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第19話

Author: 一匹の金魚
礼央は電話を取ると、すぐに立ち上がって足早に部屋を出ようとした。

「礼央」真衣が思わず呼び止める。「どこに行くの?」

礼央の足が止まる。彼女を一瞥したあと、淡々と告げた。「今日は萌寧の誕生日パーティだ。彼女は酔うとアレルギーが出るから、迎えに行く」

誕生日?

その言葉に、真衣の意識がふっと遠のいた。

前世のこの日、彼は萌寧とともにコンテストに参加しただけではなく、彼女の誕生日まで祝っていた。そう、それが――「忙しい」と言って自分を放っていた、本当の理由だった。

真衣は深く息を吸い込むと、疲労で重たい身体を無理やり立ち上がらせた。「……10分でいい。話がある」

これ以上、引き延ばしたくなかった。

高強度のコンテストを終えたあとで、彼女の心も身体も、すでに限界を迎えていた。

主婦になってからというもの、こんな過酷なスケジュールは初めてだった。体はまだ、そのリズムに追いついていない。

礼央はちらりと腕時計に目をやり、短く言い残す。「家で待ってろ」

それだけを言い置いて、彼は背を向けた。

歩き出すその拍子に、彼のコートの裾が机の上に置かれていた指輪にかすかに触れる。

「カラン、カラン――」小さく澄んだ音を立てて、指輪は床へと転がり落ちた。

けれど、礼央は振り返らない。まるで気づかなかったかのように、あるいは――

気づいていても、気にする価値もないと言わんばかりに、黙って歩き去った。

真衣は、床に転がったままの指輪をじっと見つめ、ふっと冷笑した。

ふいに思い出したのは、あの土砂降りの夜のことだった。高瀬グループを退勤したあと、タクシーがつかまらず、礼央に迎えを頼んだ。けれど返ってきたのは、「忙しい」の一言。

仕方なく冷たい風に打たれながらずぶ濡れで立ち尽くし、ようやく家にたどり着いたころには、体が芯まで冷えきっていた。そのまま高熱を出して倒れたのに――

帰ってきた礼央は、真衣の顔を一瞥することすらなかった。体調を気遣うどころか、まるで空気のように扱った。

そんな彼に、何度も何度も助けを求めたのに、応えてくれたことは一度もない。それなのに、萌寧からの一本の電話には、すべてを放り出して駆けつけるのだ。

あんな冷たい男を、何の疑いもなく、六年ものあいだ愛してきた。

あまりにも滑稽だ。

礼央という人間の中で、大切にするものは最初からはっき
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Comments (2)
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fuo8123
離婚したいなら離婚協議書を会社に送れば良かったのにって思う! 帰って来ない家の寝室のドレッサーに置いても見るわけ無いよ! メールでも送って離婚の日程を詰めるのが先決だと思う! 相手は拗ねてるだけで離婚する気があるとは全然思ってないんだから。 それだけ夫に舐められてるのをいい加減自覚した方が良い!!
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煌原結唯
こういう話って型が決まってるのかな。どれも似たような設定の話だし、登場キャラも性格も同じように感じる。
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