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第67話

last update Date de publication: 2026-02-28 21:00:00

「もちろんです」

迷わず答えた氷室様は、私の手を取った。

突然の行動に、私は驚いて彼を見る。氷室様の手は、温かかった。

「咲希は、俺にとってかけがえのない存在です」

かけがえのない存在──。

その言葉に、胸が熱くなった。本当に、そう思ってくれているの?それとも、これも演技?

厳造様は、私たちが繋いだ手を、彫像のような鋭い眼差しでじっと見つめた。

まるで、皮膚の温度や脈動の乱れから、その絆が偽りでないかを選別しているような──息が止まるほどの沈黙。

やがて、彼はゆっくりと視線を上げた。

「ならば良い」

厳造様のその一言で、張り詰めていた部屋の空気がわずかに緩んだ。

けれど、それは同時に、一ヶ月後の『決戦』が確定した瞬間でもあった。

「咲希さん」

厳造様は、優しい目で私を見た。その視線には、孫を思う祖父の温かさがあった。

「蓮をよろしく頼む。あの子は不器用でな」

「はい」

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