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第518話

作者: 栄子
「誠也!」

丈は我慢できずに彼に向かって怒鳴った。「まだ諦めるな!中島先生が言ってたじゃないか。S国で治療を受ければ、まだチャンスはあるって......」

「わずか5%のチャンスだ」誠也は丈を見つめ、暗い瞳で言った。「低すぎる。丈、もう説得するのはやめてくれ。最後は、静かに過ごさせてほしい」

丈は呆然と彼を見つめた。

「静かに死にたい。もし最期が苦しいなら、S国で安楽死を申請する。清彦が葬儀の手配は全部してくれた。葬式はなしだ。火葬にして、灰は梨野川に撒いてほしい。綾の新居に近いから......」

「誠也、黙れ!」丈は激しく怒鳴った。「バカなこと言うな。こっちのことが片付いたら、すぐにS国に送り返して中島先生に診てもらう。大人しく治療を受けろ!」

誠也は丈を見つめ、薄い唇を少し曲げた。まるで、彼の態度にあきれ返ったようだった。

「丈、これが俺にとって一番穏やかな最期なんだ。頼む、最後の願いくらい聞いてくれ」

丈は驚愕し、信じられないといった様子で誠也を見つめた。

かつて冷たく傲慢だった誠也は、今や重い病に侵され、誇りは後悔に打ち砕かれていた。あんなに堂々とした男だった
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