Share

第44話

Author: 愛月花音
last update publish date: 2026-04-18 16:54:36

 いつもより興奮気味に言うウィルモット。まるで、そうじゃないと許さないと言っているように聞こえる。

「ち、違うのよ……ウィルモット。お母様は、あなたが心配で」

「心配なら聖女の結婚のこと、早めに許してほしかった。そのせいで……カトリーヌは遠慮して、俺に冷たくなったんだ」

 ウィルモットの言葉にセレスティンは悲しい気持ちになった。そこまでしてカトリーヌと結ばれたかったとは。

 下を向きながらギュッと手を拳にして震えるのを我慢する。

 レンデルは、それに気づいたのか、セレスティンの手を握ってくれた。ハッと彼を見るセレスティン。

(こんなことで動揺していてはダメ。私には、まだやるべきことがある)

 セレスティンはグッと踏ん張って前を向いた。

「お話のところ失礼します。続きを話してもよろしいかしら?」

「な、何だと?」

「その話は別の時にしてくださいまし。私たちが言いたいのは、その先です。アンナと手を組んだ人物こそ真犯人。私が見た時に、カトリーヌの首には絞められた跡がありました。カトリーヌの死は、本当は絞殺。しかも凶器は手。彼女みたいな力の弱い女性では人を殺す腕力はありません。ヒモなど使わな
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • 殺人容疑をかけられた悪役令嬢   第65話

    「もう一度言う。私と結婚してくれないか?」 その綺麗な目には噓はなかった。「はい……喜んでお受け致します」 アシュリーはプロポーズを受け入れることにしたようだ。噂が間違いだと分かり、彼女も悩む必要がなくなった。彼の想いを聞いて、ようやく両想いになれたようだ。 しかし、これで良かったと終わるわけにはいかない。 まだ肝心な『王国の家宝』であるエリアスの宝石が見つかっていないのだ。「そうなると、後は宝石を見つけるだけですが、誰が盗んだのでしょう?」 セレスティンは、もう一度そのことに触れた。 とりあえずメリッサとオスカーの疑いは晴れた。そうなると、残りはミリアとミライダだけとなるが。 するとエリアスが口を開いてきた。「倉庫に出入りする者は記録されるはずです。警備担当の騎士たちが極秘で書いているので、それをきちんと調べれば」「ああ、それなら、既に調べはついている。盗まれる前に記録されていたのは、君とオスカー。それとミリア公爵夫人とミライダ王太后親子だけだ」 エリアスの意見に反論したのはレンデルだった。さすが優秀なだけあって、既にそこまで調べはついていたようだ。 エリアスとオスカーは無効。だとすると、やはりミリアとミライダだが……。「あら? どうして親子で行ったのかしら?」 犯人としてミライダが1人で行ったとしたら分かるのだが、親子で行く必要性があるのだろうか? セレスティンが疑問を抱く。「ああ、どうやらレオネル殿下は母親に見たいとワガママを言っていたらしい。まぁ、それが盗むチャンスだと思ったのかもしれないが」 レンデルの言葉に先に驚いたのはセレスティンではなくエリアスだった。「えっ? レオネルがですか? あの大人しい子がワガママを言うなんて珍しいな。特に母親にはワガママとか言わないのに」 たしかにシャイで大人しい性格の子だろう。好奇心旺盛でもあったが、あの怖い母親に盾突く感じではないとセレスティンは思った。(ならどうして、そんなことをしたのだろうか?) レンデルの言葉にハッと何かをと思い出すセレスティン。そうえば、彼は気になる発言をしていた。 もしそうなら彼は、その答えを知っているはずだ。 セレスティンは、その後。また子供の姿になってレオネルに近づいていく。 大切な情報を聞くために。 居場所をメイドから聞くとレオネルは丁

  • 殺人容疑をかけられた悪役令嬢   第64話

     話によると彼女自身は女性と生きることを望んでいるようだ。そして、それはエリアスたち、王族は知っていた。「……ごめん、黙っていて。これはラッカム侯爵家との約束でもあり、メリッサの心情を考えて、あえて誰にも言わずに秘密にしていたんだ。私自身も幼馴染みってのもあるが、彼がバレないように庇っていたりと、曖昧な態度をとっていたから変な誤解を生んでしまったらしい」 エリアスは自ら誤解を生んだことを謝罪する。続けてメリッサも、「私の方からもごめんなさい。たしかにエリアスには幼い頃に追いかけまわしていたことはあるわ。それは王妃になることに憧れがあったからで、本当に好きとかではなかったの。つい昔の癖で馴れ馴れしくしてしまっていたけど、とっくの昔に振られていて、諦めはついていたの。今ではただの友人同士。それに……私はオスカーが好きなの」 と、自ら本音を打ち明けてくれた。 メリッサは昔にエリアスに猛アタックしていたという噂は本当だったようだ。しかし、それは幼い頃の話。現在はとっくに諦めていると。 エリアスにベタベタする癖も問題だが、それ以前にオスカーとの不倫関係は真実だったようだ。「……では、オスカー殿下と不倫関係にあったという噂は本当なの?」 セレスティンは、すぐさま気になる質問をするとメリッサはコクリと小さく頷いた。「……はい。それは本当です。ですが、彼と私はずっと前から惹かれ合っていました。優しく私を見てくれるオスカーとは恋人同士にありましたが、彼は第2王子。いずれ結婚して跡継ぎを作らないといけません。だから……ミリア様と政略結婚することになってしまって」 辛そうに話す彼女を見て、もともとは恋人同士だったことを知る。たしかに王子としてだけではなく、公爵としても彼は跡継ぎが必要だ。 男性のメリッサでは難しいことだろう。そのためにミリアと政略結婚したとなると、かなり複雑だろう。 しかし、そうなると1つ疑問なことが見つかる。 オスカーもメリッサが男性であることを知っていたとなっていたが、それでは同性愛として好きだったのだろうか? エリアスを見ると、複雑な表情をしていた。「メリッサの性別のことを隠したことは、もう1つ理由があるんだ。私の弟……オスカーは同性愛者なんだ」「えっ……えぇっ!?」 ああ、思っていたことが当たってしまったようだ。 セレスティン

  • 殺人容疑をかけられた悪役令嬢   第63話

     しかし、それを喜ぶ人物が1人だけ居た。ミライダだ。 自室で今回のことを聞いたミライダは、高笑いしながら赤ワインを飲んでいた。「上手くいったみたいね。本当に馬鹿な子ばかりで助かるわ」 まるでそうなることを願っていたかのように。 そして、そんな母親をこっそりと見ていたのはレオネルだった。何か言いたげにグッとズボンを握り締める。 ミライダは、そんな息子の姿を気にすることはなかった。 その後。今回の件はアシュリーの耳にも入ってしまったようで「もうダメだわ」と言い、ベッドの上で泣き崩れてしまった。「大丈夫ですよ。ちゃんと話せば、きっと分かってくれます」「でも……違うと証明が出来ないわ。これだけ騒ぎになったら……エリアス様から婚約破棄されるかもしれない」 セレスティンの言葉よりも婚約破棄されたら、どうしようと頭を抱え込むアシュリー。自暴自棄になってしまっている。 このままでは部屋から出て来られなくなると思い、セレスティンは必死に励ましていると誰かがドアをノックしてきた。「はい、どうぞ」 代わりにセレスティンが返事をすると、入ってきたのはエリアスとメリッサだった。後ろにはレンデルの姿も。 よりにもよって、こんな日にどうして2人でシュリーに会いに来るのだろうか? 非常識だとセレスティンがムッと怒っていると、エリアスが先に、「アシュリー。もう一度きちんと話し合おう」 と、訴えかけてきた。「何を……ですか? 私がオスカー様と浮気をしいているってことですか? でも、私はそんなことはしておりません。全部誤解なんです」「ああ、分かっている。君がそんなことをする人ではないことぐらいは」「何を分かっているんですか? 私のことなんて何も分かってもくれないのに。エリアス様だって……メリッサ様と仲がいいではありませんか?」 エリアスの言葉にカチンときたのか、アシュリーは初めて彼に盾突く。いつもは飲む込んでしまう彼女だったが、今回はどうしても我慢が出来なかったようだ。 半分は自棄になっていたからかもしれないが。だが、本音を話す、いい機会だ。 アシュリーは、これとばかりに本音をぶつけていく。「本当は、ずっと辛かったんです。メリッサ様が好きなエリアス様を見るのが。嫉妬する自分が嫌いで……悲しかった」 目尻に涙を溜めながら正直に言葉にすると、エリアスはハッと

  • 殺人容疑をかけられた悪役令嬢   第62話

    「べ、べつに何も言ってないよ。それよりも……宝石が見つかったの?」「えっ? ううん、まだ」 突然話が宝石に変わるから驚いてしまったセレスティンだったが、それを聞いたレオネルは、しゅんと落ち込んでいた。 もしかして見つからないから心配してくれているのだろうか?「ほうせきをはやくみつかってほしい?」 何気にそのことを聞いてみた。するとブンブンと首を大きく横に振るうレオネル。「し、知らない。僕何も知らないよ。僕のせいじゃないもん」「えっ?」 そのまま慌てて逃げるように走って行ってしまうレオネルに、セレスティンは啞然とする。(どうして急に慌てたのかしら? なにか怪しいわね) 急に態度を変えるレオネルに疑問を抱いた。彼もまたミライダの子供だ。 幼いから見落とされがちだが、何かを知っているかもしれないと思った。 そう考えていると、いきなりミリアが動き出した。セレスティンは急いで彼女の後ろをつけてみる。 そうしたら向かっていく先はエリアスが仕事をしている執務室だった。(えっ? どうしてそこに?) 中に入って行くので、慌ててドアの近くまで行くと覗いてみる。丁度オスカーとレンデルの姿もあった。「どうしたんだ? こんなところに何の用だ?」 冷たく言い話すオスカーにミリアはムッとした表情をしていた。しかしフッと笑うとエリアスの方を見る。「ああ、やっぱり陛下だけ知らないのは不公平だと思いまして。私が教えに参りましたの」「それは……どういう意味だ!?」 何かの異変に気づいたのか慌て始めるオスカー。だがミリアの決意は固いのか口は閉じない。「申し上げます。私の夫は、アシュリー様と愛人関係みたいですわ」 あっさりと2人の関係性について発言をしてしまった。驚いた表情をするエリアスと違い、オスカーの顔色は怒りで真っ赤になっていく。「はっ? 何を勝手なことを言っているんだ!? そんな噓を吐くな」 怒鳴りつけるオスカーにミリアはキッと彼を睨みつけた。「あら、噓ではないでしょ? あの女とデキているから私と夜を共にしてくれないのよ。それに、あなたとあの女が一緒に居るところを見たって言っている人も居るわ。イチャイチャして、本当いやらしい」 どんどんと凄い発言が飛び交う。そんな事実は無いだろうが、彼女はそれを信じて疑わない。「そんなのは、でたらめだ! 俺がい

  • 殺人容疑をかけられた悪役令嬢   第61話

    (いっそう大喧嘩をさせたいと思っているのかしら? これでは揉めるだけで、何の解決にもならないわ) セレスティンは深いため息を吐いていると、アシュリーはボソッと「もう……いっそう修道院でも入ろうかしら」と呟いてきた。 その言葉にセレスティンは衝撃を受ける。それはありえないと。「正気を持って、アシュリー様。修道院だなんて」「……でも、このまま宝石が戻って来なかったら、私はエリアス様と結婚が出来ないままです。それが……しきたりだから。なら、もう諦めた方が」「何をおっしゃっているの!? 宝石は絶対に戻ってきます。だから最後まで諦めたらダメですよ」 あまりにも辛すぎて自暴自棄になってしまっているアシュリー。内気な彼女には、耐え難いことだろう。 婚約破棄をしたいと言う前に、どうにかしないといけない。 アシュリーにもう一度きちんと調べてみるから思い留まるように説得する。 その後はレンデルに相談して、彼にオスカーのことで調べるようにと頼んだ。彼もまた謎が多い。 セレスティンはミリアのことで調べる。腹いせに宝石を盗んだ可能性は捨てきれなかったからだ。(ミライダ王太后陛下がミリア公爵夫人をそそのかして、宝石を盗ませた可能性もあるわね) 前もカトリーヌのイトコだったアンナが元皇后とウィルモットがそれぞれに、そそのかして二重スパイをさせていたことがあった。 犯行は知らなくても、気づかないちに協力をさせらせた可能性も考えておくべきだろう。アンナの場合は、口封じのために殺されてしまったが。 安全を考えて、セレスティンは子供の姿になって調査をすることに。ミリアの後をこっそりとつける。 機嫌が悪いのか、あちらこちらのメイドに当たり散らしていた。今なんて掃除の仕方が悪いと、庭で掃除をしているメイドたちに怒鳴っている。(相当苛立っているわね。余計なことをしないといいけど) 心配しながら見ていると、後ろからトンントンと叩かれる。ビクッと肩を大きく震わせながら振り返るとレオネルだった。「レオネル……でんか!?」「何をしているの?」 きょとんとしているレオネルを慌てて引っ張るセレスティン。「たんていごっっこです。わたしはたんていで、あるちょうさをしてあそんでいるのです」「へぇー面白そう。で、何を調べているの?」「ミリアさまとオスカーさまのなかです。ふたりは、

  • 殺人容疑をかけられた悪役令嬢   第60話・お互いの誤解。

     結局、最悪なお茶会として終わってしまった。 セレスティンは、そのまま部屋に戻るとレンデルに詳しく説明する。 ますますミライダの犯行が濃くなっていると。「これは計画的な犯行に違いないわ。ミリア公爵夫人をワザと煽らせて、アシュリー様に危害を加える気だったみたいだし」 今回の件が原因でアシュリーとオスカーが愛人関係だと公に出てしまった、誤解なのだが、こういう噂は広まるのが早い。 それをミリアと揉めたとなると、格好の噂の的になるだろう。アシュリーの立場が悪くなる一方だ。「これ以上に悪い噂が独り歩きすれば、エリアス陛下の評価にも影響するだろうな。それに彼自身もショックを受ける」「だとしたら、それが目的なのでしょうか? エリアス陛下をとことん追いつけるつもりとか、アシュリー様との仲を引き裂くためとか?」「ああ、その可能性はあるな。彼が国王になった途端に婚約者に浮気されたあげく、揉め事が多いなんて、国民は良く思わない。王族が傾けば、国の繁栄に関わるから、排除しろとうるさいだろう。そうなれば大臣も黙ってはいない」 冷静なレンデルの言葉に納得する。そうなれば得するのは、ミライダと実子のレオネルだ。問題だらけの国王をまとめて排除しやすくなる。(これでは、私の時と同じじゃない) 可愛い1人息子のウィルモットを皇帝にするために、起こした殺人事件。元皇后の策略が、あんな恐ろしく悲しい事件を生んだ。 セレスティンは頭を抱えて悩んでいると、ドンドンと大きな音でドアをノックしてくる。侍女のハンナが警戒しながらドアを開けてくれたらエリアスだった。「急にすまない。アシュリーが部屋から出て来なくなったんだ」「えぇっ!? どういうことですか?」 まさか、今回のお茶会のことがショックで籠ってしまったのだろうか? セレスティンが慌てて聞くと、エリアスが困惑した表情をしていた。「お茶会で、なにやら揉めたと聞いたので、彼女に事情を聞こうと思って部屋に訪れたら、誰にも会いたくないとベッドから出てくれないのです。私が話しかけても答えてくれなくて」「分かりました。私が行ってみます」 自分では答えてくれるか分からないが、事情は知っている。それに悩みを打ち明けてくれたこともあるから、もしかして話しやすいかも。 セレスティンは1人でアシュリーの部屋に向かった。 部屋に着くと、彼女

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status