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正しい人と結婚したら、元夫が後悔していた

正しい人と結婚したら、元夫が後悔していた

By:  水ちゃんと忍者の土さんCompleted
Language: Japanese
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七年間、失踪していた夫が突然帰ってきた。 しかし、夫は他の女を連れてきただけではなく、私に自ら身を引けと要求してきたのだ。 「文恵(ふみえ)は、俺を助けるために命を落としかけた。だから、恩返しに彼女と結婚する。 物分かりがいいなら、もう俺たちは離婚したと周りに説明しておけ」 その傲慢な顔を、私は冷めた目で見つめ、静かに口を開いた。 「ですが、私はもう別の方と結婚しました」 夫は、まるで面白い冗談でも聞いたかのように鼻で笑うった。 「とぼけるふざけるなよ。お前が今も昔も、俺しか見ていないことぐらい、誰もが知っているさ」

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Chapter 1

第1話

七年間、失踪していた夫が突然帰ってきた。

しかし、夫は他の女を連れてきただけではなく、私に自ら身を引けと要求してきたのだ。

「文恵は、俺を助けるために命を落としかけた。だから、恩返しに彼女と結婚する。

物分かりがいいなら、もう俺たちは離婚したと周りに説明しておけ」

その傲慢な顔を、私は冷めた目で見つめ、静かに口を開いた。

「ですが、私はもう別の方と結婚しました」

夫・高坂浩二(こうさか こうじ)は、まるで面白い冗談でも聞いたかのように鼻で笑うった。

「とぼけるふざけるなよ。お前が今も昔も、俺しか見ていないことぐらい、誰もが知っているさ」

しかし、私はもう七年前の私ではない。

彼の指示一つひとつに、尊厳もなくおどおどと従うような女は、どこにもいなかった。

「浩二、あなたを騙す必要はありません。私は、もう別の方と結婚しています」

浩二は私を一瞥すると、嘲るような口調で言った。

「長谷川千鶴(はせがわ ちづる)、まだそんな芝居を続けるのか?

これは相談じゃない、知らせだ。お前がどう考えようと、俺は文恵と結婚する」

隣に立つ宮田文恵(みやた ふみえ)は、艶やかな黒髪のお下げを肩に垂らし、困ったような顔で浩二の服の裾を引いた。

「浩二さん、私のせいで千鶴さんと喧嘩しないでください。やっぱり、私を家に送ってください……」

口ではそう言いながら、浩二の服を掴む手は離さなかった。

そして、私に向けるその瞳には、勝利を確信したような色が浮かんでいた。

彼女の言葉を聞くなり、浩二の表情が途端に和らぐ。

「文恵、もうお前に辛い思いはさせられない。これからはずっと二人で一緒にいると約束しただろう。

安心しろ。千鶴は俺の言うことなら何でも聞く。必ずお前に正式な籍を用意してやるさ」

何年経とうと、この男の厚顔無恥さは変わらないらしい。

私が何か言う前に、浩二は厳しい顔つきになった。

「お前はこの数年、高坂部長の嫁という肩書を散々利用して生きてきただろう。

そろそろ、その立場を文恵に譲ってやったらどうだ。彼女は苦労してきたんだ。これ以上、お前が彼女をいじめるのは許さん」

私はそばにあった湯呑みを手に取り、静かにお茶を一口すすった。

その上で、皮肉な笑みを浮かべてやった。

「私が何をしたというのですか。何かを言うなら、証拠が必要でしょう」

浩二はたちまち眉をひそめた。

私を頭の先からつま先まで射抜くように睨みつける。

「自分が重要な存在だと勘違いするな。お前が俺を何年も待っていたことに免じてやっているだけだ。

でなければ、とっくに追い出している。誰がお前にここで無駄口を叩く機会など与えるものか!」

私を追い出す?

彼にそんな能力はない。

それに、どうして私が彼を何年も待っているなどと思えるのだろうか。

この男が、結婚式に私一人を置き去りにしたあの日に、私はとっくに彼を見限っていた。

何年前のあの日、私は家で、浩二が迎えに来るのをただじっと待っていた。

しかし、彼は現れなかった。

失踪したのだ。

浩二の乗っていた車が川へ転落した。

助かったのは運転手だけだった。

それからずっと、彼が死んだものとばかり思っていた。

遺品だけを納めた墓の場所を、私が選んでやったというのに。

誰もが私のことを「疫病神」だと罵った時、手を差し伸べてくれたのは、高坂家の別の男だった。

浩二が突然帰ってこなければ、私は彼の顔さえ忘れかけていた。

だから、たとえ彼が何年ぶりかに姿を現そうと、私の心は少しも揺らがなかった。

「浩二。最後にもう一度だけ言います。

私とあなたは夫婦ではありません。

役所の戸籍上、あなたはもう死んだ人間です。

あなたが誰と結婚しようと、私と一切関係がありません」

浩二はフンと鼻を鳴らした。

「ようやく話が通じたようだな!

そもそも、お前があんなにしつこく付きまとうから、俺はわざと事故を偽装して、東都に身を隠す羽目になったんだろうが」

やはり、そういうことだった。

あの川は流れも緩やかで、夏には子供たちが飛び込んで遊ぶような場所だ。

運転手でさえ生還していたというのに、浩二が死ぬはずがないと、心のどこかで分かっていた。

この男はいつだってそうだ。常に自分の感情を優先し、責任感というものがない。

当時、浩二の訃報が届くと、彼の母親は白目を剥いてその場に倒れた。

その後、意識は取り戻したものの、すぐに大病を患い、一時は後を追うかと思われたほど衰弱したというのに。

浩二の身勝手な言葉を、ちょうど駆けつけてきた従兄弟の一人が聞いていた。

「兄さん、なんてことを言うんだ!

彼女はもう、社長の奥様なんだぞ!」

「社長の奥様、だと?」

浩二が呆然とする横で、文恵がわざとらしく純粋な瞳を向け、問いかけた。

「浩二さん……お祖父様は、会社をあなたに継がせるって、そうおっしゃっていたのでは?」

浩二は気まずそうに顔を歪め、そして、冷たい視線を私に向けた。
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さぶさぶ
さぶさぶ
式から逃げて挙げてない、籍もいれてないのに結婚してると思いこんでるの怖い。 言葉の通じない暴力男と結婚せずにいられてよかったね
2025-10-07 20:40:10
4
0
松坂 美枝
松坂 美枝
似たような話を読んだがやっぱり意味のわからんクズだった 離婚しに女連れて来ておいてなんだったんだ
2025-10-07 13:16:14
4
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