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第4話

Author: テバサキカラアゲ
私は病院で目を覚ました。

私をここへ運んでくれたのは、陸ではない。零だった。

零はずっと病床のそばに付き添っていて、私が目を覚ますと、いつもは落ち着いているその瞳に、わずかな安堵の色が浮かんだ。

「目が覚めた?どこか具合の悪いところはない?」

私は静かに首を横に振った。

「足首を骨折していて、軽い煙の吸入もあったから、医者はしばらく安静が必要だって言ってた」

そう言いながら、零は白湯を一杯注ぎ、丁寧に私の唇元へ差し出してくれる。

「ありがとう、零くん」

それから私はスマホを手に取り、父に電話をかけた。

「お父さん、迎えに来て。家に帰りたいの」

「分かった、夏希ちゃん。すぐに行くから」

両親と兄はほどなく病院に駆けつけてきた。包帯を巻かれた私の足と、血の気の失せた顔を見るなり、母はその場で涙を流した。

兄は怒りに震え、壁に拳を叩きつける。

「陸の奴はどこだ!一体どこにいるんだ!」

私は兄の手をそっと引き、首を横に振った。

「もういいよ。意味ないから」

退院手続きを済ませ、私は両親とともに、長いあいだ帰っていなかったあの家へ戻った。

陸との連絡手段はすべて断ち、彼の番号は着信拒否にした。

この男を、私の世界から完全に消したのだ。

……

一方、陸は「怯えている」千鶴をなだめ終えてから、ようやく「分からず屋の」妻のことを思い出したらしい。

家に戻り次第、夏希をきっちり問い詰めてやろうと決めていた。

なぜ電話に出ないのか。

なぜパーティーで自分に恥をかかせたのか。

なぜ千鶴を真っ先に助けなかったのか――そう責め立てるつもりだった。

だが、ドアを開けた瞬間、彼を迎えたのは、死んだように静まり返った空間だった。

夏希のスリッパ、夏希のコート、夏希がいつも使っていたコップ。

夏希に関わるすべてが、きれいに消えていた。

家全体が、まるで最初から夏希など存在しなかったかのように、がらんとしている。

「夏希の奴、また何をやってるんだ!?」

陸はぶつぶつと文句を言いながら夏希に電話をかけ、家の中を探し回った。

しかし、電話口から返ってきたのは、「おかけになった電話は、電源が入っていないか、電波の届かないところにあるため、おつなぎできません」という無機質なアナウンスだけだった。

苛立ちに任せて、陸はリビングのゴミ箱を蹴り飛ばした。

ゴミ箱はひっくり返り、中身が床に散乱する。

そこにあったのは、粉々に切り刻まれた銀行カードと、夫婦二人で写ったすべての集合写真だった。

写真の中の夏希は満面の笑みを浮かべているのに、彼だけが無数の破片となって引き裂かれていた。

そのときになって、陸はようやく異変に気づいた。

漠然とした、しかし逃れようのない恐怖が、心臓を締め付ける。

彼は半ば狂ったように、赤ん坊のために用意していた子ども部屋へ駆け込んだ。

ドアを開けると、自ら組み立てたベビーベッドは空っぽで、薄く埃さえ積もっている。

夏希が丹念に選んだベビー服も、おもちゃも、哺乳瓶も、すべて消えていた。

嫌な予感に突き動かされるように、彼は震える手でナイトテーブルの引き出しを開けた。

中にあったのは、紙一枚だけ。

折り畳まれ、端には乾いた血痕が付着している書類だった。

震える指で、それを広げる。

「死産証明書」

母の氏名欄には、「皆実夏希」と記されている。

死亡時刻:七月六日午後八時十七分。

死亡原因:胎児機能不全による子宮内胎児死亡。

午後八時十七分――

それは、彼が緊急帝王切開の手術同意書を床に叩きつけ、踵を返した、まさにその時刻だった。

陸の頭の中で鈍い音が鳴り響き、視界が真っ白になる。

彼はその場にへたり込んだ。

耳元には、あの日の病院で聞いた、夏希の嗄れた絶望的な声がよみがえる。

「赤ちゃんが危ないの、今すぐ手術しなくちゃ……」

「これは、私たちの子どものお骨よ」

陸は、かすれた声で呟いた。

「いや……そんなはずない……夏希は嘘をついているんだ……俺に拗ねているだけなんだ……」

彼は正気を失ったように、夏希が嘘をついている証拠を探し出そうと家中を彷徨った。

精神が崩壊寸前に追い込まれた、そのとき――スマートフォンが鳴った。

見知らぬ番号だった。

電話に出ると、受話器の向こうから、冷たく事務的な男の声が響く。

「鳴瀬陸様、初めまして。私は皆実夏希様の代理弁護士を務める者です。皆実様は本日、貴方様に対し、裁判所へ離婚訴訟を提起されました。

また、財産の不当隠匿および保護責任者遺棄罪の疑いにより、刑事告訴も行っております。関連書類は、まもなく貴方様のもとへ届く予定です」
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