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第862話

Penulis: 一匹の金魚
子供は純粋で、相手と駆け引きしたりしない。

-

17時になると、KJC宇宙航空研究開発機構が入居するオフィスビルは次第に静かになっていった。

真衣はディスプレイ上のドローンのデザイン画を見つめていたが、キーボードの上で指が長いこと止まったままだ。

画面右下の時刻が刻々と変わり、そろそろ千咲を迎えに行く時間だと彼女に告げている。

彼女は昨夜の礼央の表情を思い出していた……

彼女は眉をひそめ、一瞬ためらった後、携帯を取り出し、慣れ親しんだ番号を探し出して発信ボタンを押した。

呼出音が三度鳴ってから、相手は電話に出た。

礼央の声が聞こえてきた。「もしもし?」

「私よ」真衣の声には少し緊張感が滲んでいた。「急な仕事が入って抜けられないの。今どこにいる?千咲を迎えに行ってくれない?」

電話の向こうで短い沈黙があった。真衣にはかすかな車の音と、彼の軽い息遣いが聞こえた。

彼女は不安だった。断られるのではないかと。何年もの間、彼は一度も千咲を学校に迎えに行ったことがなかったからだ。

「打ち合わせ中だけど、もうすぐ終わる」礼央の声が再び響いた。「場所を送ってくれ。すぐに向かう」

「ありがとう」真衣はほっと息をつき、急いで学校の住所をLINEで送った。「今日は人見知りするかもしれないから、優しくしてあげてね……」

「わかった」

礼央はそう返事をして、電話を切った。

真衣は携帯を握りしめ、通話履歴の画面を見つめながら、複雑な感情が込み上げてきた。

今回の判断が正しかったのか、彼女にはわからなかった。ただ少なくとも、千咲には一度でもいいから、父親に迎えに来てもらう体験をさせたかった。

その頃、小学校の正門前には子供を迎えに来た親たちでごった返していた。

千咲は小さなランドセルを背負い、クラスの列の最後尾に立って、時々校門の方へ視線を走らせた。

彼女は同じクラスの雨宮花梨(あまみや かりん)がパパに高く抱き上げられるのを見て、吉平千郷(よしだいら ちさと)が興奮して「今日は小さな赤い花のシールをもらったんだ」とパパに話すのを聞いた。千咲の顔には羨ましさがにじんでいた。

「千咲ちゃん、パパまはだ来ないの?」隣にいた花梨が近寄ってきて興味深そうに聞いた。「前にすごくハンサムだって聞いてたけど、本当なの?」

千咲は力強く頷き、小さな顔に少し誇らしげな表
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