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第376話

作者: 清水雪代
智美は言った。「まだ用事があって、すぐには戻れないの。玄関のポストを見てみて。封筒に予備の鍵を入れておいたから」

「分かった」

電話を切ると、智美はレストランへ戻った。

お茶を一口飲むと、司と本題に入った。

千夏はずっと静かに座っていて、会話には加わらなかった。

話が終わりに近づいた頃、智美は喉が渇いたので、カップのお茶を飲み干した。

千夏が司に声をかけた。「話は終わったみたいね。私、智美さんと二人で話したいことがあるの。司さん、先に帰ってくれる?」

司が智美に目を遣る。

智美は頷いた。

「分かった。じゃあお先に。また今度ね」司は笑いながらそう言って立ち去った。

司が去ると、智美は千夏に尋ねた。「何の話?」

千夏はバッグから口紅を取り出して塗り直しつつ、ゆっくりとした口調で言った。「智美さん、あなたのこと調べさせてもらったわ。岡田家があなたを受け入れることは絶対にないの。平凡な家柄はさておき、離婚歴もあるじゃない。あなたと悠人くんが結婚なんて、ありえないのよ」

智美の表情は揺らがなかった。

「それで?」

千夏は智美が相変わらず平然としているのを見て、思わず唇
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