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第517話

Author: 花朔
「この人って、あの賞をいくつも取ってる有名女優じゃない?まさか盗みなんて......」

「盗んでなんかいない」

海羽はそう言い返した。

突き刺さるような周囲の視線が、やけに痛かった。

「そうですよ、白鳥さんがそんなことするはずないよ」

詩織が慌てて擁護に入る。

「さっきまで白鳥さんとお話ししてたんですけど、すごく気が合って......それに、私のネックレスが素敵で、同じようなのが欲しいともおっしゃっていて......」

そこまで言ったところで、彼女はふっと言葉を止め、海羽を見て、驚いたように口元を押さえた。

「まさか......」

案の定、その発言を聞いた周囲から、ざわめきが一気に広がった。

「梅谷さんは純粋すぎるのよ。あれ、どう聞いても含みがあるじゃない」

「だよな。欲しいって言ってたってことは、狙ってたってことだろ?きっと盗んだのも――」

「待って、あの人、前に長沢と瀬賀の合同プロジェクトの式典で見たことある。あの時、すごく露出の多い格好してて、モデルみたいだったよ。それで瀬賀社長に連れて行かれてた!」

「え?瀬賀社長って、梅谷さんの婚約者じゃないの?じゃあ、この女は......」

瞬く間に、悪意に満ちた視線がすべて海羽に集まった。

薫もその言葉を聞いてから、海羽を見る目が微妙に変わった。

――なるほど、この人が息子をたぶらかして、結婚を嫌がらせているあの女ね。

そんな無言の非難が、その視線には滲んでいた。

海羽は、体の横に下ろした手をぎゅっと握りしめた。

彼女が口を開くより先に、詩織が再び声を上げる。

「皆さん、どうか憶測で決めつけないでください」

詩織は必死に無垢な表情を作り、海羽を見る。

「白鳥さんは、そんな人じゃないって信じています。ただ、うっかり手に取ってしまっただけかもしれませんし。

ねえ白鳥さん、ネックレスを出してもらえませんか?もし気に入ったなら、もっと綺麗なのを差し上げますから」

海羽は、ようやく詩織のやり口を理解した。

以前、一輝に自分を連れ出させたことも、今こうして大勢の前で彼女を信じる姿勢を見せていることも、すべて世論を誘導し、自分を完璧な被害者に仕立て上げるためのものだ。

詩織が聞き分けよく、理解ある態度を見せれば見せるほど、海羽に向けられる視線は、嫌悪と蔑みに満ちていった。

「どれ
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