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第1632話

Author: 栄子
だから桜も、これまで安人と恋愛関係になるなんて、一度も考えたことがなかった。

恐れ多くて、そんなこと考えられもしなかった。

できるはずが、なかった。

恐れ多くてできなかった。

自分、ただの臆病者だから。

……

一方、安人は薬袋を受け取ると、車に戻り後部座席に置いた。

それから車に乗り込み、シートベルトを締めた。

片や桜は、助手席でじっとしているまま動けないでいた。

さっきの会話が途切れたままなので、車内に少し重々しい空気が漂っていた。

安人は、うつむいて黙りこくっている彼女を一瞥し、どうやら、自分の顔を見ることさえためらっているようだと感じた彼は、そっとため息をついた。

やっぱり、少し焦りすぎたかな。

彼女の心の準備がまだできていないと分かっていたのに、気持ちを伝えてしまった。

この子は純粋すぎるから、自分の気持ちの整理も苦手だし、感情を隠すこともできないいるのだ。これでは、今後自分と顔を合わせるだけでも、すごく気まずく感じてしまうだろう。

安人は桜にプレッシャーを与えたくなかったので、さっきの話はもうやめにした。「これから湊里村に戻るかい?」

桜は少し間
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