。その顔色はわずかに曇った。

由美は弁解しようとしたが、真琴はそれを遮るように、冷静かつ明瞭な声で告げた。

「学歴だけを見れば、アークライトの採用基準には満たないかもしれません。ですが、私が学生時代に取得した特許は、今でも十分に開発価値があるものです。学位なんて、取ろうと思えばいつでも取れます。

アークライトに入ったからには、必ずそれ以上の価値を生み出してみせます。高瀬社長に評価されるのは当然のことですし、それだけの働きはするつもりです」

それを聞いて、由美は慌てて笑顔で同調した。

「そ、そうね。真琴ちゃんは昔から賢いもの。数年もすれば皆に追いついて、追い越していくわよ。期待してるわ」

両手でハンドルを握りながら、真琴の真剣な様子に、信行は思わず喉の奥で「ふっ」と笑い声を漏らした。ルームミラー越しに彼女を見て言った。

「随分と自信満々だな?」

その言葉に真琴はさらりと彼を見やり、平然と言った。

「まあまあです。高瀬社長は、誰でも評価するような甘い方ではありませんから」

……由美は言葉に詰まる。

遠回し
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