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第1113話

مؤلف: 連衣の水調
蒼真は優雅に箸を置くと、穏やかに微笑んだ。

「午後は特に予定はなかったが、野崎さんの言葉で思い出した。どうやら、やるべきことがあるようだ」

胤道は目を細めた。

蒼真は落ち着き払って彼と視線を合わせ、少しも怯む様子はない。

今の蒼真は、各病院がこぞって引き抜こうとする存在だ。彼の活躍の場は涼城市に留まらず、全国、ひいては海外にまで及ぶ。

もはや、胤道の妨害や脅迫を恐れる必要などないのだ。

静華はまた頭が痛み出すのを感じた。それに、彼女も胤道を追い払い、蒼真と香澄の件について話したかった。

「キーボードを叩く音がうるさいわ。どうせ私と蒼真くんは一階にいるし、母もいる。あなたは書斎で仕事をしてくればいいじゃない?ずっとついてくる必要はないわ」

その言葉に、胤道の顔が、目に見えて険しくなった。

「俺を追い出す気か?」

静華は顔を背けた。

「追い出す気じゃないわ。ただ、あなたがここにいても意味がないって言っているだけ。私と蒼真くんが外へ行くわけでもないのに、どうしてついてくるの?」

胤道は拳を握りしめた。蒼真の落ち着き払った態度が、彼の心をさらに苛立たせる。

不可解さと怒りが交錯し、また頭が痛み出した。

彼は眉をきつく寄せ、額を押さえた。こめかみに青筋が浮き上がっている。

梅乃が我に返り、箸を置いた。

「薬ができたよ、野崎さん。今、持ってくるから!」

彼女は急いで台所から薬を持ってきた。蒼真はその匂いを嗅ぎ、無意識に手で鼻を覆った。

その眼差しには、怪訝な色が浮かんでいる。

「これは何の薬ですか?」

静華が説明した。

「野崎は前に海に入った。冬だったし、三十分も海水に浸かっていたから、体が弱ってしまったの。

それで、最近ずっと薬を飲んで、養生しているのよ」

「体を冷やしたのに、この薬を飲むのですか?」

蒼真の言葉には、どこか納得できない響きがあった。

「処方箋、見せてもらえませんか?」

梅乃は動揺して手が滑り、思わず半分ほどをテーブルにこぼしてしまった。

「処方箋?」

梅乃は胤道の方を見た。

「処方箋は、野崎さんが持っているはずだよね?」

胤道は器を受け取ると一気に飲み干し、複雑な表情で桐生蒼真を見た。

「処方箋がどうして必要なんだ?まさか、桐生さんは医道を極めるあまり、俺のような人間にまで治療を施してくださる、と
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