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不幸な人がいない村――2

مؤلف: 桜森よなが
last update تاريخ النشر: 2026-06-23 05:55:45

 それから五分ぐらい歩いて、宿に着いた。

 受付で宿屋の主人に部屋が空いているか聞くと、二人用の部屋と一人用の部屋がそれぞれ一つ空いていると返答が来た。

「どうしようか、やっぱり、クルシェとは別々の部屋の方がいいよな……」

 金銭的なことを考えると同じ部屋にしておきたいんだけど……。

「え、同じでいいですよ、お金、もったいないじゃないですか」

「そう? クルシェがいいならそうするけど……」

「なに、同じ部屋だとあんた、なんかするの?」

 とチャーリーが訝しんだ声を発する。

「いやいや、まさか……」

 と顔の前で手を左右にぶんぶんと振る。

「追加料金を払えば、夕食と朝食をつけられますが、どうしますか?」

 と主人がニコニコとした顔で言う。

「じゃあ、つけてもらおうかな」

「了解いたしました、では。こちらにサインを」

 書類に名前を書き終えると、主人がカウンターから出て、こちらに来た。

「それでは、お部屋までご案内しますね」

 と二階の部屋まで連れて行ってくれた。

「こちらのお部屋になります」

 主人がある部屋の前で立ち止まり、ドアを開ける。

 広くはないが、二人用としては十分な部屋だった。

 中央にテーブル1つと椅子が二つ。大きなベッドが部屋の端に二つ並んでいる。

 最低限の家具しかないが、きれいに掃除されているし、うん、悪くない部屋だ。

 チャーリーもクルシェも特に不満はなさそうな顔をしている。

「湯浴みをしたい場合は一階の方に浴室があるので、そこで……小さいですけど」

 主人がそう言うと、クルシェの顔が明るくなる。

 うん、やっぱり女性は入りたいよね、お風呂。

「それでは、お食事ができたら、お呼びしますね」

 と主人が去っていく。

 僕が椅子の一つに腰かけると、クルシェがこちらに来た。

「あの、ご主人様、湯浴み、してきてもいいですか」

「ああ、いいよ、たぶん食事までまだ時間があるだろうし、ていうか、別に僕の許可を取らなくてもいいよ」

「ありがとうございます、では、行ってきます」

 と部屋を出ていくクルシェの後ろ姿を見ていると、ふとチャーリーの視線を感じたのでそちらの方を見る。

「覗いたらだめよ?」

「覗かないよ!」

 まったく、このママチャリ、僕のことを変態だと思っていないか?

 クルシェが帰ってきたのはそれから、二、三十分後だった。

「ただいま戻りました」

 ドアが開いた音がして、現れた彼女がそう言ったことで、椅子の上で眠りそうになっていた頭が覚醒する。

 目をこすりながらクルシェの方を見ると、彼女は髪を下ろしていた。

 お風呂上がりのその姿を、なんだかついまじまじと見てしまう。

 洗髪剤のいい香りが、彼女の方から漂ってくる……。

「いやらしい」

 とチャーリーの責めるような声が聞こえてきた。

「どうかしましたか?」

 とクルシェはきょとんとした顔。

「いや、なんでもないよ、なんでも」

 とごまかしていたとき、ドアをノックする音がした。

「どうぞ」

 と僕が言うと、ガチャッとドアが開かれ、従業員と思われる女性が現れた。

「お食事の準備ができましたので、お呼びいたしました」

 ちょうどいいタイミングで来てくれた。

「私、お腹ペコペコです、今日はたくさん食べられそうです」

 クルシェがお腹をなでさすりながら言う。

「あはは、じゃあ、早速、食堂へ行こうか、あ、でも――」

 その前に……気になることが一つ。

「あの、なにか暗い顔をしていますけど、なにかあったんですか?」

 とその従業員の顔を見て、僕は言う。

「え、私、そんな顔していました?」

「ええ」

「そうでしたか、実はですね、先ほど、食事の準備をしているときに、コップを割ってしまいまいして、店主やシェフに怒られてしまって……」

「そうだったんですか……それくらいのミスは誰だってしますよ」

「ありがとうございます、そう言っていただけると、少し気が楽になります」

 僕の励ましに、従業員の女性はそう言うものの、あまり顔は明るくなっていない。

 まだ引きずっていそうだ。

 僕たちはチャーリーを部屋において、その従業員についていき、一階の食堂へ向かう。

 そこへ着くと、シェフと思われる男性が食堂の端に佇んでいた。

 従業員の女性は用意していた席に僕たちを座らせると、自身はシェフの隣に並んだ。

 テーブルには、何かの肉を揚げたもの、生ハムがふんだんに乗ったサラダ、パエリアっぽい料理、白身魚のカルパッチョ、コンソメスープ、が並んである。

「どうぞ、お召し上がりください」

 とシェフが言ったのとほとんど同時に食べ始める。

 料理は素朴な味だったけど、どれもおいしかった。

 値段を考えると、十分すぎるクオリティだ。

 ただ……気になることが一つだけある。

 料理自体とは関係ないのだが、食べている間、シェフがこちらの方をちらちらと見てきて、なんだか落ち着かないのだ。

「あの、どうかしましたか?」

 耐えられなくなった僕は、シェフに訊いた。

「あ、も、申し訳ありません、実は先ほど、別のお客様から料理を酷評されてしまいまして、それでおいしいか不安で……」

「おいしいですよ」

「はい、すっごくおいしいです」

 ぼくが賞賛したあと、クルシェも同意する。

 クルシェは料理をパクパクと次から次へと食べながら言っているので、本心からの言葉だろう。

 いや、彼女はそもそも嘘をつけないんだったな。

 シェフはほっと胸を撫で下ろしたが、それでもまだ表情は硬かった。

「いえ、でも、一人の客がおいしくなかったと言ったのは事実なので、もっと料理の腕を磨かないと」

 とシェフが険しい顔つきになり、奥の調理場へと引っ込んでいった。

 真面目な人だなぁ。

 数十分後、料理を食べ終えた僕とクルシェは部屋に戻った。

 お留守番をしていたチャーリーが声をかけてくる。

「おかえり、どう、おいしかった?」

「ああ、うまかったぞ」

「大変美味でした、ママにも食べてほしかったです」

「そうねぇ、二人が食べたものを食べられないのは辛いわね……この体になって、便利なこともあれば不便なこともあるけど、不便なことの一つが食事ね……」

 とチャーリーがはぁっと小さく嘆息する。

「あ、そんなことよりもさ、テルとクルシェちゃんに訊きたいことがあったのよね」

「訊きたいこと? なんだ」

 僕はそう言いながら椅子に腰かけた。クルシェもベッドの端にぼすんっと音を立て座る。

「二人はさ、この村、どう思う?」

「どう思うって、まぁ、普通の村だな」

「私も同じ感想です」

「うん、あたしも同意見だわ、いいことも起きれば嫌なことも起きて、幸せな人もいれば不幸な人もいる、ごくごく普通の村。でも、この村って、不幸な人がいない村と呼ばれてるでしょ、あれはなんでなんでしょうね?」

「まぁ幸せそうな人が多いようには見えるし、実態より誇張されてるってだけじゃないか?」

「そうかもしれないけど、そうじゃない気がするのよね」

 と僕の見解に、今一納得してない様子のチャーリー。

「嫌なことが起きないっていうのは結局、嘘だったということでいいのでしょうか?」

 とクルシェが指を顎に添えながら、思案顔で言う。

「少なくとも、あのガタイのいい男の言っていたことは嘘ね」

「でも、私、あの人が嘘をついていたようには思えないんです」

 とチャーリーの言うことに少し不満そうなクルシェ。

「僕もたしかにあの村人が嘘をついているようなたいどにはみえなかった……心の底からそう思って言っているように見えた」

「なにそれ、ていうことは、嫌なことが起きているのに、彼はそれに気づいていなかったってわけ?」

 ありえない、と言いたげなチャーリー。

「そうかもしれない、いや、他の人にとっては嫌なことが起きているけど、あのガタイのいい村人にとっては嫌なことが起きた、と思えるようなことは起きていなかった、ということかもしれない……もしかすると、村長のあの、『嫌なことが起きても、不幸にはならない』って発言もここらへんに関係があるのかもしれないな……」

「なんだか、頭がこんがらがってきました」

 と頭を抱えるクルシェに思わず苦笑する。

「じゃあ、この話は今日はここまでにしておこうか、別の話題にしよう」

「あ、じゃあ、私、ご主人様にずっと訊きたいことがあったんですけど、いいですか?」

「なんだい?」

「その、ご主人様の過去のことが、知りたいです!」

「過去のことか、僕の過去なんてそんな面白くないと思うけど……」

「それでも知りたいんです、ご主人様のことをもっと!」

「わかったわかった、話すよ……でも、どこから話そう……何から何まで話す時間はないし、とりあえず、この世界に来る直前と直後くらいを話そうかな……」

 そのとき、おかしなことに気づいた。

「あれ?」

「どうかしましたか?」

 とクルシェが心配そうな顔をする。

「いや、おかしいんだ、この世界に来る前後らへんのことが思い出せないんだ」

「なにそれ、あんた、その若さでぼけたの?」

 とチャーリーがバカにしたかんじで言ってくる。

「ええ、そんな、まさか……」

 しかし、思い出せないのは事実だった。

「大丈夫ですか?」

 と本気で僕の身を案じてくれていそうなクルシェ。

「うーん、ごめん、とりあえず、一旦お風呂入ってきてもいいかな……話はその後で」

「いいですよ、ご主人様のお好きなようにしてください」

 しかし、風呂に入った後も思い出せず、結局、その日はクルシェに過去のことを何も話さずに眠りについた。

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    「はぁ?」 キランのその提案に、チャーリーが怒りと呆れが混じったような声を上げる。「なんでテルがそんなことしないといけないのよ、あたしと勝負しなさいよ、ぼこぼこにしてあげるわ」「俺はテルと戦いたいんだよ」「ふざけないで、なんでそんな分が悪い戦いをテルにさせなきゃならないのよ」 チャーリーの言うことはもっともだ。でも……。 僕は深く考えて、決意した。「わかった、キラン、サシで戦おう」「そうこなくちゃ」「はぁー?」 チャーリーが今度は僕に怒りを向ける。「何言ってんのよ、テル、正気?}「ああ、正気だ」「前からバカなんじゃないかと思ってたけど、まさかここまでバカだったとはね、一応聞くけど、理由は?」「……親友の頼みを聞いてやりたいんだ」 親友という言葉に、ぴくりとキランが眉を動かしたのが視界の端に映った。「……そんだけ?」「ああ、そんだけだ」「はぁーーーー」 と大げさに溜息をつくチャーリー。「……あんたじゃ、キランに勝てないわ」「そうだろうな」「死ぬわよ」「かもしれないな」「それでもやるの?」「ああ」「……はぁ、わかった、もう好きにしなさい」 と投げやりな感じで言うチャーリー。 クルシェはというと、先ほどからあわあわとしていて、僕とキランを交互に何度か見た後、両者の間に入ってきた。「ちょ、ちょっと、なんでそんな、一騎打ちなんて……、二人とも、あんなに仲良かったじゃないですか、どうして戦わないといけないんですか、やめましょうよ、こんなことに何の意味が……」 キランが鋭い目つきでクルシェの方を見る。「うるせぇ! 男の戦いに口出すんじゃねぇ、引っ込んでろ!」 彼にものすごい剣幕で怒鳴られたクルシェはびくびくっと震えて、よろよろとした動きで僕とキランの間から離れていった。 それから、僕とキランは見つめ合った。 お互い示し合わせたように、同じタイミングで、鞘から剣を抜いた。 チャーリーもクルシェも、もう何も言わなかった。、ただ固唾を飲んで、僕たちを見守っている。 僕とキランはお互いに距離を詰めていく。無言で、ゆっくりと、間合いを確かめながら。 キランの持つ剣の方が剣身が長いので、彼のほうが早く間合いに到達する。 だから、最初に仕掛けてきたのは、キランの側だった。 僕の頭に向かって、剣を振り下ろしてくる。

  • 最強のママチャリに乗って美少女と一緒に異世界をのんびりと旅する   白銀の町と喋る雪ダルマと人間嫌いの男――1

     僕たちは訪れた町の酒場などでキランの情報を収集しながら、旅を続けた。 一月以上経過した頃、白銀の町と言われているところで、キランがいるという情報を手に入れた。 僕たちはそこへ訪れることにした。 その町へ近づいていくにつれ、地面は雪道になっていき、 チャーリーは魔法で雪を溶かしながら前進した。 白銀の町へ着くと、入り口から少し先へ行ったところに、大きな雪ダルマがあった。「ようこそ、白銀の町へ」 雪ダルマがしゃべった!?「わぁ、かわいいですね」 とクルシェが目を輝かせている。 「魔法で喋っているのか?」「いえ、これはモンスターみたいね」 僕の問いにチャーリーが冷静に答える。 モンスターということなので、僕が短剣を鞘から抜いて、臨戦態勢をとると、雪ダルマが慌てた様子で、「ちょ、何もしないよ、僕は悪いモンスターじゃないよ」 と言うが、モンスターの言うことなので、僕は真に受けず、警戒を解かないでいると、一人の人物がこちらにやってきた。「安心してください、そのモンスターは本当に危害を加えたりはしませんよ」 やってきた人物がニコニコとした顔でそう言う。「あなたは?」「私は町長のビルモントです。その雪ダルマは私が物心ついた時からこの町にいる、穏やかな性格のモンスターですよ」 僕の疑問に町長はそう答えた。 周囲を見回すが、たしかにモンスターがいると言うのに、この町の人々は特に気にしているそぶりはなかった。 僕は短剣を鞘にしまい、警戒を解いた。 雪ダルマがほっと一息をつく。「僕が善良だとわかってくれたようでよかったよ、この町についてわからないことがあったら何でも言ってね」「じゃあ、訊きたいんだけど、この町に赤髪の美男子が来なかったか?」「赤髪の美男子……ああ、二日前にここに来たよ」「今はどこにいるかわかるか?」「ごめん、それはちょっと……」 としょぼんとした様子の雪だるま。「私もその赤髪の男を二日前に見かけましたが、今どこにいるかはわかりませんね、酒場にいけば、情報が手に入りやすいと思いますよ」 と町長が言うので、酒場の場所を教えてもらい、そこへ向かった。 店内に入ると、僕とクルシェがお酒を頼んで、届いたそれを飲みながら、キランのことについて聞き込みをすると、なんとほんの少し前までこの酒場にいたというのだ。 酒を一気

  • 最強のママチャリに乗って美少女と一緒に異世界をのんびりと旅する   眠るのが好きな人々の町

     眠らない人々の町を出て、休憩しながら自転車をこぎ続けて、五日後、僕たちは眠るのが好きな人々の町というところに着いた。 が、しかし――「誰もいませんね」 とクルシェがぽつりと言う。 もう今は昼くらいの時間帯なのに、誰も見かけない。 どこの家も窓の奥が真っ暗だった。「ちゃんと、人は住んでいるんだよな……?」 と僕が疑問を口にすると、「そう聞いているけど」とチャーリーが自信なさげに言った。 人の気配がしない町の中を歩き回ること数十分、目の前にあった家の窓の奥が明るくなると、その家のドアから誰かが出てきた。「おや、旅人さんかな」 その人物が僕たちに近づいてくる。年齢はおそらく5,60歳くらいだが、若々しくて活力のある男性だった。「あなたは?」 と僕が訊くと、彼はよく通る声で、「私はここの町長のトルテスです、さぞやびっくりしたことでしょう、外に誰もいないから。まだほとんどの人が寝てるんですよ、ここの住民は皆一日に12時間は寝ていますからね」「12時間も?」「それ以上寝ている者もいるくらいですよ」「なんでそんなに寝ているんですか」「他の者は知りませんが、私は単純に好きだからですね、眠るのが。だって、朝、早起きせずにたくさん眠れるのって幸せじゃないですか?」 そう言われ、考えてみる。 前の世界では学校とかバイトとかで早起きしないといけないことが多かったから、休みの日に遅くまでぐっすりと眠れる時はたしかに幸せだったかも……。 それが毎日続くなると、さすがにそのありがたみが薄れそうだが。「どうですか、あなたたちも時間を気にせず、ゆっくり寝てみては」「そうですね、この町ではそうしようと思います、ところで、この町に中波と法村って人がいると思うんですけど、ご存じでしょうか」「ああ、知っているよ、知り合いなのかい? じゃあお二人の所に案内しよう、まずはここから近い、法村さんの方から行きましょうか」 町長はある家の前まで案内してくれると、二度寝すると言って去っていった。 まだ眠るつもりなのか……。   僕は法村の家の呼び鈴を鳴らした。  すると、すぐにドアが開かれ、男が出てきた。「どなたですか……て、矢島か?」「ああ、そうだ、久しぶりだな」「いや、ほんとそうだよ、元気してたか!」「うん、そっちは」「まぁ元気だよ、あ、どうぞ上

  • 最強のママチャリに乗って美少女と一緒に異世界をのんびりと旅する   不幸な人がいない村――3

     翌日、朝早く目覚めてしまったので、散歩でもしようかとドアを開けようとしたとき、「なに、どこか行くの、あたしも連れて行きなさいよ」 とチャーリーが声をかけてくる。 先程までいびきをかいていたので、ついさっき起きたみたいだ。「うーん……なんですか、ご主人様、一人でどこへ行くつもりですか……私も行きます……」 クルシェもまぶたをこすりながら、ベッドから起き上がってくる。「散歩に行くだけだよ、二人も行く?」 はい、と二人とも返事をしたので、クルシェが顔を洗って、着替えるのを待ってから出発することにした。 一階に降り、玄関へ向かうと、モップで床を掃除しているあの従業員に出くわした。コ

  • 最強のママチャリに乗って美少女と一緒に異世界をのんびりと旅する   不幸な人がいない村――1

     数時間おきに休憩をはさみながら自転車をこいでいると、遠くに村が見えてきた。「あれが次の目的地ね、不幸な人が誰もいない村と呼ばれているわ」 チャーリーがそう言うと、クルシェは目をキラキラとさせた。「不幸な人が誰もいない? ほんとだとしたら、とても素敵なところですね!」 不幸な人が誰もいない……本当なのだろうか? まぁ行ってみないとわからないか。 それからさらに数十分くらい自転車をこいで、村に到着した。 自転車を降りて、入り口を通ると、じろじろと村人たちから視線を浴びる。「旅人かい?」 近くに寄ってきたガタイのいい村人から声をかけられたので、僕は慌てて返事をした。「あ、はい

  • 最強のママチャリに乗って美少女と一緒に異世界をのんびりと旅する   手料理

     さらに自転車をこぐこと数時間、辺りが暗くなってきたので、そろそろ野宿の準備をしようと思った。 少し先に、大きな岩が点在しているところがあったので、その辺りで休もうと考えた。「あの岩の辺りで、今日は野宿しようか」「わかったわ」「はい!」 チャーリー、次いでクルシェが返事する。「クルシェは野宿大丈夫?」「大丈夫です、あの誰とも仲良くなれない町に来るまでに何度か経験ありますので」 となぜか自慢げに言う。「ひとりで野宿してたの? モンスターとかに襲われなかった?」 と僕が訊くと、彼女は胸を反って、「いえ、旅の途中で出会った、旅人や冒険者や行商人とかと一緒に旅をしていたので、襲

  • 最強のママチャリに乗って美少女と一緒に異世界をのんびりと旅する   私って自由だったんだ

     誰とも仲良くなれない町を出て、しばらく自転車を街道に沿ってこいでいた。 先程から周囲がほぼ草木しかない光景が続いている。 たまにゴブリンやスライムなどの低級のモンスターが襲い掛かってきたが、自転車でそのまま轢いて吹っ飛ばして進んでいく。 数時間くらいこぎ続けているので、そろそろ一休みしたいな、と思っていた時、ちょうど数十メートルくらい先に、大きな木を見つけた。「あそこの木陰で休憩しよう」「わかりました」「オッケー」 クルシェさん、次いでチャーリーが返事をした。 やがて、大きな木の前に着いたので、その近くに自転車を停めて、木に持たれるようにして座り込む。「ふぅ」「お疲れ様

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