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1-37

Author: 酔夫人
last update publish date: 2026-04-12 08:50:40
(杞憂、だったようね)

神崎芸能の本社ビル。

役員専用エレベータの扉が閉まる。

ここまで何事もない。

幹部たちの集まる役員専用フロアに着くまで完全に安心はできないが、少しだけ緊張がほどけた。

「早苗さん、ごめんなさい。大騒ぎにしてしまって」

「いいえ。それで何もなければ、それが最善です」

その言葉に、あやめは小さく微笑む。

ふと、早苗の姿に目が止まる。

黒いジャンプスーツにジージャン。

黒髪は結い上げられている。

しなやかで、獣のような鋭さをもつ立ち姿だった。

(……格好いい)

いつもは和装の早苗の、見慣れぬ姿にあやめは見惚れる。

こんな状況でと思ったが、これも余裕が生まれた証拠だと、あやめは内心苦笑してしまった。

「ご安心ください。鷹見程度ならば、私が一人で制圧できます」

「頼もしいわ」

鷹見の強さは分からない。

だから早苗のレベルをあやめは測れない。

でも、早苗の自信満々の目に、あやめは安心した。

.

社長室の前に立つ。

ノックしたが、冬弥からの返事がない。

許可がでないため、どうするかあやめは困る。

「若が着替え中でしたら、悲鳴をあげて二人で逃げましょう」

「……ええ」

半ば冗談
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