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第440話

Author: 清水雪代
智美は続く。「でも今は、完全に抜け出して、新しい生活を手に入れたの。珠里さん、今のあなたは確かに辛いでしょうけど、この時期を耐え抜けばいいの。きっともっと素晴らしい生活があなたを待ってるわ。将来、あなたの愛を応えてくれる人も必ず現れる」

「本当?そんな明るい未来、本当に私を待っているの?」珠里がすがるような目をして尋ねた。

智美がしっかりと彼女の手を握った。「うん、必ずよ」

……

智美が大桐市に戻った。

祥衣が空港に迎えに来てくれた。道中、祥衣が尋ねた。「羽弥市から帰ってきたってことは、岡田先生のご家族に会ってきたの?」

智美が頷く。「ええ、彼の家に二週間泊まってきたわ」

祥衣が笑う。「まあ、実家に泊めるなんて、彼はいつだってあなたに真剣なのね。ご家族はどうだった?気難しい人たちじゃない?」

「そんなことないわ。みんな優しくて。正直、あんなに温かい家庭があって羨ましいくらいよ」

祥衣は彼女がそう言うのを聞いて、安心したように言った。「うふふ、それは良かった。結婚と恋愛は違うのよ。恋愛は二人が合えばいいけど、結婚は二つの家族の結合だから。奥が深いのよ。

私も先日、竜也と洋城に行って、彼のご両親に会ってきたの」

智美が尋ねる。「ご家族はどうだった?」

「すごく親切だったわ。竜也の料理の腕はお母様から習ったのね。お母様の料理やスープが特においしかったわ。洋城も人が温かい街ね」

智美が彼女の幸せそうな様子を見て尋ねた。「将来、大桐市を離れて洋城で暮らすことはないの?」

「もちろんないわ!」祥衣がきっぱり答える。「私の仕事も人脈も大桐市にあるのよ。どうしてそれを捨てて洋城で暮らすの?むしろ竜也の方が家庭向きの人だから、私と一緒に大桐市でキャリアを積む方が合ってるでしょ」

「もし彼が嫌がったら?」

「そんなことないよ。だって結婚した後も遠距離なんてありえないわ。パートナーが長期間そばにいないなんて受け入れられない。そんなんだったら、いっそ結婚しない方がいいわ」

智美は彼女の言葉を聞いて、ふと自分と悠人のことを考えた。

もし岡田グループがずっと悠人を必要としたら、悠人はおそらく大桐市には戻れないだろう。

そして自分も、大桐市を離れて羽弥市に行くつもりはない。

二人が長期間遠距離というのも、やはり良くない。

でも今は、一歩ずつ進んでいくしか
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