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第725話

Auteur: 清水雪代
智美はハンドルをぎゅっと握りしめた。

芹那の計ったようなタイミングだ。自分が帰宅した直後に、会合が終わったと連絡をよこすとは。怒りよりも呆れが勝ったが、仕事のためなら我慢するしかない。

「すぐに戻ります」

引き返そうと車を反転させたとき、紫色のロールスロイスが地下駐車場へ入ってきた。

仕事を終えた悠人だった。

智美がまた出かけようとしているのに気づいた悠人は、運転手に車を止めさせ、自らドアを開けて歩み寄ってきた。

それに気づいた智美も車を停めた。

窓を下ろして、外にいる悠人を見上げる。

「こんな時間にどこへ?まだ仕事か?」

智美は隠さなかった。「仕事でちょっとトラブルがあって。大したことじゃないし、私で解決できると思う。今からその対応を協議しに行くところよ」

昼間、秘書からの報告で、SNSの炎上騒ぎは悠人もすでに把握していた。

智美は妻だ。珠里は妹も同然だ。二人が痛い目に遭っているのを、黙って見ていられるはずがなかった。

「手を貸そうか?」

悠人が動けば、容易く鎮火できる。それはわかっていた。でも、まず自分でやってみたかった。社会人としてそれなりに揉まれてきた
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