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第853話

Auteur: 栄子
「一旦会社に戻らないといけないから、午後また迎えに来るよ」

綾は頷いた。「うん」

誠也を見送った後、綾は身支度を整え、会議へと向かった。

会議が終わったのは、午後3時を過ぎていた。

綾が会議室から出て行くと、背後から恒に声をかけられた。

「二宮社長」

綾は足を止め、振り返った。

恒が近づいてきて言った。「小林さんの件で、ご報告があります」

「私のオフィスに来て」

......

オフィスに入ると、恒はドアを閉め、振り返った。

「座って」綾はソファに座り、恒にも座るように促した。

恒は頷き、綾の向かい側に座った。

「小林さんに何かあったの?」

恒は軽く咳払いをしてから言った。「彼女は、この前、契約解除をしたいって言ってて......」

「契約解除?」綾は眉をひそめた。「何か理由は言ってたの?」

「独立したいそうです」恒はため息をついた。「どうやら後ろ盾を見つけたようですね。違約金は払うと言っていますし、こっちが上乗せを要求しても応じるから、ただ、穏便に済ませたいと言っていました」

杏はこの街の出身ではなく、地方の小さな町の普通の家庭の出身で、弟がいる。

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