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第1160話

Auteur: 風羽
願乃が部屋に戻ったとき、彰人はソファに腰掛け、煙草をくゆらせていた。

横顔をわずかに外へ向け、床まで届く窓の向こうを眺めている。

高く通った鼻筋が顔をくっきりと二分し、半分は光の中に、もう半分は影に沈んでいた。

その立体的な輪郭を、願乃は静かに見つめる。

何を考えているのか――知る気もなかった。

彼女は歩み寄り、そのまま隣に腰を下ろす。

そして無造作に彼の顔をこちらへ向けさせた。

柔らかな指先が、男の肌に触れる。

その瞬間、彰人の身体がわずかに強張る。

ゆっくりと、彼女を見返す。

その瞳はどこか湿り気を帯びていた。

成熟した男の奥に、ほんのわずかな青さが残っている――年齢や経験を思えば、珍しいほどの揺らぎだった。

ただ、まっすぐに。

願乃を見つめている。

彼の「願乃」を。

対して、願乃の方はずっと単純だった。

ただ、やるべきことを片付けるだけ。

彼女は手際よく消毒し、傷に薬を塗っていく。

動きに無駄はない。

彰人は痛みに顔を歪めるが、そんなことは気にしていられない。

ふと、彼は彼女の手を掴み、動きを止めた。

「心配してるのか?それとも、莫高チッ
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Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
良香
計算づくの盤面に居たくないから離れたいのに離れられないストレスはたまらんだろうな。 できれば、メディアを今からでもプロに任せて、願乃ちゃんには別世界に飛び出して欲しいわ。彰人を忘れられないなら戻るといい。 周防の女は戻るまでがデフォだから。
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