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第64話

Author: ザクロ姫
そう言うと陽子は、使用人に命じて杏奈を浩の部屋から追い出した。

使用人の力が強かったので、杏奈の腕には赤い跡が残った。

そして、ドアの隙間から、部屋の中で陽子と真奈美が話す声が聞こえてきた。

「真奈美、この子はいつもあなたに懐いているから。わざわざ来てもらって本当に助かったわ」

「とんでもない。浩くんが懐いてくれるし、私も彼のことが大好きだから。彼が元気になってくれるなら、いつ呼んでもらっても構わないわよ」

すると浩もなんとか体を起こすと、真奈美に抱きついた。

「やっぱり真奈美おばさんが一番優しい。僕、真奈美おばさんが大好き!」

その光景は、まるで彼らこそが本当の家族のようだった。

そして、それ見ていた杏奈は、力がぬけたように笑うと、背を向けてその場を離れた。

彼女からしてみれば、今の状況はただただ皮肉にしか感じられないのだった。

そして背を向けたその時、階段の踊り場から上がってくる渉の姿が目に入った。

「杏奈、俺から少し話がある」

彼は、いつものように優し気な態度だった。

杏奈は渉について書斎に入った。

書斎に入ると、渉が尋ねてきた。「杏奈、この前、竜也と離婚したいと言っていたな。どうしてそう思うんだ?」

杏奈は、彼の向かいにあるソファに腰掛けた。

その優しい笑顔を見ていると、一瞬ぽっかんとした。

あの日の書斎での、渉の高圧的な態度を、彼女は今でもはっきりと覚えていた。

「おじいさん、どうしてそんなに私と竜也を離婚させたくないの?」

これまでは、祖父が孫嫁である自分を気に入ってくれているから、離婚に反対しているのだと思っていた。

でも今は、彼の本当の狙いが分からなくなっていた。

自分は所詮、久保家とは血の繋りがない人間だ。それに、たとえ本当の家族が見つかったとしても、ごく普通の家庭だろう。

そんな自分が竜也のそばにいても、彼にとって何の得もないはずなのに、どうして祖父は自分たちの結婚にこれほど固執するのだろう。

渉はやつれた様子で、杏奈の言葉を聞くと、うつむいて何度か咳き込んだ。

杏奈は唇を引き結び、彼に水を一杯注いであげた。

渉はそれを飲むと、少し落ち着いたようだった。

「杏奈、前にも言ったと思うが、君は素直で本当に良い子だ。竜也のそばにいれば、あいつももっとしっかりするだろう。俺は君が一番気に入っておる。だか
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