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第1053話

Author: 風羽
だから、萩原のような男と関わるのを、黙って見過ごすわけにはいかなかった。

寒笙の不機嫌は誰の目にも明らかだった。

翠乃は思案する。

自分はイギリスへデザインを学びに行きたいと考えていた。

それを勧めてくれたのが萩原さんだった。

相手は国際的な巨匠で、留学期間は四年に及ぶ。

愛樹と愛夕を連れて行くつもりではあるが、今はそれを口にすべき時ではない。

ここで話せば、寒笙は間違いなく激昂し、お義兄さんと夕梨さんの晴れ舞台を台無しにしてしまうだろう。

翠乃は耐えた。

ただ静かに、寒笙と一曲を踊り終える。

彼の顔を直視することはできなかった。

離婚した後も、その端正な顔立ちは彼女の心を乱すだけの力を持っている。

曲が終わり、立ち去ろうとした彼女を、男は引き止めた。

耳元で、まるで恋人のような囁きが落ちる。

「翠乃……もう一度、僕のことを考えてくれないか?」

その夜、翠乃は眠れなかった。

……

魅惑的な春の夜。

それは新婚夫婦だけの浪漫。

娘のひかりは預けられ、別荘には使用人たちの気配もない。今夜、この場所にいるのは主人である二人だけだ。

寝室にはキングサイズ
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