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第1379話

Penulis: 夏目八月
大石広深の指揮の下、私兵たちは退くどころかますます勇猛に戦った。

彼らは燕良親王の私兵ではない。一万人余り、すべて影森風馬が長年をかけて厳選した者たちで、数え切れないほどの訓練を重ねてきた。

その多くが悲惨な境遇を背負い、この世への憤りを抱いていた。この一戦で己の人生を逆転させようと願っているのだ。だからこそ、指揮官がいる限り、簡単には諦めない。

玄甲軍は必ず勝利するだろう——しかし、その勝利は容易でも迅速でもないはずだった。

さくらは彼らが降伏しない限り、死者が増え続けることを悟っていた。そこで精鋭部隊を選抜し、その中に梅月山小隊も含めて、叛軍の中で大石広深の首級を取る作戦を立てた。

将を失えば、乱を鎮めるのも早くなる。

さくらが策定した計画では、まず饅頭と棒太郎が敵陣を破り、その隙に自分と紫乃が躍り込んで首を刎ね、素早く退却するというものだった。

これは文字通り千軍万馬の中で敵将の首を取る離れ業であり、至難の業だった。皆が殺気に呑まれている中、わずかでも躊躇すれば、乱刀に切り刻まれる危険があった。

大石広深はやはり百戦錬磨の武将だった。さくらの策略を一目で見抜き、わざと隙を見せて、さくらと紫乃をおびき寄せた。

彼の考えも、さくらの考えと同じだった——賊を捕らえるには王を捕らえよ。

さくらが彼を捕らえようとし、彼はさくらを捕らえようとした。

隙を見せた後、大石は素早く宙に舞い上がり、上空から斬りかかってきた。

さくらと紫乃が選んだ武器はいずれも接近戦用だったが、軽身功を使っての奇襲には一定の距離を保つ必要があり、かえって大石の大刀の方が有利だった。

千鈞一髪の瞬間、二人は息の合った連携を見せた。紫乃が突進して彼の腹部に体当たりを食らわせ、刀はついにさくらの肩に落ちた。そして紫乃もまた、大石の近くにいた兵将に傷つけられた。

饅頭と棒太郎の救援が間に合った。一人は流星錘を、一人は長棒を手に、両方の武器が同時に大石の頭部に叩きつけられた。うめき声一つ聞こえぬまま、脳漿と血しぶきが飛び散るのが見えた。

大石が死ぬと、叛軍は混乱し、四方八方に逃げ始めた。さくらは肩の血を手で押さえながら、大声で叫んだ。「追え!」

この者どもは殺戮で頭が狂っている。城門も閉ざされている今、民草の家に潜り込まれることを最も恐れなければならなかった。

朝廷三位以上
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