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第3話

Auteur: ダチョウ
ボールペンが瑠海の髪の毛先をかすめた。彼は顔を青ざめさせ、ボールペンを叩きながら怒鳴った。

「星野彩枝、かんしゃくを出すにも場所を考えろ!ここはお寺だ、街中じゃない!」

菜々は瑠海の後ろに隠れ、ざまあみろという顔をしながらも、悲しそうな笑みを浮かべた。

「先輩、全部私のせいよ。私が帰国しなければよかったのね。彩枝さん、安心して。明日には病院を辞めて海外に行くわ。二度と邪魔はしないから」

彼女が可哀想なフリをすればするほど、瑠海が私を見る目は失望になる。

「お前が行く必要はない!お前は何も間違っていない。間違っているのは、大袈裟で調子に乗っている彼女の方だ!」

「星野彩枝、最後にチャンスをやる。菜々に謝れ!」

ボールペンが私の手を傷つけたが、心の底の痛みには遠く及ばなかった。

「どうして私が謝るの?私は被害者よ!それに、私が彼女に海外に行けなんて言った?私はあんたたち二人の末永い幸せを願っているだけよ!」

菜々はすぐに唇を噛みしめ、か弱い野花のような姿を見せた。

「彩枝さん、今すぐ帰るわ。ここで嫌味を言わなくてもいいから」

瑠海は菜々の手首を掴み、怒鳴った。「星野彩枝、俺に別れを切り出させるつもりか!」

それを聞いて、私は一歩前に出た。

「別れの言葉は、あんたから言う番じゃないわ。とっくの昔に、私があんたを振ったのよ」

私が手にしたボールペンを見て、瑠海は緊張して菜々を庇った。

「星野彩枝、まずボールペンを置け!菜々に何かあったら、ただじゃおかないぞ......」

私はもう我慢の限界だった。冷たく彼の言葉を遮った。

「私が彼女に手を出せるわけないじゃない。だって、彼女には、あんたっていう先輩がバックについているんだもの。私みたいな一般人には、とても手が出せないわ」

瑠海は私が菜々のSNSの投稿について言っているのだとすぐに理解し、安堵した。

「彩枝、嫉妬しているなら正直に言えばいいだろう。こんなにみっともなく騒ぐ必要はない。最近、お前に疎かになっていたのは認める。だから、俺が......」

彼はいつもそうだ。

私が怒っているのは、彼と菜々の曖昧な関係だけでなく、彼の適当な態度にあることを、彼は知っているはずなのに。

「黙って!」

私はうんざりして彼の言葉を遮った。

「たとえお二人が結婚して子供を産んでも、もうどうでもいいわ!

だけど、もしあんたたちが母の常花灯に手を出したら、命がけで抵抗するわよ!」

瑠海は、私の目に露骨な嫌悪感が浮かんでいるのを見て、初めてたじろいだ。そして、姿勢を低くした。

「彩枝、おばさんの容態はどうなんだ?」

私の目頭が熱くなった。

「すごく元気よ」

母はもうあそこで私を待っている。

瑠海は私の嗚咽に気づかず、安堵のため息をついた。

「うん、やっぱりな。俺が言った通り、きっと大丈夫だ。おばさんにはもう少し頑張ってもらって、俺が他の患者の処置を終えたら、すぐに戻って手術してやるから。

これで、満足だろう?」

私は何も言わなかった。彼が一歩前に出た。

私はすぐに後ずさりし、ボールペンを振り回した。

「さっさと消えて!」

彼は顔を曇らせ、挑発するようにわざと菜々と指を絡ませた。

「星野彩枝、お前がいつまで意地を張れるか、見ててやる!」

参拝客の野次馬のような視線を受けながら、私は全ての力を失い、自嘲しながらボールペンをしまい、僧侶に謝罪した。

その後、母の常花灯を見に行った。

気のせいかもしれないが、数ある常花灯の中で、母の灯だけが一番明るく輝いていた。

まるで、母が私を慰めているかのように。

その瞬間、私の目から大粒の涙がこぼれ落ち、しゃがみ込んで長い間泣き続けた。

私は母の遺骨壺を抱いて、実家に戻った。

父が亡くなった後、母と私が二人で離れて暮らしていた家だ。

埃っぽい家を見て、私はきちんと片付けようと決心した。

翌日、買い物を終えて家に帰ると、入り口の扉が壊されているのが見えた。

子供の頃、父が手作りしてくれた小さな椅子や机は粉々に砕かれ、私が干していた母の服も、埃まみれになって地面に転がっていた。

菜々が庭に立って、偉そうに指図していた。

私の全身の血が逆流した。怒りに駆られて飛び出した。

「やめなさい!何してるのよ!不法侵入は犯罪よ、訴えるわよ!」

菜々は合法的な立ち退き文書を取り出した。

「好きに訴えればいいわ。先輩が言ってた。ここは立ち退き区域だから、好きに壊していいって」

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