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第1063話

Auteur: 栄子
輝が寝室に入った時、音々は既にベッドに横になっていた。

部屋のメイン照明は消され、ベッドサイドの小さなオレンジ色のランプだけが点いていた。

音々は横向きに寝て、目を閉じ、規則正しい寝息を立てていた。

輝は音を立てないようにドアを閉め、そっとウォークインクローゼットに入った。

クローゼットの中に二人の服が並んで掛かっているのを見て、輝はようやく夫婦になったことを実感した。

温かい気持ちで胸がいっぱいになり、彼はパジャマを持ってバスルームへと入った。

一方で音々はまだ寝ていなかったが、寝ているフリをしていただけだった。

彼女は輝が寝るのを待っていたのだ。

30分ほど経ち、後ろから抱きついてきた輝が落ち着いた寝息を立てるようになった。

それを確認すると音々はゆっくりと目を開けた。

輝はぐっすり眠っていて、音々が起き上がったことにも気づかなかった。

深夜11時過ぎ、背が高く細身の黒い人影がマンションから出てきた。

キャップとマスクを身に着け、リュックサックを背負っていた音々は、黒いマスクに顔を隠していた。

そこへ、事前に予約しておいたタクシーが彼女の前に止まった。

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