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第1179話

作者: 栄子
浩平のキスは、とても優しかった。詩乃を怖がらせないように、すごく丁寧に。ゆっくりと、焦らすように彼女の唇をこじ開けてくるものだった。

そんな優しいキスに詩乃は息をするのも忘れ、思わずうっとりしながら、ゆっくりと目を閉じた......

そして、静まった部屋に、二人のだんだん荒くなっていく息遣いだけがはっきりと響いた。

浩平は、最初は軽く触れるだけのつもだった。でも、自分の理性を過信していたみたい。

詩乃がキスを拒んでいないのを感じると、彼の胸は高鳴り、さらに深いキスを求めたくなっていた。

唇が重なり、互いの息が絡み合う。

うっとりしていると、詩乃は浩平の大きな手が自分の胸に触れたのを感じた......

すると、彼女の体がびくっと震え、頭の中に、あの夜の断片的な記憶が突然よみがえてきた。

そう感じた詩乃ははっと目を開けた――

その瞬間、浩平が小さくうめいた。

次の瞬間、二人の口の中に、血の味が広がった。

仕方なく、浩平はキスをやめ、体を起こすと、噛み切られた下唇を手で拭った。

そして、血で赤く染まっていた指先を見て、彼は一瞬動きを止め、詩乃に目を向けると片方の眉を少
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