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第11話

Auteur: 満々
こめかみの血管が浮き上がり、激しく脈打っていた。

研の声はかすかに震えていた。「……今、何と言った?睡眠薬……だと?」

晩月の顔色は青白く、彼が自分を助けないのではないかと恐れ、焦るように言葉を続けた。「もし私があのまま海外へ連れて行かれなければ……私たちは、とっくに結婚していたはずよ。研……お願い、助けて……」

だが研の耳には、もう彼女の声は届いていなかった。

頭の中に響いていたのは――

ただ「睡眠薬」という言葉だけ。

つまり――

晩夏は、わざと警察に通報しなかったわけではなかった。睡眠薬を飲まされ、警察署に行く途中、公園で意識を失っていたのだ。

それなのに、自分はそのことで、十年間も彼女を憎み続けてきたのか。

胸の奥が焼けつくように痛む。

研は低く呟いた。「……分かった。手配する」

それだけ言うと、振り返ることなく取調室を出ていった。

三十分後。

事件の詳細な記録をすべて読み終えた研は、魂が抜けたように警察署を後にした。

通りを歩く彼の後ろを、運転手の車がゆっくりと後を追っていた。

結婚したばかりの頃、晩夏はまだ、研が彼女を憎んでいることに気づいていな
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