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第980話

Author: 栄子
病院に到着すると、真奈美はすぐに手術室に運ばれ、その重厚な扉が閉まった。

それを見た大輝は中に押し入ろうとした。「私も入ります!入れてください!」

近くにいた看護師は眉をひそめて説明した。「石川社長、奥さんは現在、大量出血の危機的状況です。通常の出産とは異なり、このような状況ではご家族の付き添いはお断りしております。申し訳ございません」

そう言われ、大輝の顔色は悪く、大きな体がよろめいた。

「胎児の心拍数が不安定な上に、胎盤早期剥離の疑いがあります。緊急に帝王切開を行う必要がありますが、妊娠週数はまだ30週です。出産後、すぐに新生児集中治療室に搬送しなければなりません。石川社長、これらの同意書にご署名をお願いします」

大輝はペンを受け取った。書類には細かい文字がびっしりと書かれていた。何枚もあるようだ。彼は内容を確認する間もなく、震える手で自分の名前をサインした。

看護師はサイン済みの同意書を持って、踵を返した。

大輝はしゃがみ込み、頭を抱え、手術の結果を待つ苦痛の時間に耐えていた。

運転手は聡を迎えに行くため、既に引き返していた。

数分後、廊下の向こうから足音が聞こえてきた。

大輝の両親は梨花と一緒に、急いで駆けつけてきた。

「真奈美はどこなの?」若葉は手術室を一瞥し、息子の顔を見た。やつれた様子を見て、胸騒ぎがした。「大輝、何か言って!」

大輝は首を横に振った。「何も、分からない......」

「何も分からないって......」若葉は苛立ちを隠せないでいた。「一体、何が分かっているっていうの!」

隼人は若葉の肩を叩いた。「落ち着いてくれ。この病院で一番腕のいい専門先生が担当しているんだ。大丈夫だ」

若葉は涙を拭い、顔を上げた。「お母さんに電話して、心配させたままにするわけにはいかないから......」

隼人は静かに頷いた。

梨花は入院バッグを抱えて、そばに立っていた。

これらの荷物は、真奈美がずっと前から準備していたものだった。

子供は本来、春先に生まれる予定だった。

この状況での出産は、本当に危険だ。

約20分後、聡が到着した。

山田執事が車椅子を押して、手術室の前に連れてきた。

そして、裕也も到着した。

彼はちょうど手術を終えたところで、父親から真奈美が大量出血で緊急搬送されたと聞き、手術着を脱ぎ捨てて駆けつけ
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