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第274話

Author: フカモリ
信行は真琴が座っていた椅子を見ると、何食わぬ顔で言った。

「遠慮するな。座れよ」

真琴がスカートの裾を押さえて座ろうとすると、ベッドの上の幸子が口を挟んだ。

「信行。真琴ちゃんも、ここでじっとしてたら手持ち無沙汰でしょう。下に連れて行って、少し散歩でもしてらっしゃい。若いのにこんな湿っぽい部屋にいたら、気が詰まっちゃうわ」

真琴は慌てて言った。

「お婆様、そんなことありません。退屈なんて……」

幸子は遮った。

「いいから行きなさい。私には分かるのよ。ほら、早く行って。お爺さん同士で積もる話もあるでしょうし、真琴ちゃんがここにいると、辻本さんも気を使って早く帰ろうとしちゃうから」

そして、しみじみと付け加えた。

「歳をとるとね、会うたびに『これが最後かもしれない』と思うものなのよ」

そう言われて真琴は断れない。

信行も同意した。

「今日は涼しいから、少し歩こうか」

二人は病室を出て、一階へと降りた。

昼間はまだ暑さが残っていたが、朝晩の寒暖差が大きく、夜風は心地よく涼しかった。

空はすでに暗くなっていたが、中庭の街灯が足元を明るく照らしている。

並んでゆっ
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中村 由美
成美と瓜二つで成美の心臓である事が何故勝ちなのか?結局、由美自身が好きではなく成美の身代わりでしかないのに⋯それでいいのか?身代わりではなく自分自身を愛してくれるのを望むのが本妻で身代わりでもいいと纏わりつくのが愛人なのか?
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