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7話 意外な遭遇

Author: 子猫
last update Petsa ng paglalathala: 2026-01-19 15:12:24

選んだワンピースに着替えた優希は髪を軽く1本に結び、寂しく見える首元にサファイアのネックレスを着けた。サファイアは優希の誕生石で、去年の誕生日に暁春から贈られたものだった。本当は昨日妊娠を伝えて、今日の初めての妊婦健診に一緒に行きたかった。結局伝えられなかったので、せめて暁春からの贈り物を身につけて行こうと思ったのだ。

目元はコンタクトではなく黒縁のスクエア型の眼鏡をかけている。質素な服、簡単に結んだだけの髪、そして眼鏡。下手すると地味な印象を持たれそうなコーディネートだが、彼女の美貌とスタイルの良さで、芸能人のお忍びコーディネートに見えた。

まとめたゴミ袋の口を縛り、丁度玄関先に来ていたゴミ収集の係員に渡す。そのまま車に乗り込み発車させた。

向かった先は井竜中央病院。井竜財閥が展開する事業の1つで、国内最大の総合病院だ。

駐車場で車から降りた優希は、駐車場出入口に向かう黒い車に見覚えがあるように感じたが、特に気に留めなかった。黒い車なんてそこらじゅうにあるのだ。例えそれが高級車だとしても、ここは要人も利用する病院なのだから、変に思う事は無かった。

院内に入ると病院特有の匂いが鼻をつく。

国内最大の総合病院は患者やその家族、見舞い客などで混雑していた。その中を忙しそうに動く医療従事の人達。

赤ちゃんが産まれて、少し大きくなったら仕事を始めるのもいいかもしれない…。

忙しそうに働く彼らの心中は分からないが、働いていない優希にはとても輝いて見えた。

たまに沸き起こる焦燥感は、仕事を持たずただ養われているから生じる劣等感なのではないかと優希は思っていた。

結婚前は事務員として働いていた優希は暁春の希望で家に入った。事務の仕事は専門性のない仕事だったが、自分で自分を養えている事が嬉しかった。母親の自己肯定感は子供にも影響するだろうと考え、暁春にも相談してみようと思った。

受付に着き、予約番号を伝えると産科の待合室へ行くよう言われた。

産科は受付の向かいにあり、優希は受付を済ませて振り向いた。

その時、産科から有美が出てくるのを見つけた。

「有美ちゃん?」

声をかけると、有美は驚いたように顔を上げた。

「お姉さん?」

「驚いたわ。彼氏がいることは前に聞いてたけど、妊娠してたのね。おめでとう!妊娠していて昨日の会食大丈夫だったの?」

おめでたい出来事に優希は嬉しそうに話すと共に、暁春に着いて取引先との会食によく行く有美を心配した。昨晩はとても疲れて見えたからだ。

「…実は、もう妊娠していないんです。」

「え?」

「先月流れてしまったんです…。綺麗に流れなくて、掻爬手術をしてたんですが、今朝腹痛と出血があって心配で診てもらいにきたんです。」

辛いのだろう、有美は伏せた目を赤くして、小さく声を震わせた。

「…ごめんね。辛いことを聞いてしまったわ…。仕事をお休みできないの?昨日も遅かったし、休んで体を休ませた方が良いんじゃない?彼氏さん、心配してるんじゃない?」

「大丈夫です!今日の出血は、その…、昨日彼氏が激しくて…。」

優希は驚いた。

昨晩、あんなに遅くまで仕事をした後に恋人とデートをしたなんて!

若い子の体力に感心しながら、昨日は有美の誕生日だったことを思い出し納得した。

「ああ、昨日は有美ちゃんのお誕生日だったもんね。25歳おめでとう、遅くなってごめんね。」

「ありがとうございます!彼氏にも当日祝ってもらえたので良かったです!」

目が見えなくなるほどの満面の笑みを浮かべて笑う有美はとても可愛らしく、少し赤くなった頬が純朴な少女のようなあどけなさを醸し出していた。保護欲をかき立てられるその可憐さに、近くを通り過ぎる人々もチラチラと盗み見ている。

優希と有美は従姉妹だがその容貌は7割ほど似ていた。それなのに何故有美はこんなに愛らしく見えるのだろうかと優希は思った。

若さなのかしら、やっぱり愛嬌もあるわね…

昔は自分もこんなに明るかったはずなのにと思うと少し胸が苦しくなった。

実はその盗み見の中には優希の美貌へ向けたものも多く含まれているが、本人は気づかない。

「…ところで、お姉さんは何故病院に?」

2、3言体調について話したあと、有美が言った。

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