「お前が聖女を殺したんだ!? セレスティン」 外では雷鳴と激しい雨が降っている。その中で皇帝陛下の寝室では、現在の皇太子・ウィルモット・アルバーンが、大声で怒鳴り散らしていた。 彼の腕の中にはナイフで刺されて血だらけになっている聖女・カトリーヌの遺体が。 セレスティンは恐怖で震え上がる。「ち、違います。私は、殺してなんていません」「じゃあ、誰がカトリーヌを殺すと言うんだ!?」 まさか聖女を殺した犯人にされるとは、あの時は想像もつかなかった。 悪役令嬢として……崖っぷちに立たされるなんて。 ここは、アルバーン帝国。緑が多く海が近い大陸。自然の豊かな国でもあり、魚介類や山の動物などの商売も盛んだ。騎士の育成などにも力を入れている。 その中心人物である皇族。皇太子であるウィルモット第1皇子には婚約者がいた。 そして婚約者の名は、セレスティン。アーノルド公爵家の長女だ。 サラサラのストレートロングの金髪と碧眼がトレードマーク。純粋で、真面目。 気弱で大人しい性格だが、皇妃になるために必死に努力する。 皇妃になるための教育は過酷なものだった。朝から就寝時間まで出される課題の山。 それに加えてマナーやダンスレッスン。泣き言を吐くことも許されず、ちょっとでもミスれば家庭教師とウィルモットの実母である皇后に散々嫌味を言われる始末。「皇妃になるには、これぐらいは出来て当然です」「これぐらいも出来ないのですか? それでは、皇太子の妻として相応しくありませんよ」 しかし、そんな努力もウィルモットは、気に入らなかったようだ。 勝手に決めた婚約者。控えめのせいか、見た目よりもパッしない態度や格好すら不愉快に映り、婚約者が優秀なのも自分と比較されるからと嫌がっていた。 ウィルモットは、とにかく勉強や努力が嫌いだ。剣術も大した才能もなく、遊ぶ事に夢中。 それでも皇后から言われたように、自分がいずれ妻になるのだから、そこも含めて支えればいいと思っていた。そうなるように教えられてきたからだ。 だが、彼は違った。セレスティンが18歳。ウィルモットが19歳になった頃。 他の貴族の令嬢達と親しくなることが増えていく。あくまでも親しい友人だと言い続けるが、彼の首筋にキスマークがあることは日曜茶飯。それとなく注意しても、「うるさい。皇太子の俺が何をやろうが俺
Last Updated : 2026-04-04 Read more