Partager

162話 3.1%の関係

Auteur: 子猫
last update Date de publication: 2026-08-06 19:00:00

美緒は暁春を妊娠する前まで、英二の秘書として井竜中央病院の経営に関わっていたが、さすがに医学のことはわからず、差し出された結果に首を傾げた。

しかし医者を目指していた隆一には読み解けたようで、両手で検査結果を握ると、食い入るように読みだす。

「…3.1%…。」

そして震える声でそう言った。

老夫人は無言で頷く。

Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Dernier chapitre

  • 白月光は妹?私が死んでから元夫は泣いて後悔しました   165話 追い出す

    「何をしてるんだ!!」 「きゃっ!」 暁春は我を忘れて有美の腕を強く握った。 そして驚いた表情の有美を睨みつけると、有美が今まさに袋に入れようとしていた物を奪い取る。 それは優希のパジャマで、袋の中には他の服やスキンケア用品が入っていた。 有美が出てきた部屋は、元々は子供の頃に優希がお泊まりする時に使い、結婚後は優希と暁春が本邸に泊まる時に使うゲストルームだった。 数は多くないが、食事会でお酒を飲んだ時などに使っていたため、ひと通りの着替えや普段使っているものと同じスキンケア用品を置いていた。 それをなぜ有美が勝手に動かしているのか、と暁春の顔は険しくなる。 有美は掴まれた腕に顔を歪めるも、暁春が抱えている骨壷に気づくと、目を剥いて声を荒らげた。 「あなた、それと一緒に寝るつもりなの!?」 「君には関係ない。」 「関係あるわよ!!私たち夫婦になるのよ!?妻として、そんな気持ち悪いこと認められないわ!!頭がおかしくなったの!?」 その言葉に暁春の眉がピクリと動き、有美をより鋭く睨みつける。 「まだ俺の妻は優希だ。」 声を荒らげてはいないが語気は強く、鼻に皺を寄せた顔は威嚇する獣のようだ。 有美の顔も、一瞬引きつった。 「…そんなことより、何をしていた?」 愛してやまないはずの有美が恐怖を感じていることに気づいた暁春は、少し落ち着きを取り戻し、ゆっくり腕を離した。 有美は自由になった腕をさすりながら、骨壷を睨みつける。 「死んだ人間のことは早く忘れるのが良いわ。その手伝いよ。私たちには未来がある。」 「なぜそんな勝手なことを?頼んでいない。」 しかし暁春は冷たく吐き捨てる。 どうにも有美への苛立ちが燻って消えない。 「そんな言い方しなくてもいいじゃない!!この際だからはっきり言うけど、食事会の後からおかしいわよ!!まさか…あの女を愛

  • 白月光は妹?私が死んでから元夫は泣いて後悔しました   164話 全てを消し去る

    「もう少し株価を下げたいから、このまま静観するわ。あんたは暁春の心が死人に向かわないように、優希の私物でも捨ててしまえば? 本邸にまだ残ってるでしょう。匂いって記憶に残るのよ。全部消しちゃいなさい。ああ、それから、嫁入り道具に三滝製薬の株を持たせてもらえるよう、隆一さんに頼んでおいて。」 桃子はそう言うと電話を切った。 相手から切られたことが気に入らないが、有美は大きく1度深呼吸をすると、背もたれに頭を預けた。 そこで初めて車がまだ発車していないことに気づき、運転手を睨みつける。 「何しているの。早く発車しなさいよ。」 返ってきた怯えた声を鼻で笑い、有美は先ほど暁春が消えていった葬儀場に目を向けた。 「逃がさない…。あなたは私のものよ。」 取り戻す。 身も心も。 そう思い、有美は暁春から贈られたあのマンションへと車を走らせた。 桃子の助言通り、本邸の優希の痕跡を消し、代わりに自分の物を揃えるつもりだった。 - 暁春は優希の骨壷を手に、本邸の廊下を歩いている。 夕食を終え、先に退席した彼は自室で休むつもりだった。 骨壷を持っているのは、なぜか離れがたく感じ、今晩は自室に置こうと思ったのだ。 (疲れた…。) この2日間、まともに眠れていない体はとても重く、時折急に息苦しさを感じた。 とに

  • 白月光は妹?私が死んでから元夫は泣いて後悔しました   163話 焦燥感に苛立つ

    自由になった両手で転倒の衝撃を和らげようと、有美は身構える。 次の瞬間、目の前に黒い影が現れ、胸元に何かが当たったかと思うと、倒れかけた体が止まった。 有美は思わず咳き込み、顔をしかめるも、慣れ親しんだコロンの香りと、胸元に置かれた大きな手に、すぐに顔を綻ばせる。 そして手の主を見上げた次の瞬間に、その表情は固まった。 額に汗をかいた暁春の顔には、安堵の表情が浮かんでいる。しかしそれは有美に向けられておらず、もう片方の腕で抱えられた骨壷に向けられていた。 骨壷を抱く腕には力が込められているのか、指先が白くなっていた。 対して有美に伸ばされた腕はおまけのようで、どこか雑にさえ感じる。 その瞬間、有美は悟った。 暁春は優希に情がある、と。 そう考えると最近のそっけない態度にも合点がいく。 (いつから?いつからあの女に絆されたの?) 有美は暁春に体勢を戻してもらいながら、唇を噛み締めて顔を歪ませた。 「足元には気をつけて。」 「うん…。」 他の人に対するものより優しい声ではあるが、以前ほどの親しみはない。 有美は手足が冷たくなるのを感じた。 暁春に送られて車に乗った有美は、しばらく呆然と動けず、運転手の戸惑った声にも反応しなかった。 (やっぱりあの時に結婚なんて認めなければよかった。復讐なんて無駄だと言えばよかったわ。) 実は暁春に優希への復讐を告げられた時、一度別れを切り出されていた。 有美の大切な時間を、不倫に費やすのはよくないと言われたのだ。 しかし誰が暁春のような男を手放せるだろうか。 有美は、暁春の復讐には事情を知っている協力者が必要だと告げ、別れを拒否した。 自分以外との結婚は気に入らないが、本音を言えば、優越感とちょっとしたスリルも面白いだろうと思ったことも否定できない

  • 白月光は妹?私が死んでから元夫は泣いて後悔しました   162話 3.1%の関係

    美緒は暁春を妊娠する前まで、英二の秘書として井竜中央病院の経営に関わっていたが、さすがに医学のことはわからず、差し出された結果に首を傾げた。 しかし医者を目指していた隆一には読み解けたようで、両手で検査結果を握ると、食い入るように読みだす。 「…3.1%…。」 そして震える声でそう言った。 老夫人は無言で頷く。 「暁春くんと有美は、約3.1%の遺伝情報を共有している…。」 その言葉は、聡明と言われた美緒の頭にもすんなり入ってこなかった。 自分が産んだ息子に、予想外の血縁関係が出てきたのだ。 それも不倫関係にあると騒がれている女性との。 戸惑うのは自然の反応だろう。 そして徐々に意味を理解し出すと、美緒の顔が青ざめた。

  • 白月光は妹?私が死んでから元夫は泣いて後悔しました   161話 昔から

    誰もが羨む男性から見初められた幸運な女性として、世間から羨望の声を浴びていたのに、あの投稿からただの不倫女と見下されるようになってしまった。 (全てはこの女のせいよ。) 有美の奥歯がぎり、と鳴った。 写真の中で笑う優希を睨みつけ、花を置く時にちらりと棺を見る。 衝動的に蹴りたくなるも、震える息を深く吐き、何とか理性を保つ。 (どうあっても、死んだやつは何もできないわ。) 結局、全てを手に入れるのは自分なのだ、と思い直し、歪む口元をハンカチで隠しながら席へ戻った。 その後、特に事件もなく葬式は終わった。 もともと井竜家の親戚たちは優希に何の思い入れもないので、大半の参列者は早々に席を立っていく。 そんな娘への扱いに隆一が顔をしかめるのを、美緒が申し訳なさそうな目で見ていた。 有美はそれを鼻で笑うと、祭壇の方に視線を向ける。

  • 白月光は妹?私が死んでから元夫は泣いて後悔しました   160話 葬式

    次の日、爽やかな天気の下、優希の葬式は行われた。 祭壇の中央に微笑んだ優希の写真が飾られ、その周りを白い菊の花が囲っている。 祭壇前には棺が置かれているが、遺体の状態が悪いため先に火葬され、中には骨壷が置かれている。 火葬場の職員の話では、優希の遺体はなぜか火力の調整が難しく、ほとんど骨が残らなかったそうだ。 もともと結婚を公表していないことと、優希に友人が少ないことから、葬式は最小限、親族のみで行うことになった。 暁春は黒いスーツとネクタイを身につけて参列者を出迎えている。 昨晩はほとんど眠れず、少し寝ついても、炎に消えていく優希が夢に現れ、そのたびに飛び起きることを繰り返した。

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status